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プロローグ



さっそくブックマークしてくれている方がいたので嬉しくなって頑張りました!!



ではどうぞ~~









俺はあの日を一生忘れることはないだろう。

今も後悔し続けているあの日を。

あの日にあった出来事を。






母の最後を。











「ハァ…………ハァ…………ハァ…………!!」



雨が降る夜。

暗い森の中、3歳の俺の手を引きながら母は走る。俺も母に手を引かれながら必死に走る。



後ろからはガシャガシャという鎧の音。



「どっちに逃げた!」

「くまなく探せ!!絶対に逃がすな!!!」



そして、俺と母を探す軍達の叫び声。



母は後ろを振り返る。

母の顔には雨でべっとりと貼り付いた銀色の髪。左右にはドリルのように捻れた銀髪がある。



埃と血と、雨と土と草で汚れていなければ、とても綺麗であろうドリル銀髪。



そんな銀髪を持つ母は、必死の形相で周囲を見渡す。



どうやら、母は俺を隠す場所を探してるみたいだ。



「まま、はやくにげなきゃ」


「このままじゃ追い付かれちゃう。アル、あなたはここに隠れてなさい」



そういうと母は、大木の根が崖にはみ出ているところを見つけ、そこの空間に俺を隠す。

外からは草と大木の根が絡まって、夜の森の暗さもありあまり見えない。



「いい?アル、あなたはここで静かに隠れてて」


「ままはどうするの?」


「私はこのまま逃げて、アルが逃げる時間を稼ぐわ」


「…………っ!ままといっしょじゃなきゃいやだよぉ!!」



俺はこれからどうなるかを察して泣き出す。



「お願いアル、泣き止んで。何ももう会えない訳じゃないわ。必ず迎えにいくから」



そう言い残し母は去っていった。

俺は見逃さなかった。母は “ 死ににいく者 ” の顔をしていた。

自分の命をかけて、俺を逃がそうとしている。



俺はそれが嫌だった。

母にはずっとずっと傍に居て欲しかった。

今日まで耐えてこれたのも、母の存在のおかげだ。



ーーけど、追いかけることが出来なかった。

ーーー怖かった。何もかも。











































ーーーー後に俺は、この日を一生後悔することになる。





















「いたぞーーー!!!母親の方だ!!!!!」



母が見つけた隠れ場で、三角座りをしてうずくまっていると、突然軍の叫び声が聞こえた。



その後に続いて、母の叫び声が雨降る夜の森に響き渡る。



その瞬間、バッとうずめていた顔をあげる。






ーーーーまま!!!!






身体が勝手に動いた。

母を失うのが怖かった。

大好きだった。

これでお別れなんて嫌だ。



俺は声のした方へ走る。3歳児の足で、必死に走る。



俺は、母のもとへ到着した。

してしまった。



母は背中を斬られ、血を流し、ぺたん座りをし、うつむいている。

雨で血は流され、母の周りは血溜まりができていた。



その周囲に、軍が15人いる。



軍一人が、母に近づき、剣をまっすぐ上に伸ばし、構える。






「やだよまま!!!ぼくをひとりにしないで!!!!!」






思わず叫ぶ。

しかし、叫ぶのと同時に、雷鳴が響き渡った。



あまりに大きい音だったので、軍達には俺の声が届いていなかった。



しかし、母には届いた。

愛の成せる技だ。



母はバッと顔をあげる。

俺の姿を見ると驚いた顔をしたが、目から涙がスーッと溢れた。






そして、母は口を動かした。








声は出ていなかった。








しかし、伝わった。





















『ごめんね、アルテシア。逃げて、幸せになって。愛してるわ』





















そして、母は微笑んだ。






それが、母の最後だった。






軍は、躊躇なく、母の首をはねた。











母の首がはねられた直後、何が起こったのか理解できなかった。

いや、理解したくなかった。理解しようとしなかった。



しかし、母の首が地面にゴトリと落ち、母の目と俺の目が合った時、理解してしまった。






母は死んだと。






悲しみと怒りでいっぱいで、泣き叫んだ。






そのまま意識が途切れた。






気が付くと、夜は明けており、雨は止んでいた。






周囲には、母の亡骸と、軍15人全員の死体が転がっていた。















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