その3 謎の気配
「では出発就航ー」
「はいアオ漕ぎなさい」
言い返す言葉も気力も残っていない
北の方向の川に乗ると流れるように進んでいき案外漕ぐのは楽なものだった
メルは楽しそうに景色を眺めている
数分後
「おぇー」
メルの嗚咽が静かな川に響く
メルの顔は真っ青になる
美少女のこんな姿は見たくないものだ
「メル様大丈夫ですか」
リザがメルの背中をさする
まあこれはこれだ少し静かになっていいかと
内心思っていると川が二手に分かれるのが見える
「ももどっち行けばいいんだ」
「えーと右……」
「はい、右ねよいしょっと」
「……は、滝があるので左だ」
「もう右いっちゃたよ!」
「滝ってやばくない!」
アオは川の流れに逆うように漕ぐがゆっくりと流されていく
滝が近くなってきたのか漕いでも漕いでもドンドン流される
「アオさんもう滝が」
「ぬおおおお」
アオの腕が分身したかのような速さで回転するが川の流れはドンドン速くなりあらがえない
「おいメルどうしよう」
「おえー」
メルの顔色は真っ青だ
ってダメじゃん
「アオもうダメだ」
ももの叫びとともに小舟ごと宙へと投げ出される
くっそオレは記憶もとりもど出ないままこんなところで死ぬのか
何もできないのかせめてこの二人を守らなくちゃ
アオはとっさにメルとももを抱きかかえる
水面がすごい速さで近づく
やばいもうだめか目をつむり覚悟する
「んあれ痛くない」
水面直前で停止する
「ガキ小舟もまともに操作できないのか」
上を振り向くとリザがアオの服の裾をつかみ宙にうく
「まぁ、ガキにしてはよくメル様とももを離さなかったな上的だ」
アオは安堵の表情を浮かべる
右手に感触が
もみもみ なかなかに弾力がありいい柔らかさだ
これは お、おっぱい!
やばいバレたか
メルはどうやら気絶しているようだ
そのまま川の岸にリザにおろしてもらう
「アオごめんなさいおいらががもっと早く言ってれば」
もも目をうるるさせはしょんぼりと謝る
「うううん大丈夫だったし」
まあ結局はリザが助けてくれたしな
まあ バレずに女の子の胸をもめたから今日はもう上機嫌だし
いかんいかん
「メルも大丈夫か」
メルの方に目をやると
「うんバッチリよ」
メルはぴんぴんしている
「でも何か胸が……まあいいわ」
「ドキ!!」
背筋がピンと伸びる
あせったーバレたかと思ったー
ほっと胸を撫で降ろすアオ
「アオ、メルさんここからだとかなり遠回りになる」
「でもこの滝登るのもな 仕方ないこの森を抜けていくか」
リザはメルの肩にひょいっとのる
森はいかにも何かでそうな不気味さを放つ
アオは鳥の鳴き声とか風が草を揺らす音とかに一々ビビり声を出しそうになるがメルとももが平気そうにしているので
チキンなハートで我慢する
ガサガサ奥の草むらから気配を感じ立ち止まる
「メルあそこに何かいるぞ」
草むらの揺れる音はドンドン近づくたびにアオの鼓動が速くなる
お、鬼がでてくるんじゃないだろうな
ドクンドクン
ガさガサ
何かが草むらから飛び出してきた
「きゃ」
アオは女の子みたいな悲鳴をあげ頭を抱える
飛び出してきたのは
赤いスカーフを首に巻いた白い柴犬だった
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