その1 鬼ヶ城ともも
「私の名前はメルこの子がリザでこっちのがえーと」
「アオだよおぼえろよ」
「そうそう」
「おいらはもも」
「あなたの願いは何」
メルの表情が変わる
「鬼を退治して欲しいのだ」
「鬼に村を無茶苦茶にされて村の財宝と姉ちゃんもさらわれて……」
「お願いだ鬼を退治してくれ メル アオ」
呼び捨てかこのガキ、と少し思うがまあ広い心で受け止めてやろう
「ぽこ」
メルは容赦なく拳骨を喰らわす
「メルさんでしょ」
メルの声がこわおい
「おいおいメル子供にそんなに向きになるなよ」
メルをなだめるアオ
「ごめんなさいメルさん」
ももは少し涙目でメルに謝りアオの方を向く
「いいてオレは」
泣きそうな子供に謝られるのは少し気が引ける
「わるいな アオ」
と ももは鼻くそをほじりながら真剣に謝る
なんだこのくそガキその態度は
オレはキレそうになるが まあ まあ ここは広い心で受け止めてやった
「分ったはその願いかなえるわ」
「あなたの願いをかなえに行きましょう」
メルはきめ顔でいった
「あのー、メルさんオレも行くのですかー」
アオは小さな声でそろっと言う
「なに水差してるのよせっかくの決めゼリフが台無しじゃない!」
「いやいや鬼とケガじゃすまないだろ」
「あなたね、はあ あなたは私が守るから私を信じなさい」
メルの翠緑色の眼差しに吸い込まれそうになる
「わ、わかった」
メルはため息を一つ
「使用人がいなくなったら誰が掃除するのよ」
「っておい」
「ももくん扉を開いて」
チリリン
扉の先はのどかな田園風景が広がっている
願いの館が風景に似合わず立っている
「ここは、どこだどうなってんだ!」
「ほんと騒がしいわね どこって私たちのいた世界と違う世界よ」
「異世界から異世界ややこし!?」
「ももくん村に案内してくれるかしら」
そこには家が壊され無残にされた村の風景が移る
「ひどい」
白髪で白く長いひげの生えた杖をもった老人がいた
「おお ももどこへ行っていたんじゃ」
「ごほんごほん」
「じいちゃん大丈夫か」
ももが駆け寄り心配そうにする
「その方たちは誰じゃ妙な恰好をしとるの」
「じいちゃん安心してこの人達が鬼を退治してくれんだ」
「なんとそれはそれは」
村長はアオの手をギュッと握る
えオレ 内心困惑する
村長の家に真似かれ、事の詳細を聞く
「わしはこの村の村長じゃ」
「この村から少し離れたところに山があるんじゃそこには鬼が城を立てて住んでおるのじゃが」
「昔は鬼が村の守り神とされとったんじゃ」
「ここ数年は鬼と交流をはじめたんじゃ、人間は鬼に畑でとれたものをわたし鬼は人間に山のものを与えたのじゃ」
「しかし二日前の事じゃった鬼が村に現れこのありさまじゃ」
「家は壊されて財宝や食料も奪われ、戦おうと鬼に立ち向かっていたわしの孫ももの姉さんもさらわれてしまたのじゃ」
「わしらも必死に戦ったのじゃが鬼は大きく力も強い、到底わしらじゃはが立たなんだ」
「どうかどうかあの鬼を退治してください」
「わかりました村長 必ずお姉さんを取り戻します」
アオは村長の思いに心を決めた
「そうじゃこれを持って行ってくだされ」村長は奥から何か持ってくる
村長は鬼ヶ城までの地図と腰刀を渡した
「この刀はこの村で代々受け継がれている刀じゃをお役に立つかもしれません」
「この地図何じゃが、どうやら鬼が置いていたようじゃ」
(返してほしくばここまでこい)
悪物にしては えらく親切な鬼だな
アオは村長から腰刀と地図を受け取る
村長とももの家を後にして鬼ヶ城へと向かう
村を出て、もらった地図を広げてみる
なんだこの地図まったくわからん
ところどころ漢字のような文字が書いているが読めない
「メル読めるかこの地図」
「読めるわけないじゃないここ異世界よ」
じゃ何で言葉は通じるんだよって思ったけど今はおいておこう
「待ってくれー」
ももが走ってくる
「はぁはぁ おいらも連れていってくれ」
ももは息を切らしながら言う
メルはしゃがみももと同じ目線で話す
「ももくん危ないから村でまってて」
「おいら村をめちゃくちゃにされて姉ちゃんまでさらわれて」
「悔しんだ、だからおいらも連れてってくれ!」
ももはこぶしを握りしめメルに訴える
メルはふと立ち上がり
「わかったはちょうど地図も読めないところだし でも私から決して離れないでね」
「わかった」
ももは大きくうなずく
「じゃあ鬼退治にレッツゴー」メルは高らかに手を突き上げる
なんとも不謹慎だ
ももの姉がさらわれたっていうのに、そっとアオはももに視線をうつす
「おー!」ももも手を突き上げる
「って ももくんノリノリなんですか さっきまでのシリアスはどこ行ったんですか」
ついついつっこんっでしまった
ももの案内で城へと向かう




