第47話:カーテンの隙間から
「結城クン、続けて」
「はい・・・、布施巡査と大家の証言によると、部屋の鍵は掛かっており、チャイムを押しても誰も出てこなかったそうです。また、布施巡査が裏へ回り確認した処、窓の鍵は掛かっており、カーテンの隙間から足が見えたとあります。この時、布施巡査は窓ガラスを叩きましたが、見えた足の音への反応は全く無かったと書いてます」
「ふむ・・・」
「それで、布施巡査は大家に中で人が倒れている事を大家に告げ、大家が預かってる予備の鍵を持ってきてもらったそうです」
「一見、密室殺人に見えるが、大家だったら殺害した上で鍵を掛ける事は出来た訳だ」
喜屋武はボソリと漏らすが、自身で直ぐさま否定した。
「とはいっても、大家の日之出スエは八十歳近かったはず。とても、大家が殺すとも思えないね。リスクが高すぎる。モメてたならともかく」
「そうですね、被害者と大家の関係は悪くはなかった様です。実際、大家にはアリバイがありまして・・・。十日から十五日夜まで、三重県伊勢市の次男の所へ遊びに行っており、裏も取れてます」
「じゃあ、その間、大家の持ってる鍵は?」
「大家の家に在る事は在ったらしいんですが、同居する長男夫婦はその所在を知らなかったそうです」
「本当に知らなかったのかな?」
喜屋武は疑問を口にした。
結城は肩を竦め、
「はい、プライバシーの事があるからと、大家は家族にも教えてなかったと証言していますね」
「なるほどね。続けて」
「で、布施巡査立ち会いの下、大家が予備の鍵でこの部屋を開けたそうです。そしたら、猫と・・・」
「死後数日経った被害者・春日さんの遺体が在った・・・。しかも、遺体は布団でぐるぐる巻きに縛られていた・・・」
「はい、そうです。それから検死の結果、死亡推定時刻は、十三日の深夜零時から明け方六時頃。死亡推定時刻に幅があるのは、殺害があった前後は冷え込んだみたいでかなり寒かったのと、遺体が布団に包まれていたので保温され正確な時間が読めないとの報告です。また殴打の跡や、毒物も検出されませんでした」
「寒かったり温かかったりややこしい訳だ。近隣の聞き込みの結果は?」
「はい、隣の103号に住む上田二郎によると、事件のあった日と思われる午前二時過ぎにドスンという大きい音を聞いたそうです。上田が言うには、『夜中に大きな音だったので、次の日文句を言うつもりだったけど被害者には会えなかった』と・・・」
ちらりとキャシーを見る。
報告書に漏れている様な細かい事を喜屋武が速記の英語でフォローしているので、日本語が理解ないなりにも何かを得ようとしてるキャシーの眼差しは真剣そのものだ。
片やイヴは、キャシーの肩の上からじっと弁天達を見ている。
《さすが訓練された特別“猫”捜査官だよな。でもこんな時ってイヴは、何考えてんだろ?》




