第46話:喜屋武の流儀
殺人現場・メゾン日之出荘102号室。
車中での昼寝が効いたのか、キャシーは心なしか元気だ。
勿論、イヴも。
結城はといえば一人でプラスチックケージを三つも抱えて、此処まで運んで来たので少しへばり掛けていた。
《だって、喜屋武さん、現場の鍵を開けておくと言って、先に走って行ってしまうんだもんな。しかも布袋は、弁天と戎を足した体重より重くって・・・。
正直、ケージ壊れるんじゃないかと、冷や汗物さ。本部での昼食で出た同調率だっけ。じゃあ何か、アレが本当だとすると、布袋の体重も限りなく0(ゼロ)に感じるの?嬉しいけど、多分無いな・・・。そういえば、途中、視線を感じてボクが振り向くと、数匹の猫がボク達を見詰めてたっけな。あの猫達は、きっと弁天達の知り合いなんだろう》
結城は部屋の中で、弁天達をケージから解放した。
弁天はケージから出ると、うーんと伸びをする。
結城の足元に近付き、身体を擦り着けた。
心なしかゴロゴロいってる気がする。
布袋と戎もケージから出ると弁天と同じ様に伸びはしたが、直ぐに部屋中のあちこちを嗅いで回った。
《久しぶりだもんな》
結城達は資料に目を通し、殺害があった日の被害者及び周辺住人の行動を確認する。
まぁ、喜屋武なりの流儀で、
《現場で何度もする実況見聞なんだけどね。捜査で見落としたものが、見えてくるらしいんだけど・・・》
結城は小さくコホンと咳ばらいをし、
「では、始めます。まず事件発生の日時ですが、平成二十○年一月十三日深夜零時から明け方六時頃に掛けて。被害者はこの部屋の住人、春日登、二十六歳、奈良県桂城市出身の独身。付き合ってる女性はいません。隣の八緒市に在る久宝堂印刷株式会社の庶務課に勤務。会社の上司の話では、性格は温厚で真面目。どちらかと言えば、大人しかったそうです。それから、奈良の実家ですが、母親は既に亡く、父親と兄夫婦が農業を営んでおります」
喜屋武は、改めてふーんといった面持ちのまま、
「なるほどねぇ。結城クン、続けて」
「はい。事件発覚は、三日後の一月十六日。第一発見者は、新聞配達員の山崎正子、四十二歳。新聞受けに溜まった新聞を片してる時に、異臭と騒ぐ猫に気付き、近くの七万寺交番に通報。直ぐに東大坂市牧丘警察署警ら課の布施巡査と、連絡を受けた現場アパート近くに住む大家、日之出スエ・・・。えっ!?あの布施巡査?」
結城は驚いた。
《この前知り合った布施巡査が、殺人事件の関係者だったなんて・・・》
喜屋武は眉をピクリと上げ、
「知り合いかい?布施巡査と?」
「は、はぁ。この前の虐待事件の時に世話になった巡査です」
「そうかい。だったら、何か聞く事もあるかも知れないな」
《驚いたのは、そうしてボクと会話してといる間も、喜屋武はボク達の会話を英文でサラサラと書き、キャシーに見せていた事だ》




