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僕達の音楽  作者: アオ
1/1

『君は音楽に興味がありますか』







『君は音楽に興味がありますか?』









−1−


職員室の前に並べられているのは、自分たちの部活を勧誘するためにわざわざ作られたポスターだ。神田進かんだすすむは中学に入る前から、部活に入ることには抵抗を持っていたが、今は少し考え方も変わった。って言っても、ほんの少しだけだけど。



…2時間ぐらい前の話


校長先生の話を始業式の時に聞いたが、やっぱり退屈なものだった。

校長先生の話は大抵取るに足らない話だったが、まあ、聞こえてくるものの中には、ちゃんとしたものも入っているかもしれないのでボーっとしながら聞いていた。


そんな時だ。


校長の言った一言で、僕の中学校生活は180パーセント変わることになる。



「この学校は、そこらの学校とはわけが違うぞ。なんせ部活の種類が全国の中で一番多いからなあ」

校長は面白おかしく言ったが、俺にとっては考えされる一言だった。

小学校を出た時は「部活には行きたくないな」と思っていた俺にとって、これは大切な事だ。

なぜなら、心のどこかで「俺にもできる部活なら……」と思っていたからだ。


校長の話は、そこから30分ぐらいしてやっと終わった。生徒だけではなく先生達も校長先生にはあきれた態度を取って、始業式は終わった。




そんな中途半端は気持で、俺はここにいる。

きっとみんなは「俺はもう決まってんだけど、一応見とくか」みたいな気持でここにいるんだろう。

来てみると、本当に多かった。

職員室の壁はもちろんのこと、ドアや、向かいの窓にも敷き詰めるように貼られていた。


俺にもできるやつがあったら……。

そこから先は分からないけど、部活を覗くことぐらいはするだろう。

もしかしたら、入部するかもしれない。

そんな気持ちで、進はここにいる。

「ちょっと見ただけで50ぐらいあるなぁ」何処からともなく聞こえた声に、俺は同意する。

今人気らしい漫画に出てくる主人公とヒロインが、きれいな絵で描かれたポスターは、そのキャラが看板のようなものを持っていて、その中心に「美術部」と書かれていた。さすがに美術部だけあって、ほかのポスターより輝かしかった。しかし、おれは絵を描くのは苦手だから入ることはないだろう。

進はほかのポスターに目を移してみる。


その時だった。


『君は音楽に興味がありますか』


職員室の隅っこに、ほかのポスターより明らかに小さい紙が貼られていた。

そこにはあまりにも適当すぎる文字で「君は音楽に興味がありますか」と書かれた言葉が書き込まれていた。部活の名前、入部員数とかが全く書かれていない。


なんだこれ。


誰もがそう思ってしまうほどの物だった。「音楽に」と書かれていることからみると『音楽部』とか『吹奏部』とか、そういうのらしい。


「なんやこれ、こんな部活、だれも入部するわけないやん」またどこからともなく聞こえてくる声に、俺はまた合意する。


そうだよ。こんなの誰も入るわけがない。


みんながそれぞれに与えられたばかりのクラスへ行こうとしたから、おれのその波に乗るようにして自分の教室へ行った。


頭の中で、なぜかあの言葉が繰り返しフラッシュバックしていることに俺は気付かなかった。
































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