現在8
19:00
倉庫街にポツンとある、そこだけ異質な空気を放つ喫茶【サイレント】に着く。
本来、学生ならこの場所は分からないはずだ。
しかし僕の行き着けの場所だったりする。
矛盾を感じるが、それが正解なのだ。
あまり外で同じ学園の生徒には出くわしたくないからね。
そんな事を考えてるうちに先ほどから、気になっている違和感の正体に気付く。
そう、これは思い描いていたシナリオ。
答え合わせをしようか。
『さあ、出てきなよ尾行者さん』
そう、一言。
倉庫の影から出てくる人影。
その正体は…。
『椎名さん、やっぱり君か…』
『…まんまと罠に引っ掛かったってことね…』
違和感の正体は彼女が尾行していたと言うことだ。
何故僕を尾行しているのか??
何故この場所に居ることが分かったのか??
一つ目の疑問は分からないことが大きい。
しかし二つ目は簡単だ…。
『盗聴器なんて仕掛けるのは大胆すぎないかい??』
『…気付いていたのね』
『君は他人から貰ったコーヒーを飲むとき、どんなコーヒーか確認しないのかい??』
『パッケージにはデカデカと超濃い口と書かれていたはずだが…??』
『そう、君は確認してから飲んだはずだ。じゃあ何故質問しない??』
『超濃い口と胡散臭いネーミングについて』
『…流石神崎君ね…。でも、何故盗聴器を仕掛けたと分かったの??』
『勘…かな。こればっかりは憶測なんだ』
『その憶測を聞かせてもらえるかしら…??』
彼女がそう言うと、僕はポケットから電子タバコを取り出す。
フィルターをわざわざ隠して一口くわえる。
『…これはミント味だね。正解かな??』
わざとらしくフィルターを確認してみせる。
そして、確認したフィルターを彼女に見せる。
『僕は所謂、味覚障害ではないよ。そう、演出してみせただけさ…』
その言葉を聞き、彼女から笑みが消えた…。