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現在7
『椎名さん…君には聞きたいことがあるんだが…??』
『ええ、そのようね…。しかし、私にはこの後予定があるのよ…』
『…そうか、なら仕方ないね。家まで送ろうか??』
『遠慮しておくわ。玄関までお願いできるかしら??』
『ok。話はまた後日、聞くことにするよ』
『そうして貰えるかしら』
そう言うと彼女は帰る支度を始めた。
これは仕方ない。
逃げることを全く計算に入れてなかった訳ではない。
『今日はありがとう。お邪魔したわね』
『ああ。また、後日…屋上でまた会えるかい??』
『そうね。そうしましょう。それじゃあ失礼するわね。サヨナラ』
『サヨナラ』
彼女の姿を見送った。
それと同時に携帯電話を取り出す。
すぐさま登録された番号へ電話をかける。
『もしもし…』
(……)
『…ああ、そうだよ。今椎名が帰った』
(……)
『…ああ、分かった。今日19時に【サイレント】で待ち合わせしよう…』
(……)
『…それじゃあ、また後で…』
電話を終えると、着ていた制服を脱ぎ、出かける支度を始めた。