現在6
『マリア…なるほどね…洒落にしては面白くないわね…』
『だろ??』
『ええ、下手なジョークだわ』
『それがジョークじゃなかったりするんだよね…』
そう言うと一枚の紙を彼女に見せた。
それまで苦笑いだった彼女はその紙を目を見開いて見た。
『なんなのこれは…!?』
『マリアが書いた暗号文…らしい…』
その言葉はとても嘘のように聞こえたのかもしれない。
事実、その言葉に説得力は皆無だからだ。
『色々と疑問があるけど、全て置いて一つだけ聞いても良いかしら??』
『どうぞ…』
『これは何処で入手したの??』
『それは企業秘密さ』
そう笑って答えた。
事実、その入手経路を現段階で伝えることは出来ない。
しかしこの暗号文は彼女に見せたかった。この紙の存在というのを伝えたかった。
何故??
それは…
『君はこの暗号文を知っているだろう??』
『!?』
一瞬にして彼女の顔が変化する。
その表情で答えを聞く前に察することができる。
彼女とこの暗号文は関係があると…。
『…ええ、知っているわ』
『だと思ったさ。文に書いている【椎名】という文字。これは君か妹さんを指すんじゃないかな??』
『…正確には【椎名一族】を指すわ…』
『なるほどね…。これで少し疑問が解けたよ』
『妹さんが…マリアではないのかな??』
そう、それがマリアという人物の答え。