マリア3
『これなら法律に引っ掛かってないだろう??』
『ええ、そうね。吸いながらでも良いわ』
『私の質問に答えてくれるかしら??』
『答えれる質問なら…ね』
『分かったわ』
そう言うと彼女は額の汗を拭った。
少し日差しが強くなってきたので仕方ない。
だが、それよりも、先ほどの事が脳裏にあるのだろう。
迂闊な質問は出来ない。
かと言って、遠回しの質問は効果が薄い。
警戒しながら、踏み込んだ質問もするだろう。
『回りくどい事は嫌いなの。さっきの話は事実かしら??』
『そうだ…と、言ったら??』
『それがスタートラインよ。もし、あなたじゃなかったら、全て無駄になるもの』
『そりゃそうだよね。1年2ヶ月も僕のことを調べたんだからね』
『時間も、情報も全部よ』
『まあ…さっきの話が事実なら、ようやく話を進められるわ』
『ああ、話してくれ』
『私には双子の妹がいるの』
『??』
僕はハテナマークを浮かべるしかなかった。
さっきの話の流れからてっきり僕の過去を聞いてくると思ったのに。
『いきなりこんな話されても意味が分からないわよね…』
『実は、私の双子の妹が【マリア】を飲んでいるようなの!!』
なるほどね…。
なんとなく話が見えてきた。
これは、また危ない話になりそうな予感がする。
…そしてこの予感は大体現実になるんだよな。
電子タバコのフィルターを交換し、また口にくわえる。
吐き出した息と共に水蒸気が空に消えていく…。
『その妹さんが【マリア】を止める様に説得でもすれば良いのかい??』
『そんな簡単な話じゃないわ!!』
『…やっぱりね。僕のことを1年2ヶ月調べたと言うことはそれ以前から飲んでるんだろ??』
『藁にもすがる思いでたどり着いたのは、こんな不良学生ってわけか』
『ええ、そういうことになるわね』
『【NG】にでも入ったのか??』
『話がトントン拍子に進むわね。そうよ。妹は【NG】のメンバーよ』
全くもってやっかいな問題だな…。
まさか【NG】のメンバーだとは…。