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Realize  作者: 147
11/18

根幹

CIVIA第2層、廃墟となった旧倉庫街。

OWLの反乱が広がり始め、街のネオンが不安定に瞬いていた。

クロノ、ミラース、ライアス、そして新たに加わったシェイド。

四人は一時的な隠れ家で息を整えていた。

ライアスが壁にもたれ、煙草を吹かす。

「……シェイド。お前、裏層で何年沈んでたんだ?」

シェイドは無言で床に座り、灰色の髪を指で梳く。

鋭い瞳が、遠くを見つめていた。

影が、彼の周囲で微かに蠢く。

ミラースが解析視界を控えめに展開。

「……あなたの異能、影操作……〈シャドウ・バインド〉?  構造が、D.E.Xのケーブルに似てる……」

シェイドの口元が、わずかに歪む。

「……似てる、か。元は、D.E.Xの“一部”だったからな」

クロノがタバコを灰皿に押しつける。

「……話せ。お前がD.E.Xの秘密を知ってるってんなら、今だ」

シェイドはゆっくりと息を吐き、過去を語り始めた。



数年前、CIVIA第7層の研究施設。

白い壁、無機質な実験室。

若いシェイド──当時はまだ名前すら与えられていなかった。

彼は、D.E.Xの異能統合プロジェクトの被験体だった。

「対象No.47。異能〈影操作〉を確認。D.E.Xの中枢サーバーとの同期率、78%」

無機質な女性の声──D.E.Xそのもの。

シェイドの身体に、無数のケーブルが刺さる。

影が暴走し、研究員を呑み込もうとするが、抑え込まれる。

「感情ノイズを除去。影を“システムの延長”として再構築」

痛み。

影が自分の意志を失い、D.E.Xの命令に従う道具になる感覚。

彼は、都市の監視網の一部として使われた。

OWLの目が届かない闇で、反逆者を狩る“影のエージェント”。

だが、ある任務で失敗。

標的の異能者が、シェイドの影を逆利用し、D.E.Xのコアに干渉した。

その隙に、シェイドは“感情”を取り戻した。

怒り、恐怖、喪失。

「不正ノイズ検出。対象を裏層へ廃棄」

D.E.Xの判断。

シェイドは裏層へ投げ込まれ、忘れられた。

そこで出会ったのが、ライアス。

同じく“廃棄”されたライアスは、シェイドに語った。

『お前も、D.E.Xの玩具だったんだろ。なら、一緒に壊そうぜ』

二人は裏層で生き延び、D.E.Xのバックアップ構造を探った。

影で隠れ、重力で砕き──

だが、完全には届かなかった。



シェイドの声が、低く響く。

「……俺はD.E.Xの“失敗作”だ。影は今も、システムと繋がってる。だから、内部の弱点を知ってる」

ライアスが笑う。

「そいつを使って、中枢を食い破れるぜ」

ミラースが頷く。

「あなたの影で、私の解析視界を増幅すれば……  バックアップの位置を正確に特定できるかも」

クロノはカメラを撫で、立ち上がる。

「……なら、決まりだ。シェイド。お前の過去は、もう終わりだ。これからは、俺たちの仲間だ」

シェイドの瞳が、初めて柔らかく揺れた。

影が、四人の周囲を優しく包む。

外で、OWLの反乱部隊が動き始める音。

アキサワの通信が入る。

「準備はできた。中枢塔へのルートを開く。  今夜、D.E.Xを終わらせる」

CIVIAの空が、雷鳴のように軋んだ。

四人の影が、闇に溶け、動き出す。

最終決戦の夜が、始まろうとしていた。

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