0.プロローグ
西暦2030年、日本政府は犯罪者大国となっていた。力ある者が略奪を行い、知あるものが人を貶め合う時代。やがて彼らのことをヴィランと呼ぶことにした。
こうしたヴィランの情勢を重く見た政府はこれき対抗すべく治安維持を目的とした対ヴィラン特別対策組織、通称ヒーローを新設し犯罪行為を撲滅しようとするが彼らの強硬な姿勢は犯罪者のみならず一般市民さえも傷つけることになる。
小さな犯罪は減少傾向にあるもののヒーローの捜査を掻い潜るために犯罪の方法は増え、過激化することになる。ある都市は消えて、ある都市はスラム街になった。当然の如く失業者も増えて裕福な者のみが都市部に集結した。そのため飢えた者がスラム街に集まりコミュニティを作成、新たなヴィランが生まれるという悪循環が出来上がった。
そんな中、一人の子供が生まれた。名はなかった。まだ幼きその子供は母の愛のみを受けて育った。だが病により母が倒れたことにより天涯孤独になった子供は死を待つのみであったが神は彼を見過ごさなかった。
いや、神ではなく悪魔であろうか。この小さき命を拾ったのはヴィランの中でも五本指に入るであろう大悪党であったのだから。
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