あらすじ
——これは、“香り”に隠された記憶と、偽りの名前で生きる少女の物語。
母が遺した香袋と、自分の名前以外すべてを失った少女・綾。
出会ったのは、身分を隠した青年・志岐。
誰にも言えない過去と、言葉にできない優しさがふたりを結びつけていく。
だが綾の香りには、記憶を封じる“仕掛け”があった。
名前も、家族も、本当の自分も——
すべては誰かの手によって“書き換えられた”可能性がある。
夢に現れる見知らぬ声。
微かに手に残る誰かの手の温もり。
そして、すこしずつ綻びはじめる“過去の嘘”。
香りを辿れば辿るほど、綾は“自分が誰かの代わり”だったことに気づいてしまう。
——香りの奥に眠る“真実”を暴いたとき、
彼女は本当に、自分自身を取り戻せるのか?
静かに燃える江戸幻想×香り×身分差ロマンス、
いま、運命の幕が上がる——。
登場人物
◆ 綾
•年齢:17歳前後
•職業:町医者の娘/治療・調薬に長ける
◆ 志岐
•年齢:19歳
•職業:浪人(密偵の過去あり)
◆ こたろう
•年齢:5歳
•職業:野良っ子
◆ お紋
•年齢:50代前半
•職業:茶屋の女将
◆ 権八& おすみ
•年齢:権八 70代/おすみ 10歳
•職業:花火師(祖父)と孫