エアクリームソーダとチクワ・ライダー 糖分をイメージで補え
誤字報告ありがとうございます。
【タイトルデザイン 幻邏様】
チェリーウォッチが示す現在の尿酸値は6.0。
いただいたチェリーウォッチはとても便利だ。血液検査の手間が省ける。ある程度間を開けないと、数値が変動するのだ。
拙者の経験上だが、色々な体調不良で半年の間に5回も血液検査をする羽目になって、その際6.3から9.0まで変動した。……なぜ職場の健康診断で9.0が出てしまったのか。いや、終わった保険指導のことは忘れよう。
もう拙者は自由にエビやイワシを食べられるのだ。
血糖値だって100mgで安定している。拙者は何だって食べられる。3食全て二●系ラーメンも可能だ。何なら寿司でも構わない。いっそアップルパイでも行くか。
グラスにペ●シを注ぎ、さらにカ●ピスを注いだ……つもりがうっかりメロンソーダと間違う。
うん、まずい。もう1杯はよそう。今度はちゃんとペプシ(別のコーラでも可)とカルピスを1:1で割ってキューピッドの完成だ。うん、高カロリー。もちろん旨い。
旨いのだが……
呑みきれぬ。
おかしい。なぜだ。
拙者は健康体のはず。心の底から糖分を欲しがっているのに。糖分を糖分で流し込みたいと言うのにッッッッッ!
そうか。流し込むべき糖分が無いからだ。なるほど。
キューピッドのグラスにラップを張り冷蔵庫にしまう。ハバネロを司る妖精『えっぐ』とちくわ大明神の異名を持つ『うふ』を肩に乗せ、ちくわに股がり街に繰り出す。
……安心していただきたい。拙者は国際A級ちくわライセンスを持っている。ライセンスさえあれば世界中どこへ行ってもちくわに乗れる。
もちろん国際ちくわ規格に準ずるちくわでなければ交通違反になる。拙者が毎日継ぎ足し継ぎ足し育てたちくわは規格通りだ。
「ハヴァネルォォォォォッッッッッ!」
「ちくわ、ちくわ、ちくわッッッッッ!」
風を切って疾走る。ハバネロの精霊とちくわ大明神はご機嫌だ。
ちくわで30分疾走り、ケーキ屋に到着。
「あっ、お久しぶりです」
かつての常連だった拙者に店員が頭を下げる。尿酸値がライジングする前は毎日のように通って買い占めていた。
「ハヴァッッッッッ!ハヴァッッッッッ!」
「ちくちくちくちく……」
精霊と大明神がガラスケースの中のモンブランを指差す。アップルパイと一緒にキューピッドで流し込むのも良いかも知れない。他にも美味しそうなケーキがたくさんある。
「それじゃ、アップルパイとモンブランとガトーショコラとフルーツ盛りだくさんロールケーキとシュークリームと苺のショートケーキと(中略)とチーズケーキを……」
1ダースずつ、と言おうとして固まる。言葉が出ない。
なぜ?
なぜだ?
心が望んでいるのに、体が拒む。
「いつものように1ダースですね?」
店員が察してくれはしたが。
「……いえ、2個ずつで」
結局、えっぐとうふの分だけ買った。
家に帰ってテーブルに乗せたケーキの箱を開けた。えっぐが皿を用意し、うふが玉露を淹れる。2柱はキチンとフォークを使って丁寧に食べる。
いつもの拙者なら、とっくに自分のを食べ終わり……奪い取るところなのに。
腹は減っている。食べたいとも思う。なのに実行できない。
「まあ、キューピッドの残りでも飲めば気分転換になるだろうさ」
そう呟いて拙者は立ち上がり冷蔵庫を開けたつもりが……なぜか熱い玉露を啜っていた。
「バカなッッッッッ!」
飲み切ってから叫ぶ。
これはアレか?
ス●ンド攻撃を受けているのか?
いやまさか、そんなことになれば炎上する。
と、なれば拙者の体に問題が発生しているのか。しかし医者が……セカンドオピニオンからフィフスオピニオンまでもが完全健康体だと言っていた。
単純に体質が変わったのかッッッッッ!
心はドカ食いなのに、体は健康志向だとッッッッッ!
バカな。回復祝いに丸ごとの鰹を買ってしまったぞッッッッッ!牡蠣も……ズワイガニも……なんてことだッッッッッ!
どうにかキューピッドの残りを飲み干す。ダメだ。体がキツいッッッッッ!
くそぅ……こんな時に限って無性にクリームソーダが飲みたいッッッッッ!
どうすれば……どうすれば良いッッッッッ!
膝から崩れ落ちた拙者の視界に、ギターが目に入った。努力はしたが弾けない。だがエアギターを極めるきっかけにはなった。
「これだ」
拙者は座禅を組む。精神を集中してクリームソーダをイメージした……
体が受け付けないなら、イメージだけで味わえば良いッッッッッ!
「見えたッッッッッ!」
目の前にはあ●きバー。
「コレじゃねえッッッッッ!」
もう1度だ。
「今度こそッッッッッ!」
目の前にはイメージのクリームソーダ。ストローは白。てっぺんには赤いチェリーッッッッッ!
「よしよし」
グラスからストローを外して、そのままイッキッッッッッ!
一瞬で飲み干す。
「フッ。旨いな」
これがイメージの力だ。
ハバネロの精霊とちくわ大明神が、なぜか化物を見るような目で拙者を見ている。良くあることだ気にしない。
まあ、その後なんだかんだで鰹の刺身とカキフライとボイルズワイガニは食べた。それと、ものたりなかったので、寿司屋にも行った。回る寿司屋なのに1万越えてしまったな。ハバネロの精霊とちくわ大明神も一緒だから仕方ない。
「ハヴァー、ハヴァー……」
「チククククク……」
妖精たちが拙者のチェリーウォッチに触れた……
そこに映し出された数字は……
えっぐ、うふは幻邏様のイラストに描かれていた妖精です。
えっぐはハバネロを持っている方。
ハバネロを司るのは、この話の世界線でのことです。
うふはちくわを持っている方です。
ちくわ大明神の異名を持つのは、この話の世界線でのことです。
友情出演していただきました。
幻邏様ありがとうございました。