よりによって…聖女ですか?
カチカチ…カチカチ…ピコン!『ゲームクリア!』
「お、クリアできた。ラッキー。あの攻撃よけた自分偉すぎ。」
私は、不登校の女子高校生、足立遥。コミュ力もないし体力もない。おまけに引きこもりっていうくそみたいな高校生活送ってる。
「はるか~、お風呂入りなさい!もう22時よ。」
お母さんが呼んでる。お母さんだけは私といろんなことを話してくれるし、不登校についても肯定的だ。お母さんが大好きだし、迷惑をかけているのではないかと不安になるぐらい優しい。
「はーい…」
ゲームのし過ぎで頭をふらふらさせながら、風呂に入る。
(さっきのゲーム…ストーリーもよかったけどバトルも楽しくて、キャラデザもいいな…。もうクリアしちゃったけど、SNSに裏マップがあって、ストーリーも変わるって書いてあったし…風呂あがったらまたやってみよ…。)
と、考えていると、激しい頭痛が襲う。めまいもしてきて、倒れこみ、浴槽の角に頭を打ち意識が遠のいた。
(え…な…んで…、頭…痛い…目の前が…かすんで…)
数分、意識を失い、目を開けると石のような冷たさと視線と話し声が聞こえ、目を覚ました。どうやら裸で石畳の上にいるらしい。
「ん…痛っ!あれ…私…確か風呂で倒れて…てかここどこ…?」
頭が冴えないまま周りを見渡すと、フードをかぶった人が数人と、王子様みたいな服を着た人が4人いた。
「えっ…?まって…私裸…?!人いる!ちょ…最悪なんだけど…。」
慌てて隠し、あたふたしているとフードをかぶった人が近づいてきた。
「まさか…成功するとは…。少し見た目は悪いが、服を着せ、化粧を施し、髪をとかせばましになるでしょう。エレバス王子、どうぞこちらへ。」
エレバス王子と呼ばれた、王子のような服を着た人も近づいてきて、少し警戒し、にらんだ。すると、エレバス王子という人もイラっとした感じでフードの人と話始める。
「本当にこんなみすぼらしい女が聖女なのか?まさかとは思うが、失敗したんじゃないだろうな。こんなやつが聖女とは到底思えん。」
「エレバス王子、こちらが聖女様で間違いないかと。伝承と見た目が一致しております。『黒髪に色白の肌、深い闇のような黒い目を持ち、召喚時に辺りを警戒し、威厳を見せている。』という伝承どうりでしょう。」
話を聞くと余計状況が分からなくなった。聖女?召喚?なんの冗談なのかわからない…。私は風呂場で倒れたはず。それなのになぜコスプレのような恰好をした人に囲まれて、みすぼらしいと罵倒されたのだろう。訳が分からなくなり、服を着ていない寒さもあってくしゃみをしてしまった。その時、「パキンッ」という音がくしゃみと共に鳴り、なにかつっかえていたものが取れたような爽快感があり、何だと思い目を開けると、目の前に蝶の髪飾りのような細工が落ちていた。一声に視線が集まったと思うと、小さな歓声が聴こえた。え?と思い周りを見渡すと、先程エレバス王子という人を呼んだフードの人が話しかけてきた。
「嘘だ…あなた、これは超精密魔法道具の『守り蝶』ですよ。くしゃみで落ちてくるとは…やはり魔法が使えるのですね…。皆様、やはり召喚は成功です。おそらく他にも高度魔術を使えるかと思われます。」
何が何だか分からずにいると、再びフードの人が話し始めた。
「聖女様、私宮廷魔術研究所所長のカサデ・マルビーと申します。今後、我が国カビョウシンを救っていただきたくお呼びいたしました。そして…」
困惑しつつ話を遮り、うまく声が出ないながらに話してみた。
「あの…とりあえず…服をください…。あと、けほっけほっ…」
「大丈夫ですか!…よろしければ、我々は聖女様の魔法を見てみたいのです。服を魔法で出現させていただけると助かります。魔法は先程のように、力を放出する感じで使えますので。」
「いやいや、そんな急に言われても、私魔法とかよくわかんないし、そもそもここはどこなんですか?誘拐されたんですか?私、風呂で倒れて…げほっげほっ…」
困惑して無理に話過ぎて咳が止まらなくなってしまった。虚弱すぎるせいか、あまりにもわからない状況でストレスを感じているのか、再びめまいで倒れてしまった…。




