武器屋とこの世界の習わし
「そ、そんなことある?」
「じつはそれが事実なんだよ。」
ガトにこの話をするととんでもないオーバーリアクションをしていた。
まぁ、人間の転生者はいるけど魔物の転生者は一度も目撃例がいないって先輩達から聞いたしそんなものか。
「サ、サヴァルくん。これはそんな易々と人に言っちゃダメだよ。最悪解剖実験になって殺されるかも、、、」
「はぁぁ?」
詳しく聞くと、普通の転生者でも解剖が行われる場合もあるらしい。
つまり希少な魔物の転生者の俺は完璧に解剖コースだ。
俺は余り転生について口にしないように気を付けることにした。
次の日
町を出ようと思ったけどガトに止められた。
「サヴァルくん。防具とか武器を揃えた方がいいよ。」
武具を揃える?いや俺はまだ大丈夫だって。
下をみるとすりきれ、ボロボロになった先輩のローブがある。着替えはなし。まるで浮浪者だ。
しかも持ってる武器は先輩から貰った杖1本だけ。
確かにこれは買い足す必要がありそうだ。
服屋
俺は服屋に来ている。
防具屋に行ったのだが、正直俺のスキル【堅力】の防御力でも足りるし、動きがかさばるのは良くないと思ったからなにも買わなかった。
しかし、先輩のローブをずっと着るわけにも行かない。だから服屋に来た。
服屋には色々な服が売っていた。
一般的なTシャツのようなものからローブまで。本当に色々な種類がある。
まぁけど俺は魔法剣士だけど魔法主軸だしローブを買うことにする。
「すみませーん。戦闘向きのローブってありますか?」
店員さんはすぐにローブコーナーに連れてってくれ、俺に合いそうなものを見繕っていく。
「あ、あの~僕一応魔法剣士で、近接戦にも適しているローブってありますかね?」
「ありますけど、、、数が絞られますがよろしいでしょうか?」
「はいお願いします。」
そう言うと、店員さんは4着ローブを持ってくる。
「こちらの、4着のローブには通気加工が施されており、魔力付与で各々右から、火、水、土、草魔法の威力アップ(微弱)が付与されています。生地は鬼蜘蛛からとれた糸を使用しているため、物理攻撃も通しにくいです。」
「じゃあ一番左の深緑色の草魔法特化の奴を買います。あと歩きやすいブーツってありますかね?」
俺は、黒色のブーツと一緒にローブを買い、店を後にした。
武器屋
もう終わりだと思ったが、ガトが
「弓を買わないと!弓を!」
と、いつもの爽やかさの欠片もなく武器屋に連れていかれた。
「大将、ここの弓で一番良いの持ってきて!」
おい、一番良いの持ってこさせても俺は高いのは買わないぞ。
「へい!」
大将のおじちゃんはシンプルな木で作られた黒くコーティングされている弓を持ってきた。握る部分には黄色い宝石が埋め込まれている。
「買います!(ガト)」
「ちょっと、ガト!」
ガトが俺に無理矢理払わせるのかと思ったが、ガトは自分で払ってなんと俺に手渡した。
「え、あ、、、弓なら自分で買うぞ?お金持ってない訳じゃないし。」
「そっかサヴァルくんは転せっ、いなか育ちだから知らないのか。普通、師匠は弟子が一人立ち、、、一人前になったら武器を買って上げるのが習わしなんだ。」
あぁ、だからガヴァル先輩は杖を買ってくれたのか、、、
だとしたら先輩とガトはいい奴だ。ダリウスは何一つ俺に買ってくれたことなんかないからね。
俺はその夜ガトと酔いつぶれるまで飲み歩いた。これでチャラだ。
温泉の町を出て3日がたった。
そして劇的な変化がある。
そう、砂漠から草原に変わったのだ。
そして出てくる魔物も少し変わってくる。
オークやピッグマンの数が劇的に減り、いつしかのダンジョンにいたビッグスネーク、やデビルサーペントが出てくるようになり、スライムが緑色の『ベジ・スライム』に変わった。
ちなみに、ベジ・スライムの味はヨモギと抹茶をまぜたような感じの味。研究しがいがありそうだ。
そして俺は最近ある魔法の研究に励んでいる。そう、固有魔法の『毒魔法』だ。
日々先輩やガトの強さをみて、俺には突出して強いものがない。強いといえば草魔法ぐらいだ。
そして考えた結果『毒魔法』は格上にも効くし、もっと練習して解毒不可の技を覚えればいいのではないかと考えついた。
そして今使える毒魔法の技は3つ
『アシッドボム』
ビー玉ほどの紫色の毒性の液体を相手にぶつける。当たって20秒ほどで死ぬ速効性の毒。しかし初級回復魔法で簡単に治療でき、速度もそこまで速くない。
『ダスト』
相手を麻痺させる霧を造り出す。
解毒したとたんに麻痺になるから範囲内では解毒しても意味はない。
麻痺するだけで死にはしない。
『毒刃』
毒でできた液体の刃を打ち出す。
中級回復魔法で解毒可能。
当たると徐々に体の動きが鈍っていき、1分後には失神する。
速度はアシッドボムより速く物理攻撃としても有効。
正直対人だと『ダスト』が一番有効で、あとの二つは知性の低い魔物用といったところだ。
そしてこの『毒魔法』剣や矢に塗ることで密かに相手を毒状態にすることができる。
姑息?勝負の世界に卑怯も姑息もありませーん。
とりあえず俺はこの魔法を鍛えてあらゆる場所のサボテンを取りに行っても生きれるようなサボテン?エルフ?になる!
2日後
あらゆる実験を重ねた結果ベジ・スライムはコアに近い内側がヨモギ味で外側が抹茶味だということに気がついた。
今ではガトやガディンに大人気のおやつになっている。
抹茶味のところにいつかあんこを乗っけて食べてみたい。
試しにすれ違う商人に売ってみたのだが、1個銅貨1枚で買い取ってくれた。
どうやらこの世界の人々は抹茶味やヨモギ味のものはないため、余り美味しいとは感じないら強い。
だが商人は「甘いものと合わせれば、、、」なんて言って在庫をすべて買い漁っていった。どこの世界にも抹茶好き入るんだね。
だけどヨモギ味は売れ残ったからしっかり夕飯の後に自分達で消費している。
いつかこいつもよもぎ餅にして食べてみたい。俺は家に帰ったらサリニアに頼むことにした。
そして、魔物も倒しにくくなっていて、進めば進むほど魔物のレベルが上がっているのをひしひしと感じる。
「ドシュン」
今のはガトが遠くのビッグスネーク射った音だ。ちなみにこいつは頭の近くの肉には毒があるが、体の肉は焼くとまあまあ美味しいから夕飯用に拾っていく。今ではオーク肉や角兎にかわって良く食べている。味は白身魚みたいな感じ。塩で今日もいただきます。




