金稼ぎの7日 後編
北陸の方は台風で大変なようです。
気をつけてお過ごしください。
4日目
「美味し~」
「良かったな。」
「お兄ちゃんありがとう!」
「フフフ」
俺は朝昨日のスライムゼリー料理で3位になったフルーツスライムゼリーをサリビアに食べさせている。
これはフルーツを切り、スライムゼリーに盛り付けるだけだから俺のように料理が下手くそな奴でも簡単に作れる。
「スライムにフルーツの味がつけれたらもっと美味しいんだけどな、、、」
「そうねそこが課題ね、、、」
やはりスライムゼリー料理を作り出したサリニアも思っていたようだ。
こればかりはしょうがないが、今日は実験をする必要がありそうだな。
ということで朝から市場にいってフルーツを一種類ずつ買ってこよう。
1時間後
できる限り買ってきた。
市場に売ってたのはレモンやみかんみたいな柑橘類や桃やバナナ、パイナップルのような物を売ってたので、買ってきた。
どうやらこの世界の植物は空気中にある魔素を吸って育っているらしいから気候とかはそんなに関係ないらしい。
俺はスライムゼリーを木の器にいれてその上にレモンの汁を絞って魔道冷蔵庫に入れる。
そしてそれを他のフルーツでも同様の作業を行い次々と冷蔵庫に入れる。
元サボテンがスライムをフルーツ漬けにする、、、客観的にみたらとてもシュールだな。
そして俺は思い付いたことを実行するために、今日も砂漠へ繰り出した。
今俺の目の前にはスライム(生け捕り)が5匹いる。
何をするかというと、、、
俺はバナナをスライムの目の前に置き食べさせる。
透明な青色ボディからバナナが溶けているのが分かる。
溶け終わった瞬間に!
「ザシュ」
殺す、、、そして食べてみる。
「ツッ」
俺は天才かもしれん、、、
なんとそのスライムからはバナナの味がした。
それから色々スライムを実験して分かったことがある。
1、スライムがフルーツを食ったあと時間がたつと味がしなくなる。
スライムが消化し終わってしばらくしてから殺して食べたらフルーツの味がなくなってしまう。
ただ、消化してすぐ殺してから時間がたっても味はなくならない。
だから保存は簡単。
2、フルーツに浸けても味はそんなに変わらない。
家に帰ってフルーツ漬けのスライムゼリーを食べてみたが、味は若干フルーツ風味になったくらいだ。
まぁ分かったことはこのくらいだな。
そして俺は、このスライムゼリーが『保存』出来ることに注目した。
保存が効くから大量にストックして売ればめっちゃ儲けられる?
ということで、今日は商人ギルドに行っている。
俺が思うに商人ギルドに登録して屋台でこのスライムフルーツゼリーを売ったらかなり儲けるだろう。
商人ギルドの中に入ると冒険者ギルドとは違いほんのりいい匂いがする。ちなみに冒険者ギルドは汗臭い匂いがするぞ!
俺はカウンターに行き商人ギルドの登録を済ませる。ちなみに登録料金は銀貨4枚だ。
商人ギルドに所属すると、物を売ることができて、国境の行き来でお金を払わずに通ることができるらしい
しかし、月に銀貨1枚払わないといけない。
俺は外に出てこの町の屋台通りに行き、草魔法で、俺の屋台を製造する。
「今日は無料の商品だしてるよ~早い者勝ちだよ~」
俺は桃味のスライムゼリーを30個用意して『無料』という言葉に釣られた客に順番で渡していく。
結果、5分もせずに完売。
客たちは、「美味しい」だったりいい噂を流していたので、明日が楽しみだ。
家に帰るとサリニアとサリビアが家事をしていた。俺が旅に出てるときだけでいいのに、、、
ちょっと前にサリニアに「俺がいる時は良いんだぞ?」と言ったんだか、「なにもせずに給料は貰えない」とのことだ。
そして俺はこれからのスライムゼリーの商品展開についてサリニアと話す。
「いいんじゃない?」
サリニアは俺がスライムゼリーを売ることを許してくれた。
一応魔物だが毒がないならOKなのかな?サリニアのセーフラインが良く分からない、、、
あれ?俺が雇い主なのになんで許可をサリニアに取ってるんだろう?
俺は自分のしていることに疑問を持ちながら眠りについた。
あしたどのくらい売れるか楽しみだ。
5日目
「いらっしゃい!銅貨4枚だよ~」
俺の店はかなり繁盛していた。
どうやら昨日の客が大分噂を流してくれた模様。
おかげで俺一人だと人数が足りないから今は分裂体にお面を被せて働かせている異例の事態だ。
ちなみにお面を被せるのは顔が同じだと怪しまれるからだ。
儲けは桃1個(銅貨4枚)+スライムゼリー(ほぼ無料)を4つに分けて一つとして売っているから、1個売れるごとに銅貨3枚分の儲けだ。
ちなみにこの世界のお金の価値は、、、
金貨=1万円
銀貨=1000円
銅貨=100円
鉄貨=10円
鉄紙=1円
こんな感じだ。
鉄紙というのは、鉄が織り込まれている紙のことで、一番価値がお金の中で低い。
前の世界では紙の方が貨幣より価値があったから変な感じだ。
というかそろそろ桃味が売りきれそう、、、
恐ろしいスピードで減っていく桃ゼリーに驚愕する。だってまだ売り始めて30分くらいだぞ、150個は用意してきたのに、、、
「一つ下さい。」
最後の客は若干太っている若い子だった、
「今日は在庫切れでーす。また明日同じ時間に来まーす!」
俺がそういうと、渋々という反応で屋台の前を去っていく。明日はもっと作らないとな、、、
「せい!」
そして俺は屋台を片付けたあとに明日の材料のスライムを捕獲している。
今日は明日作るゼリー200個作るから、50匹は捕まえないと、、、
「せい!あ、逃がした、、、」
スライムを殺すのは簡単だが、捕まえるのは簡単じゃない何しろスライムは弱すぎて早いスピードで飛び付くと死んでしまうからな、、、分裂体を使わないと捕まえられることはまずないし、今でも分裂体を使っていても逃げられることもしばしば。
そんな感じで1時間ちょっとたったところで51匹捕まった。
中途半端な1匹は家で俺やサリビアが食べるようだ。
ということで、今朝買ってきた桃を1匹ずつ食べさせ、消化を待ち、殺していく。
今日は桃味だが、客足が見られなくなってきたら、パイナップル味を作って再び客を誘うのもありかもしれない。
俺は帰りにピッグマンの群れの討伐クエストをこなして町に帰った。
ちなみに今日の売り上げは日本円で4万5千円。明日が楽しみだ。
6日目
今日も俺の店は大盛況だった。
昨日買いそびれた奴が、俺が来る前に待機してたのにはとても驚いた。
とはいっても、あと少ししたら別の町に行ってしばらくここにいないんだけれどね、、、
今日の稼ぎは金貨6枚の儲けを得られた。
あれ?冒険者より儲けられる?と思ったが火山の方には強い魔物がいると聞いたから鍛練は怠らない。
「せい!」「ザシュン」「えい!」「ザシュン」
俺は【大砂塵蜥蜴】という最近大量発生したコモドオオトカゲのような茶色い動物を倒していく。
こいつは、魔物ではなく動物で、全長1.3メートルほどで、でかい尻尾を鞭のようにしならせて攻撃してくるためそこら辺の魔物よりは強いのが特徴だ。
「ふん!」「ザシュン」
だが防御力事態はそんなに強くないから尻尾ぐらい簡単に切って攻撃を防げる。
そこまで強くないこの生物を殲滅させるのにさほど時間はかからなかった。
「ふぅ、こんなもんか。」
こいつらの売れるところは尻尾と爪ぐらいだ。ちなみに革は微毒があるらしく装備に向いてないらしい。
そして俺は大砂塵蜥蜴の素材を剥ぎ取る。
血がブシャブシャ出るから好きな作業じゃないけどお金のために頑張るぜ!
冒険者ギルドの帰り道に鞍屋の前で店員が
「鞍のフリーサイズ!安売りしてるよ!」
なんて大声で宣伝している。
鞍のフリーサイズ?普通調整して特注だと思うんだけれど、、、
「フリーサイズってどういうことですか?」
「あぁ、魔道具で鞍の大きさが変わるんですよ!」
「す、すごい!」
魔道具っていろんな種類があるうえに便利なものばっかだな。
「砂魔犬の鞍ってありますかね、、、」
サディンが俺乗せて走れるってことは砂魔犬の鞍があってもおかしくはないはずだ。
「ハイハイ、ありますよお客さん。最近買い手がいなくて困っていたとこなんです!今ならお買い得ですよ!」
うお、店員さんめっちゃ食いついてくるじゃん、よっぽど買い手がいなかったんだな。
「とりあえず見せてください!」
良さそうだったら早いうちに買おう
「あ、あのお客様、お持ちの砂魔犬のサイズを把握しないと最適の物はお渡しできないかと、、、」
「分かったよ。明日連れてきます。」
俺は店員と約束を交わし家に帰った。
あしたが楽しみだ。
7日目
今日はゼリーを売らない予定だ。
最終日だからレベルアップしておきたい。
ということでガディンと一緒にクロスケと初め会ったダンジョンに潜った。
どうやらこのダンジョンはギルドによると成長して一階しかなかったのが2階になったらしい。
「ゲコッ」
久々にフットガマを見るな、、、
なんだかんだ言ってこいつはこのダンジョン以外で見たことない。ダンジョン限定の魔物なのだろうか?
前は確か火魔法で倒したらメチャクチャ燃えたんだっけ、、、
酸素不足になると嫌だから今回はレベル上げも兼ねて剣術で倒す。
「ふぅ終わった、、、」
「がぅ」
おや?ガディンの様子が少しおかしい、なんか動きにくそうって感じ、、、あ!フットガマの皮膚の粘液には麻痺成分の毒が含まれてるんだっけ?
「『ヒーリング・ザ・ポイズン』」
俺は回復魔法を試しにガディンにかけてみる。
「ワン!」
思った通り毒に侵されていたようだ。
「ガディン、あいつらは俺が相手するから、後のオークを頼むよ」
「ワン!」
どうやら納得してくれたようだ。賢くて助かる。
「ブヒ!」
あっ、噂をすればオークの声が聞こえてくる。
前方を見るとかつてクロスケが焚き火をしていた場所が見えてくる。
そしてその奥には一匹のオークと下へ続く階段。
「ワオォォオオン」
ガディンが威嚇するとすぐにオークへ飛び付いていく。
「グチャ」「ブヒ!」「グチャ」「ブヒ」
ガディンが攻撃するほどオークの鳴き声は弱々しくなっていく。
「グチャ」「、、、」
ついに死んだようだ。
俺たちはしたの階へと歩みを進めていった。
「わん!」
ガディンが合図してくる。
それもそうだ。目の前にはオークの集団がおり、さらに奥にダンジョンの最下層にある転移魔方陣があった。
つまりここが最終階層だ。
しかし成長したとはいえこの程度の成長だったとは。
「わんわん!」
どうやら、もう倒し終わったらしい。目の前にはオークの死体が並んでいる。
俺は高く売れる肉だけをマジックバックに入るだけ入れる。
ふぅ、グロかったけどだんだん慣れてきた。
俺たちは冒険者ギルドへと帰っていった。
「お買い上げありがとうございます」
「また、この子が成長したら来ますね!」
「はい!またのお越しを」
「わん!」
ギルドの帰りに俺は昨日約束をした鞍屋でガディンのサイズの採寸をして鞍を見繕ってもらった。
店員によるとガディンは砂魔犬のなかでもかなり大きいらしい。
俺は家につき、早速サリニアと話をする。
「明日に旅に出ようと思う。まずは1半年の給料だ。」
片道3ヶ月とギルドマスターに言われたが、昼夜問わず移動を続ける俺達ならもっと速く移動できるはずだが、なにかトラブルがあると困るから半年分だ。
「ありがとう」
「半年たっても帰ってこなかったら、ギルドマスターのところに事情を話して働かせてもらえ。その間部屋の掃除とかはしなくていい」
「分かったわ。まぁ帰ってくると思うけれどね」
「嫌、火属性の魔物が多いらしいから、なんとも言えないんだよ。」
「サボテンも大変なのね。」
確かに大変だけどガディンのためだし頑張るか。
「じゃあ、そろそろ寝るよ。」
「お休み、明日の朝出るのね。」
「あぁそうだ。じゃぁお休み」
「お休みなさい」
俺は今日は攻撃されなかったことにホッと胸を撫で下ろし眠りについた。
雇う主が、従業員を恐れるなんて客観的に見て情けないよな、、、




