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22/22

第22話 ~全ての秘密を知った時には、もう遅いのです~

 黒い人魚さんが光り輝き、私達全員は目を閉じました。

 暖かい光は私の心を落ち着かせてくれます。


「ララ」


 私は呼ばれて目を開けます。

 目の前には美しい女性が立っていました。

 辺りを見ても私とその女性しかいません。

 カインはどこへ? 夢なのでしょうか?


「ララ。大きくなったわね」

「お母さん?」

「そうよ。やっと会えたわ」

「これは夢なの?」

「夢じゃないけど現実でもないわ」

「よく分からないよ」

「分からなくていいの。これからあなた達は幸せになるのだからね」

「幸せ? お母さんがいないのに?」

「大丈夫。全てがうまくいくわ」


 お母さんは微笑みながら言いました。

 どうしてそんなに嬉しそうに笑うのでしょうか?

 私には分からないことだらけです。


「ララ」

「何?」

「忘れないで」

「何を?」

「カインを」

「カイン?」

「絶対に忘れないで」

「お母さん。カインを忘れるなんて私は絶対にないよ。カインは私の全てなんだから」

「うん」


 お母さんは頷き、どんどん薄くなり消えていきます。

 お母さんは消えていなくなる時、一瞬だけ眩しく光りました。

 私が一瞬だけ目を閉じて目を開けるとお母さんはいなくなっていました。


「ララ?」

「カイン」


 私は近寄ってきたカインに抱き付きます。

 カインはそんな私を優しく抱き締め返してくれます。


「人魚が黒い鱗で覆われたんだ」


 カインはそう言って海の上にある黒い鱗で覆われた人魚さんを指差します。

 黒い鱗で覆われた人魚さんは卵のような形で海の上に浮いています。


「人魚さんはどうなるの?」

「分からない。でも、もう俺達は離れなくていいんだと思う」


 カインは黒い鱗の卵を見ながら言いました。

 人魚さんとおじいちゃんの悲劇は、もう終わったのでしょうか?

 これで誰も悲しむ人はいなくなったのでしょうか?


「カイン。私達はこれでいいの?」

「うん。今はこれでいいんだ」

「今?」

「俺達には大切な人が増えたんだ。だから精一杯、今を生きよう」

「うん」


 それから黒い鱗の卵はずっと海の上にありました。



 婚約者候補の皆さんは、私を守らなくてもいいのです。

 だから皆さんはそれぞれの故郷へと帰ります。


「皆さん。本当にありがとうございました」

「たまにはみんなの街に二人で行くから」


 私が皆さんにお礼を言うとカインは笑って言っています。

 私も一緒にカインと他の町へ行けるなんて、とても嬉しいです。


「皆さんのお家の前のお花を見ていただけましたか?」

『ララ姉さんが一生懸命に育てていた花壇の花ですよね?』


 ライトくんが私の頭の中に話しかけてきました。


「そうです。忘れないで欲しいのです。みんなこの花のように繋がっています」


 私は皆さんのお家の前の花壇から一輪だけ花を持ってきました。

 私は一輪のお花を抱き締めます。


「二人に出会えて本当に良かったよ。自分の現状が嫌だったけど、それから逃げることはしてはいけないんだって教えてもらえたから」

「ルーイ様ったら話し方が変わりましたね」

「うん。だって俺達は仲間で友達で家族のような関係なんだから砕けた言葉を使いたいんだよ」


 ルーイ様の言葉に元婚約者候補の皆さんは頷きます。


「お前達はもう、この村には来るなよ」

「カイン。そんなヒドイこと言わなくてもいいでしょう?」

「でも、この村は人魚の魔法が無くなっても逃げ場所になると思うんだ。俺とララが逃げ場所としてこの村を守り続けるよ」

「そうだねカイン。逃げてきた人達の助けになれたらいいものね」

「だからお前達はこの村に来る必要はないだろう? ちゃんとララが導いてくれただろう?」


 カインの言葉に皆さんは頷きます。


「だから俺達がお前達の故郷へ遊びに行くよ」

「それなら俺達は手紙を書くよ」


 ルーイ様はそう言って、カインがララに宛てた手紙のようにと付け加えました。


「皆さんの手紙も私の宝物になるでしょうね」

「俺はもう手紙なんて書かないからな」

「え~、カインの手紙ったら必要なこと、大切なことなんて、ほとんど書いてなかったじゃない。私はもっとたくさん書いて欲しかったのに」


 私は頬を膨らまして拗ねたように言いました。


「そんなのいらないじゃん」

「カインったらヒドイ」

「だって、いつも隣にいるんだからいつでも言えるだろう? ララの欲しい言葉は知ってるから、俺はいつでも言ってあげるよ」


 そうです。

 カインは最初からそんな人でした。

 手紙なんて必要ない。

 彼には口があり、伝えることができるのだから。


 私への愛をいつも伝えてくれるはず。

 カインは昔からそうでした。


 私が悲しんでいる時。

 私が怒っている時。

 私が悔しがっている時。

 私が不安になっている時。


 カインはいつでも私を言葉で助けてくれました。

 だから私もカインのようになりたかったのです。

 カインと私は似た者同士です。


◇◇


 カインと私は残った村人達とこの村を幸せ溢れる村にしました。

 逃げるようにこの村にやってくる人達を、この村に留まることではなく、どう乗り越えていくのか一緒に考えました。


 今日もまたこの村に、大人とは言うにはまだ早い若い歳の女の子が、何かに逃げるようにやってきました。


「どうしたの?」

「えっ、あのっ、えっと」


 私が声をかけると女の子は、私と距離を取りながらどこか不安そうにしています。


「大丈夫だよ。あなたがここに来たのは逃げたくないからでしょう? 本当はちゃんと向き合いたいんだよね?」

「あっ、はい!」

「あなたは強いんだよ。ここに来ることができたのだから」

「私は強い?」

「それじゃぁ、あなたみたいな強い人達のお話をしてあげようか?」

「はい」


 そして私はこの村にいた私とカインの仲間の話をしました。


「彼らは私に手紙をくれたの。その手紙には彼らが今はどうしているのか書いてあったんだ」

「その手紙の内容が知りたいです」

「それなら読んであげるね。彼らも迷っている子がいたら見せてもいいって言ってたからね」


 そして私は手紙を読みます。


『ララへ

  元気かな?

  カインとはケンカなんてしていないよね?

  あの日から俺は村に帰って母親に俺の思っ

 ていることを全て伝えたよ。

  それから俺は家族みんな仲良く過ごしてい

 るよ。ララ、ありがとう。

  またカインが旅に出るなんて言ったら次は

 ついていかないといけないよ。

  もう、二人は離れてはいけないから。

  そして二人が迷ったら俺が助けるから。

                 ルーイ』

『ララへ

  元気?

  俺は父さんに自分のやりたいことをつたえ

 今は村の何でも屋として忙しく働いてるよ。

  カインとは勝負がついていないからまたい

 つか勝負をしたいよ。

  俺の作った家には誰が住んでいるのかな?

  家の様子も気になるよ。

  何か困ったことがあったら教えてよ。

  俺の力でララを守るよ。

                 コリー』

『ララ姉さんへ

  元気にしていますか?

  僕は故郷の森へと帰りましたが動物達は僕

 を待っていたようで、喜んでくれました。

  しかし、熊のお母さんは良い顔をしてくれ

 ず、僕を抱き締めてくれた後、言いました。

  僕の居場所はここじゃないんだと。

  そして僕は、大好きなロードの町へ行きま

 した。

  僕の居場所は人間の住む世界です。

  僕の大好きなロードの所です。

  ララ姉さんがカイン兄さんの隣にいるよう

 に、僕はロードの隣にいたいんです。

  それでももしロードとケンカしたり、ララ

 姉さんに会いたくなっても、僕はもう大丈夫

 です。ありがとう。大好きだよ。

                 ライト』

『ララへ

  二人とも元気だよね?

  俺は村へ帰ると村人達が心配してくれて凄

 く嬉しかったよ。

  俺の帰る場所はここなんだって思ったよ。

  色んな場所を移動しながら生活をしている

 俺達だけど恐怖よりもワクワク感が増して、

 とても楽しい毎日を過ごしているよ。

  ララ嬢も元気で楽しそうにしているよ。

  ララ嬢は俺の相棒になったんだよ。

  俺の帰る場所とララ嬢の帰る場所を教えて

 くれてありがとう。

  いつか、ララ嬢と村に遊びに行くよ。

                 スワン』

『ララへ

  お元気でしょうか?

  僕は双子で力を合わせ国を守っています。

  たまに王である父とアレンと三人で人魚の

 アンがいる海の砂浜で昔話をしてるよ。

  ララも僕達のことを思い出してくれたりす

 るのかなあ?

  僕達はカインとララはいつ頃、結婚式をす

 るのか予想しているんだ。

  僕の予想はやっぱりララの誕生日だと思う

 んだ。

  だってカインが一番、嬉しい日だからね。

  大好きなララが生まれた日なんだから。

  だからララの誕生日にそちらへ、行こうと

 思います。

                 アラン』

『ララへ

  元気か?

  カインが隣にいれば元気だろうな。

  俺も元気にやってるよ。

  アランや王様と過ごす毎日はとても楽しい

 んだ。

  でも、そんな楽しい毎日だからこそ、たま

 に怖くなるんだ。

  こんな毎日がなくなったらって。

  そんな俺にアンが言うんだ。

  今を楽しまなきゃって。

  だから、ララとカインも今を楽しもうよ。

  もうすぐやってくるララの誕生日をみんな

 で楽しもう。

  ララの誕生日に二人に会いに村へ行くよ。

                 アレン』

『ララへ

  久し振りだね。

  俺が故郷に帰ってから大変だったみたいだ

 ね。

  話はライトに聞いたんだ。

  ライトはいい子でライトとの会話を俺の国

 の人達は楽しみながらしているよ。

  ライトはすぐに人気者になったんだ。

  ライトが来てくれて良かったよ。

  ライトが大人と子供の通訳みたいになって

 いて国が一つになろうとしているんだ。

  そんなライトに出会えたのもカインとララ

 のおかげなんだ。

  だから今度、大事な日に言いに行くよ。

  ありがとうってね。

                 ロード』


 私が全ての手紙を読んだ後、女の子は寂しくなったのか帰りたいと言いました。

 しかし、女の子一人で帰らせるのも心配です。

 カインにお願いしました。


「ララさん。ありがとうございました」

「私は何もしてないよ。元婚約者の皆さんのおかげなの」

「それと俺だろう?」


 カインが女の子と私の会話に入ってきました。


「そうね。カインにはこの子を隣の村まで送ってもらうんだもんね」

「そうだな。夜には帰るよ」

「うん。気を付けてね」

「それじゃあ、後でな」

「いってらっしゃい」

「いってきます」


 そしてカインと女の子は村を出ていきました。

 自由に出入りできるこの村の名前は始まりの村。

 誰もがこの村から始めるのです。


◇◇◇


 その日の夜にカインは戻って来ませんでした。

 私は眠れない夜を過ごしました。

 またカインと会えなくなるのでしょうか?


 カインが戻ることを願いながら朝をむかえました。

 眠ることなんてできません。

 豚さんとニワトリさんに会いに小屋へ行きます。


 二匹はいつものようにエサの取り合いをしています。

 私はそんな二匹を見ながら笑ってしまいました。


 二匹が私を励ましてくれているのが分かったからです。

 二匹を撫でながらありがとうと言いました。


「ブヒー」


 小屋の外から豚さんの鳴き声が聞こえました。

 私は二匹と一緒に小屋からでます。

 大きな木がある丘に誰か立っています。


 その人影から何か小さな生き物が近づいてきます。

 近づくにつれて、その正体が何なのか分かります。


「ララ嬢!」


 ララ嬢は私の足元をグルグルと回ります。

 その後、私のスカートの裾を引っ張ります。

 まるでこっちに来てと言ってるようです。


「ララ嬢。分かったよ。あの人のところに行けばいいのよね?」


 私は歩き出しました。

 距離が近づくにつれ、その相手に私はドキドキしています。

 それは相手が誰なのか分かったからです。


「カイン」

「ララ。ただいま」

「ただいまじゃないわよ。心配したのよ」

「ごめん。こんな日に目の下にクマなんか作らせてごめん」

「クマなんてできてないわよ。クマの話じゃなくて、こんな日って何?」

「ん? それはこれから分かるよ」


 そうカインが言うと、どこからか音楽が聞こえます。


「ふ~ん、ふ~ふ~ん♪」

「ハミング?」

「そう。人魚のアンが出してるんだ」

「どうしてそんなことしてるの?」

「俺達の為だよ」

「私達?」

「そうだよ。俺とララの結婚式の為だよ」

「結婚式?」

「そう。結婚式だよ」


 私は結婚式をするみたいです。

 えっ。

 そんなの聞いてません。


「いきなりすぎじゃん」

「俺はいつでも覚悟はできてたよ?」

「私もだよ」


 私が嬉しくて笑っていると、カインは私の前で片膝を地面につけ、私を見上げます。


「カイン?」

「ララ」

「はい」

「これからもずっと俺の隣で笑っていてほしいんだ。俺の大切なララ。俺と結婚してくれますか?」

「うん。これからもずっと一緒だよ」


 私がそう言うとカインは指輪をはめてくれました。

 私は今日、結婚しました。


「ララおめでとう」

「えっ」


 私は声のする方を見ると元婚約者の皆さんが拍手をしながら見ています。


「仲間には俺達の結婚式に参加してもらわないとな」

「それで帰りが遅くなったの?」

「簡単に言えばこれが見つからなかったからだよ」


 カインはそう言って花束をくれました。


「これって私達のお花だよね?」

「そう。レインボーカラーの花だよ。みんなでスワンの住む地域で探したんだ」

「そうなんだ。皆さん、ありがとうございます」


 皆さんは頷いて笑っています。

 とても幸せです。

 ずっとこの幸せが続けばいいのに。


 結婚式の宴は夜まで続きました。

 少し一人になりたくて砂浜に座ります。

 一人で海を眺めていると、その隣に静かにカインが座ります。


「私はカインの全てを知ってるの」

「全てを?」

「そうだよ。だから、もう遅いんだからね」

「何が遅いんだよ?」

「私以外に好きな人なんていないのは知ってるの。嘘はバレバレなんだからね」

「あの言葉を忘れていなかったのか?」

「だから、訂正してよ。本当のことを言ってよ」

「俺はララ以外に好きな人なんていないんだ。ララが一番だよ」

「私もどんなに婚約者候補を連れてきてもカインが一番だよ」


 そして私達は抱き合いました。

 ギュッと、離れないように。


『ありがとう。ララ』


 何?

 どこからか声がします。

 カインも、動物達も、みんな止まっています。

 時間が止まったようです。


「誰なの?」

『私よ』


 すると海の上に浮かんでいた黒い鱗でできた卵形のものが光ります。

 そして一瞬、光ると目の前に大きな白い羽をバタバタと羽ばたかせている天使が現れました。


「黒い人魚さん?」

『そうだよ。でも本当の私は天使なの』

「天使さんなんだね」

『あなたも思い出したんじゃないの?』

「思い出す?」

『あなたの今までの記憶だよ』

「今まで?」


 すると、私の頭の中に今までの記憶が戻ってきました。

 色んな記憶が浮かんでは消えていきます。


『これが最後よ』

「最後? 私の記憶は全て幸せだったよ?」

『そうなの。どうしてもこの世界には魔法は必要だと証明したかったの』

「でも何度も私は魔法のない世界での幸せを選んだんだね」

『そうね。だからもう、諦めたよ。これが最後よ』

「最後って、私達はどうなるの?」

『また生まれ変わって、新しい人生を過ごすんだよ』

「カインは?」

『生き物の全てがまた始めからだよ』

「カインは覚えているの?」

『分からないけど、あなた達はいつも繋がるの。だから離れることはないと思うわ』

「次の世界は魔法もない、幸せな世界なの?」

『それはあなた次第よ』

「えっ」


 そして天使さんは大きな羽をバタバタと羽ばたかせて空へと飛んでいきます。

 真っ暗闇に一瞬だけ強い光りが世界を明るくしました。



 そしてまた、私は消えてなくなるのです。



◇◇◇◇


「ララ。早く来なきゃ遅れちゃうよ」

「待ってよ。少し休みたいの」


 私はララ。

 友達と学校に遅刻しそうで急いで走っているのです。

 いつも私のせいで遅刻しそうなのです。

 今日もいつも通りに急いで角を曲がります。


『ドンッ』


 誰かにぶつかって私は倒れてしまいました。


「いったぁい」

「あっごめんね。でも君も悪いよ」


 私とぶつかった男の人はそう言いながら私に手を差しのべてくれました。


「すみません。ありがとうございます」


 私は男の人の手をとり、立ち上がりました。

 すると男の人は私を引き寄せ顔を見てきます。


「あのっ、何か?」

「君って俺と会ったことはないよね?」

「ないですよ。私はあなたとは初めて会いましたよ?」

「そうだよね。それならまた次、会ったら君の全てを教えてよ」

「いきなり全てを教えるなんて無理です」

「教えてもらう必要はないかもしれないよ」

「どういうことですか?」

「君の誕生日は今日だよね?」

「えっ何故それを? 魔法ですか?」

「魔法は絵本の中だけの話だよ。でも何故だろうね。俺にも分からないけど、誕生日おめでとう」

「ありがとうございます」

「それじゃあ、また会えることを楽しみにしてるよ」


 そして男の人と別れました。

 イケメンだけど変な人でした。

 それなのにとても気になります。

 また会いたくなりました。


「あっカイン王子よ」


 どこからか女の子の声が聞こえます。

 学校へ向かう足を少しだけ止めてその声の方を見ます。


 そう言えば噂で、この国の王子様が成人をしたから顔を御披露目するために、国中をパレードしていると言ってたような気がします。


 私は王子の顔が気になって、たくさんの人々の間を抜けながら見える位置まで行きます。


「王子様が馬車から降りてきてるわ」

「どうしてなの?」

「えっ、こっちへ来るわよ」


 女の子の声が近くで聞こえます。

 小さな背の私は全く見えません。

 見るのを諦めて学校へと向かおうとしました。


「また会ったね」


 聞き覚えのある声に私は振り向きました。

 そこには、さっき別れたばかりの男の人がいました。


「どうして?」

「どうしてだろうね?」

「えっ」

「それじゃあ、君の全てを教えてくれる?」

「えっ」

「さっき言ったじゃん。俺は君とずっと一緒にいたいって」

「えっと、そんなお話をした覚えはないのですが?」

「まあ、いいじゃん。ララ」

「えっどうして名前を?」

「どうしてだろうね?」

「やっぱり魔法よ」

「魔法じゃなくて記憶なんだと思うよ」

「記憶?」

「前世での記憶だよ」


 変な人です。

 前世の記憶なんて覚えてる訳がないのです。

 それなのに私はそんなカイン王子が気になります。


「前世で出会っているのなら、あなたが前世の私を思い出して全てを知った時、もう遅いのです」

「遅い?」

「そうです。私はもう、あなたから離れられなくなっているからです」

「それは嬉しい言葉だね。俺はもう、君を離さないからね」

「嬉しいです」


 そしてカイン王子は私の手を握ってくれました。

 温かくて、大きな手がとても懐かしく感じました。


 するとそんな私達の周りに激しい風が吹きました。

 するとカイン王子は私を風から守るように抱き寄せました。


『やっぱり、あなた達は惹かれ合うのね』


 風に乗ってそんな声が聞こえてきた気がしました。

読んでいただき、誠にありがとうございます。

長いお話を書くのは大変ですね。

少しでも読んでいただいた方の心に残ってくだされば幸いです。

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