ブラック企業を認めて良いよ?
「こんなことも分からないんですかあ?」
「何?適当でいいよ適当で」
「融通がきかないなあ、普通こうするよね?」
「当たり前だろうが!」
何をブラックとするかは人それぞれ。それでもオレは・・・
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「キミが辛いなら、それはブラックだよ?」
「でも先生、私が愚図なのが悪いんです。いつも周りを苛苛させてしまいますし」
「・・・」
「トイレの個室で、聞いたんです。同僚や上司が【絡みづらい】とか【邪魔】だとかって」
「それは、きついね」
「こんな状態が何日も続いてて、自分でも分かっているんです。私が迷惑かけてるって。私さえ居なければ良いんじゃないかって」
「不安が、頭の中いっぱいにあるんだね」
「私だって、会社の役に立ちたい。一人の社会人として、普通に仕事がしたいんです。でも出来ないんです」
「出来ないと感じて、辛いんだね」
「子供の頃から、仲間はずれにされることが怖くて。やりたくないことも引き受けて、一生懸命にやって、それでも認められなくて・・・」
「一生懸命、やりたくないことでも、誠実に努力しているんだね」
「はい・・・」
「・・・」
「私は、どうすれば」
「・・・」
「教えてくださいよ、先生」
「・・・どうすれば、佐々木さんの辛い気持ちが和らぐか、一緒に、考えていきませんか?」
「一緒に?」
「はい」
「・・・私に生きる価値って、あるのかな」
「・・・佐々木さんは、イヤなことでも、自分なりに一生懸命取り組んでますよね?」
「はい」
「悲しい気持ちを今までぐっと耐えてきた」
「はい」
「人の痛みが分かる人です」
「・・・」
「貴女はとても頑張っています」
「・・・」
「私はあると、そう思います」
「・・・有難う、先生」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
世間ではブラック企業が存在する。
ブラック企業の被害者と、いじめの被害者は同じだ。
劣悪な環境でないと世間で認知されていようとも、自責の念に苛まれて、心身共に崩れてしまう人。
そんな人に、形だけ寄り添う、仕事だから寄り添う、法律で決まっていて罰せられるから寄り添う。
私は直接加害者では無い、サポートしたのに上手くいかないのは個人の問題。
そう思う風土をもつ企業が、ホワイトではなくブラックなのだ。
これは事実をベースに、フィクションをブレンドした、俺と様々な【生きづらい】人たちの物語。