4本目 青春
今日は青春映画みたいな!青春といえばジャンクフード!帰りにハンバーガー買って帰ろ〜!
新しい死体が同時にふたつも見つかり、現場の空気は凍りついていた。今回はある高校の運動場で朝1番に来た校長先生が死体を見つけた。死体は、運動場の真ん中に置かれ、男女が抱き合うような形にされている。彼らの腕や手、体は赤い糸により縫い付けられ、簡単には引き剥がせない。
「この高校に通う生徒だそうです…」
山本は手帳が曲がるほど強く握っている。
「ひとつの事件で2人も…」
「酷いもんだ…未来ある子供を…」
澤田は2人の死体の近くにしゃがみこみ、項垂れている。
「またありました…」
山本はこちらにいつもの封筒を渡す。封筒を受け取り、表面を見ると『青春映画』と書いてある。封筒をあけ、中から3つ折りの紙を取り出す。3つ折りの紙を開き、いつもの小説のような文章を読み始める。
『彼らは愛し合っていた。愛し合っていたがそれを相手は知らなかった。最近の言葉を使うならば彼らのような関係は『両片思い』というらしい。友達に告白するようアドバイスされたが思春期の彼らは恥ずかしくて告白できず、結ばれぬままここを旅立とうとしていた。しかし、私はそんなもどかしい関係なんて大っ嫌いだった。そこで、彼らをくっつけてあげた。彼らは私の手の中で告白に成功し、幸せの絶頂で私の手によってその未来は摘まれることとなった。それはそれは幸せそうな死に顔だったよ。そんな幸せそうな顔を見て私も笑壺に入ったよ。やはり、恋は人を変え、愛は人を幸せにする!どっかの偉い人が『愛は人生のスパイスだ』と言っていたのを思い出すよ。確かに愛は人生のスパイスだ。平凡な人生を変えるのはいつも何かへの愛だ。私がこの世界に入ったのも神田はんを愛したから…神田はんが自殺してしまったのも松尾はんを愛してしまったから…彼らが死んだのも愛し合ってしまったから…愛は人生を変える。いい方向にも、悪い方向にも。面白いものだね。』
「・・・。」
「気を落とすな松尾。神田が死んだのはお前のせいじゃない。」
「そうですよ!松尾さんのせいじゃないです!」
「ありがとうございます、2人とも。犯人を早く捕まえましょう…」
「あぁ!」
「はい!」
封筒を鑑識にまわし、2人の繋がった死体が運び出されるのを見送り、捜査を始めた。
次回は9月8日火曜日に投稿します。