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冒頭だけシリーズ2  作者: 江菓
1/9

1本目 アクション

プロローグ

私は、彼のように料理が得意ではない。でも、物語を読んだり書いたりするのは得意なの。彼のやり方とは違うかもしれないけれど、でも、彼を思い出すにはちょうどいいでしょう?


今日は、アクション映画の気分!帰ったらアクション映画を見ながらポップコーンでも食べようかしら。


死体が見つかったと連絡が入り、澤田と車に乗って現場に向かう。1ヶ月ほど前に婚約まで考えていた女性がステーキにされ、殺人鬼とかした同僚が目の前で自殺したため、澤田の気遣いにより1ヶ月ぶりの現場である松尾の顔は無表情だった。

「・・・大丈夫か、松尾。」

「大丈夫です、すいません。」

「・・・ほんとに無理はするなよ。」

「はい。」

顔が怖いぞ、と松尾に澤田は食べていたミントガムを渡す。松尾はそれを受け取り、食べ始める。澤田は松尾の目に悲しみと怒りがこもっていると感じた。車についているラジオからは1ヶ月ほど前から行方不明になっている女優の大宮 光の話が流れている。ガムの味がなくなり、紙に吐き出し捨てる頃現場に到着した。

現場はあるマンションの屋上だった。屋上に倒れた死体は苦悶の表情を浮かべた20代の男性だった。男性の下は血の水たまりが出来上がっており、その血溜まりはまるでヒーローのマントのようになっている。

「こりゃすごいな…」

「まるでマントですね…」

「あっ松尾さん、澤田さん!」

「ん?山本!?」

「えっあの遅刻魔の!?」

「どうもどうも、遅刻魔の山本です!」

「もう遅刻魔は卒業したのか!」

「えぇまぁ、神田みたいにしっかりしないとなぁと思いまして!とりあえず遅刻魔を辞めました。」

キリッとキメ顔をする元遅刻魔の山本は澤田に頭を撫でられてまるで柴犬のように喜んでいる。松尾はそんな二人を見て少し昔を思い出す。神田が事件を起こす前のことを。

「あっ、そういえば松尾さん。」

「なんですか?」

「実はこれが死体の近くに落ちていて…」

そう言って山本は見覚えのある封筒を手渡してくる。

「こ、これは!?」

松尾と澤田は一瞬固まる。山本から封筒を受け取り、見ると表面に『アクション映画』と書かれている。

「神田は死んだはずじゃ…」

「模倣犯…ですかね…」

澤田は松尾に早く読んでくれと催促する。松尾も覚悟を決め、封筒をあける。中には3つ折りの紙が入っている。紙を持つ手が汗ばむ。あの地獄がまた始まる、そんな嫌な予感がすぐ後ろまで迫っているような気がした。紙を開くと、またあの小説のような文章が目に入る。

『彼は、まるでアクション映画に出てくるヒーローのような人間だった。困っている人には手を差し伸べ、決して笑顔を絶やさない、泣いている人には寄り添ってあげる、本物のヒーローのような人間。でも、所詮人間だった。スーパーパワーもなければ、悪と戦う力もない、あるのは持ち前の勇気と優しさ。そして、彼をそういう人間にしたのは高校の時の親友だった。その親友は俗に言うオタクで特にアメコミやヒーローものを好み、彼にもよく話していた。しかし、そんな弱い人は悪い者のターゲットになる。どんな話でも弱者は強者の食い物になる。親友はクラスの人からいじめられ、引きこもりになった。そんな親友を助けるために彼は奮闘したがそれも虚しく、親友はいじめに耐えかね自身の教室で首を吊り、人生の幕を閉じた。それから彼は、ヒーローであることを心がけた。親友の好きだったヒーローになり、人生を生きた。そんな彼は私という悪役の手によってその人生に幕を下ろした。バッドエンドも面白いでしょう?私は神田はんのように料理は得意じゃないから、得意な物語にしてみたわ。私は模倣犯じゃない、それだけは覚えておいてね。』

と書かれている。冷や汗がつーっと背中を流れ落ちるのがわかる。その場にいた全員が困惑していた。神田を知っていて、模倣犯ではないと断言するこの殺人事件の犯人は一体何者なのかと。

「神田では無い…模倣犯でもない…」

元神田のバディである山本は神田を思い出したのかしゃがみこんでいる。

「まさか…いるかもしれないと言われていた共犯者か…!?」

「・・・有り得ますね…神田をよく知っていてもう一度犯行を真似るなら…まだ捕まっていないのは”いるかもしれない共犯者”だけです。」

澤田の問に松尾は真剣な面持ちで答える。山本は立ち上がり、松尾から封筒を受け取り、とぼとぼと歩いていった。他の人の話によると、山本は神田にとても思い入れがあり今はずっと1人でやっているらしい。澤田はそんな山本をほおっておけず、寂しそうに歩く山本の背中に声をかける。

「山本。俺ら2人と事件をおわないか?」

「い、いいんですか?」

松尾もそんな澤田に異論はない。

「ありがとうございます!!!」

山本は封筒を鑑識の人間に渡すと、澤田と松尾に駆け寄る。神田の被害者3人組は事件の捜査を始めた。

毎週火曜の0時と12時に1本ずつ投稿していきます!!!(予約投稿だから予約するだけだけど…)

よろしくお願いします!後、今回もおまけが1本あります!

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