表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神帝との契約  作者: レビウス
12/15

12.正体に近づくもの

場の雰囲気は一気に変わり、ロバートの周りにいた奴らも全員、

レイラを囲む様に集まる。


「え....なになに?」


レイラは戸惑っている様子だ。周りをキョロキョロ見回しては

首を傾げている。


「レ、レイラさん、何と契約しましたか?」


1人の女の子がレイラにそう聞いた。レイラは、あーなるほどね、という

顔をして答える。


「ティターニア(妖精女王)よ」


その瞬間、場は騒然となる。


「ティターニアだって、すげぇ」

「さすがレイラさんだ!」

「羨ましいなあ」


それもそうだろう。妖精は神生の中でもかなり高位の存在だ。その妖精たち

の女王となれば、皆が騒ぐのも無理はない。


「俺もティターニアが良かったなぁ」

「ふん、バカめ。一番すごい神生がここにいるというのにな」


霊体化しているアンドロメダは悔しそうだ。


「そもそも、妖精など別にそこまで、すごいものでもない。この我輩ならば

小指だけで倒せるわ」

「ただの妖精じゃないぞ。妖精の女王だ」


俺は念のため、釘を刺しておいた。



「うおおおースッゲーーー!!」

「かわいいーー!!」

「きれいーー」


みんながさらに騒ぎ出したので俺は何かと、振り返る。


「おおっ」


ティターニアが姿を現していた。身長はレイラと同じくらいで美少女だ。

やはり、ただの神生と違って神秘的なオーラを放っている。


「ほお、我輩のものにするに値する容姿だな」


アンドロメダはどうやら恋をしてしまったようだ。いや、恋というより

支配欲というやつだろう。


わがままだからな......



というか、ここまでレイラがみんなに注目されていたら、ロバートはいい顔

をしないんじゃないかと思って、俺はロバートの方を見てみる。


するとビックリ、見惚れていた。レイラに見惚れているのか、ティターニア

に見惚れているのかはわからない。いや、どっちにもかもしれない。


ただ、どうやらロバートは自分と同じかそれ以上と思っている人間が

自分より目立っても特に嫌ではないらしい。


もし、俺なんかがロバートより目立っていたら、殴りかかってくるだろう。

ロバートの前では、できるだけ目立たないようにしようと、改めて思った俺で

あった。



結果としてクラスで特に凄かった神生と契約したのは、ロバート、レイラ、

緑の3人であった。ロバートはロウナイトと、レイラはティターニアと、

緑はミステと契約していた。


ちなみに緑は2学年の男の中ではトップクラスの優等生で、レイラの

ライバルといった感じだ。


だが、これはあくまで、客観的に見た話で本人は一人称、僕のおとなしい

性格で、特徴は誰にでも優しいといったところだ。


そして、この緑と契約したミステというのは小さい猫のような姿をしている

神生で、特徴は伸びしろの幅が広いのと、どのように成長するのかが

一匹ずつ、違うという点だ。


つまり、同じ種族でも火を吐く奴や、魔法は使えないが近距離戦は強い、など

違う能力を持っているということだ。


緑はこのミステと契約するために、遠くまで探しに行っていたらしい。

なぜ俺がこんなに緑のことを知っているかというと.......




あと、フェルドは銀狼と契約していた。文字どおり、狼のことだが

ただの狼とは違い、一回り大きく強い。


なかなかレアだ。本人がもったいぶって言わなかったのも分かる。

きっと、みんなの前で、すげーとでも言われたかったのだろう。


ただ、なかなかレアな銀狼だが、ティターニアの前では霞んでしまっていた。




「ちっ。昨日の見てたから派手に戦るのかと思ってたのに、これじゃあ

ただの棒ふりじゃねぇか」

「まあ、文句言うなよ」

「でもなぁ。これならまだ、王国の歴史の授業でも受けてたほうが楽しいぜ」

「確かにな....」


武芸の授業中、フェルドは俺の隣でずっと文句を言っていた。

それも無理もない。今日の武芸の授業は昨日の激しい模擬戦とは一変、

ただの素振りだったからだ。


周りも全員、つまらなそうに武器を振っている。


「サボってはいけませんよ。しっかり手を動かしなさい」

「はいっ、先生」


俺たちはシーファ先生にサボっていたことがバレて、再度、素振りを

し始めた。




全ての授業が終わり、俺とアンドロメダは馬車で屋敷に帰宅した。


「我輩はもう疲れた。早く食事を用意するのだ」

「あと2時間くらい待てないのかよ」


今日も変わらず、アンドロメダはわがままだ。


「2時間はダメだ。ならばあと1時間の猶予をやろう」

「しっ、霊体化してろ」


俺はアンドロメダを霊体化させると、廊下の先にいた緑色の髪の少年に

話しかける。


「久しぶりだな、緑」

「やあ、シリウス。久しぶりだね」

「どこまで行ってきたんだ?」

「あっちの山脈の方だよ」


山脈か。遠いな。


「ああ、ありがとう。じゃあ俺は部屋に戻っとくよ」

「うん、後で宿題、一緒にやろうね」


俺はその場を立ち去る。アンドロメダは不思議そうな顔をして


「あやつはお前の学園にいなかったか?」

「ああ、いたよ」


そう、緑色の髪の少年こそがプレアデス学園、2学年を代表する優等生、

緑であった。


「何故、あやつがここに居るのだ?」

「一緒に住んでるんだ。子供の頃からな」

「それは何故?」

「いつだったかな...俺たちがまだ、とても幼い時に緑の親が亡くなった

そうなんだ。それで、その緑の親と知り合いだった、うちの父さんが

緑を引き取ったってことだ」


アンドロメダは「ほぉ」と興味深そうに腕を組んでいる。

なんか賢そうに見えてきた....




一方、プレアデス学園の屋上では2人の美少女が並んで、外を見下ろして

いた。


いや、1人の美少女と1体の美妖精と行った方が良いであろう。

妖精は少女に話しかけた。


「レイラ、少しあなたの同クラスの神生のことを聞かせてもらいたいです」

「神生? 主な強い神生はさっき言った2種だけだけど。特にロウナイトね」


レイラと呼ばれた少女は何か考えながら答えた。すると、妖精は首を振り、

言った。


「ならば、シリウス・ラングレーという男について聞かせてもらいたいです」

「え? シリウス?」


レイラは驚いて聞き返したが、即座に普段の状態に戻った。


「別にシリウスの神生は強くないわ。ゴブリンよ」

「ゴブリン....それは実際にレイラが見たのですか?」


妖精の方は腑に落ちないようでずっと考え込んでいる。


「いえ...別に私は見てないけど....」

「やはり....そうですか....」

「それがどうしたのよ?」


レイラは気になって仕方ないという様子だ。妖精は答える。


「あのシリウスとやらの神生....気配が何か変でした」

「変?」

「ええ。ゴブリンかといえば確かにゴブリンなのですが....普通のゴブリンは

実際よりも強く見せようと、気配をできるだけ大きくします」

「シリウスのは違ったの?」

「ええ。かすかにでしたが....あれは気配を大きくするより、気配を

押し込めていたような感じでした」


レイラはごくっと唾を飲み込む。


「つまり....」

「ええ。まだ確証はありませんが、あれはゴブリンではない別の何かかも

しれない。」



ティターニアとレイラが初めて、アンドロメダの正体に近づいた瞬間だった。






評価とブックマークをお願いします!!

評価をくれたら、作者のモチベが上がり、1日2本投稿とか

するかもです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ