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5話 賢者と勇者

兵士に地下牢まで連れてこられた。薄暗くジメジメしている。カビの匂いが鼻を刺激する。



ライは地下牢入口から入って一番奥の牢に入れられた。




「ここで少しは頭を冷やせ!お前は召喚者だ。言われた通りにすればいいんだよ。」



そう言って錆びた檻の向こうから兵士が言って去っていった。




ヒナタは牢の中の奥に座る。地面も壁もコンクリートのような壁で苔やカビが生え衛生的にはあまり良くないのがわかる。






(しかし、我ながらにして挑発うまいなぁ俺!)




自画自賛していると通路を挟んで向こう側の牢屋に1人の老人が見えた。



その老人は見るからに弱っていた。痩せこけて手枷足枷はスカスカになっていて、顔のシワも多く頬骨の骨格が分かるほどだった。




「お前さんはなぜここに来た。」




老人は口を開き、地下牢に声が響く。



突然老人が話しかけてきたことに少し戸惑う。




(俺に話しかけているのか?多分俺だよな?)





「王様に無礼な態度とったとかなんとかで。」




「ハハハハッ!」



老人は病弱そうにみえて大きな声で笑った。





「そんな理由でここに来たのか?よっぽど王の癪に触ったようじゃの。」




老人は笑いを辞め、真剣な表情になる。



「この世の中はとても些細な事で人生が崩れる。わしはこう見えて賢者と呼ばれていたからよくわかる。人は罪深いのじゃ。今まで自分が積み上げたものを簡単に崩してしまう生き物なのじゃ。」




その言葉は何より重みがあった。しかしスリルを求めて死んだ男には何1つ響かなかった。





「賢者?なんでここにいんの?」






「わしは最初の召喚者なのじゃよ!わしが賢者になったばかりの頃だった。歳は違えど見た目はあまり今とは変わらんぐらい前じゃがの。」






勇者が召喚されて全てが狂い始めた。5属性適性者で運動能力も高い。もはやチートレベル。召喚当時は勇者が現れたとパレードが開かれるほど町中が大騒ぎになった。



金も力も女も手に入れた勇者は物足らなくなったのだろう。世界を欲し始めた。魔王と裏で手を組んでいるのとに気づいたわしはそれを知らせようと訴えた。



しかし、それは無理だった。民衆からすれば勇者は善の象徴とも言える存在。その先入観を変えることが出来なかった。結局反乱を起こしたが失敗に終わり今に至る。





「わしはこうして死が近づくのを待つことしかできん。」






「つまんねぇな...。まぁいいや死ぬなら死ねばいい。」


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