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1話 あっけない人生

その日、俺は死んだ。


影宮 ライ(23)高層ビルの屋上で一服して飛び降りた。

落下による風のせいか周囲の音はかき消され、地味に伸びた真っ黒のさらさらの髪としっかりと締められたネクタイが風で靡く。





(なんでこんなに胸が高鳴っているのだろう)





ライはこの状況を楽しんでいた。リスキーな事が大好きだった。

ただ単に“ 生を感じたい”それだけがライを動かす原動力となっていた。






(飛び降りるんじゃなかった...。興奮したのは最初だけかよ。)





落下スピードが増し、だんだんと意識が脳に引き寄せられ走馬灯が走る。



俺が生まれたのは確か大嵐の夜らしい。昔から変な子でちっとも可愛らしくない子だった。サンタさんも信じたことも無く幽霊も宇宙人も占いもヒーローも全く興味を示さない子供らしくない子供だった。小さい頃から泣きも笑いもせず人形のような子として周囲から恐れられた。

     


地面が近づいているのが感覚として分かった。街の街灯や車の照明の彩りがライを手招きしている。



そして地面に叩きつけられる。すべての内臓器官や骨などが損傷する音が聞こえる。



次第に通行人によって囲まれ始める。辺りは野次馬によって騒ぎになる。携帯カメラの音がライに向けられる。





(飛び降り自殺ってショック死って聞いたんだけど...。現実は案外酷いんだな)





意識は朦朧としていた。この高さから落ちると即死なのに何故か意識はある。背中や首の骨をやっているため体の感覚はなく痛みもなかった。脳だけがまだ生きてる状態だろう。


しかしそれも次第に薄まっていく。




「つ、つ...まら...な。じん...せ...い...だぜ...。」




そういってライは23歳で人生に幕を下ろした。





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