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僕のクラスメイトが異世界に行ける装置を発明したようです。  作者: 大内 菖蒲
第1章 チュートリアル
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第7話 ピンチの訪れ

忙しいです。

「で、どうすんだよ中村?」


「知るか、とりあえずあのうさ耳女が言ってた方向に走るしかないだろ」


結構長いこと走っているけど、本当にこっちの方向に出口があるのだろうか? あったとしても僕たちみたいな怪しい奴を通してくれるか分かんないし...。


「ハァ、ハァ...。 あの、白玉とかいう女の、言ったことが、正しいとは思え、ないけどな!!」


鷲尾君も息切れしながらそう言った。


「分かんないけど、今は信じるしかないよね」


僕はそう返事をして、先を見据える。 あちこちから聞こえてくるサイレンの音も、心なしか大きくなっているような気がした。


...それにしても、名波君と先生は一体どこに行ったのだろうか。 彼らが葉加瀬の発明品を持っているのだとすれば、早く合流しておきたいところだけど。


「おい神木、あれを見ろ!」


突然、中村が僕に向かって叫んだ。 何かを見つけたようだ。


「あれは...出口?」


中村が指す方向を見ると、そこには僕の背丈の倍ほどの扉があった。 もしかしてここから出ることができるのだろうか。


「ハァ、ハァ、閉まっているようだが、出れるのか?」


未だに息切れしている鷲尾君が言った。 確かに、扉は固く閉じられていて、ちょっとやそっとではビクともしなさそうだ。


「任せろ、俺の洗練されたキックで蹴り破ってやる」


と、中村がそう言って足を上げた瞬間だった。


「こらぁ!! お前たち、そこで何をしている!!」


僕らの後ろで怒声が響いた。 辺り一面に響いていたサイレンをも打ち消すような大音量だった。


(おいおい、ついに見つかっちゃったよ。 お前のせいだからな中村)


(はぁ? 俺のどこに非があったって言うんだ?)


(まぁ、今謝れば許してもらえるかもしれないし一回謝ってみたらどうだろうか?)


「何をブツブツ言っている! さっさとこっちを向かんかぁ!!」


(ほら、声聞いた感じ女の人っぽいし、許してもらえるかもしれないだろ?)


(う...。 そうだな、それしか方法はなさそうだ...)


(鷲尾君、冷静だねぇ)


(今起こってるこの事態に理解が追いついてないだけさ。 ...よし、じゃあ同時に振り向くぞ)


(((せーの!)))


「「「すいませんでしぶふぉ!!!!!」」」


吹き出した。 吹き出してしまった。


「何を笑っているんだ!!」


「いえ、何でもありま...ぶはっ! ハハハ! 駄目だ!

見た目と口調のギャップが面白すぎる!!!」


「ちょ、やめて鷲尾君笑わせないブフォッ!! アハハハハハ!!!」


僕たちに向かって怒鳴り声を上げた人物。 あの口調で、まさかのロリ体型でした。 小学生と言われても違和感の無いような、ランドセル背負ってても素通りしちゃうような、ガチの幼児でした。 しかもその体型で真面目なスーツを着ているのだから更に面白い。


「なんだこれ可愛いなかわいいかわいいおかわわ」


中村なんてこのザマである。


「鷲尾君、駄目だよ笑ったら。 早く謝らないと許してもらえないかも.....ふふっ、ハハハハハハ!!」


「安心しろ、貴様らはもう絶対に許さん」


な、何だと!? 僕らはちゃんと謝ったっていうのに!! 何て酷い幼女なんだ...。


「おい幼女って言うな」


「え、でも幼女でしょ」


「私は12歳だ」


「ふむ、じゃあ童女か」


「よし殺す絶対殺す」


彼女、もとい童女は額に青筋を浮かべて腰に手をやる。


「貴様らなど木っ端微塵にしてくれる」


そして、何処からか刀を取り出した。 怖い童女だ。

...あるいは中村なら、そこにもある種の魅力を見出すのかもしれないけれど。


「おいおい、銃刀法違反だぜ」


「ふん、貴様らは人間なのだから文句は言えないはずだ」


正直、銃刀法違反がこの世界に通用することに驚きを隠せなかった僕だったが。


鷲尾君は、それよりも気になったことがあったようだ。


「何を言っている? お前も人間だろう?」


確かに、そうだ。 僕らの目の前に立ちはだかっている幼女、否、童女は、どこからどう見ても、人間の姿をしていた。 確かに、そうなのだけど...。


果たして、ここでそのような常識が通用するのかどうか。


「はぁ? 何をほざいている、貴様」


童女は、続けて口を開く。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


....そうだった。 すっかり忘れていた。 さっき、身をもって実感したばかりじゃないか。 何も、けもみみ生えてるだけがオカルトじゃないんだ。


しかし、となるとこの童女は一体なんのオカルトだ?


「...その童女呼ばわりもそろそろ我慢できなくなってきたから教えてやろう。 私は、()()。 鬼の、鬼ケ原 勇(おにがはら ゆう)だよ」


「「な、なんだってー!!!」」


「おいなんだそのムカつく驚き方。 殺すぞ」


まさか、鬼だったなんて...。 こんな童女が鬼だなんて、ギャップがすごい。 ギャップ萌えだ。


「まぁ、この名前を貴様らが使うこともないだろう」


「え? 童女って呼び続けろってこと?」


「違ぇよ!! 脳内お花畑か!貴様らはここでこの私に殺されるんだよ!!!」


あ、そういうことか、なるほどね.....。


.......。



「逃げるよ、中村、鷲尾君!!」


「異議なし!」


「可愛いいや可愛いななんだあれ可愛可愛いおかわわ」


あっ! 駄目だ! 中村がまだトランス状態だった!! さっきからこいつの声聞こえないなとか思ってたけどそういうことかよ!!


「逃がさない...」


「あっ、凄まじいスピードでこっちに来た!! 鷲尾君時間稼いで!! その間に中村起こすから!!」


「アホか!! 無理に決まってんだろ死ぬわ!!」


「そこをなんとか! このままじゃ皆殺しだ!」


「なんだか俺ばかり貧乏くじを引かされてないか...? ....くっ、だが仕方ない! おい、鬼ケ原 勇! お前、一つ勘違いをしているぜ」


「なんだと...? 何を勘違いしていると言うのだ!」


よし、童女の足が止まった!! 今のうちに中村を起こさないと...。


「おい中村起きろ! いつまでトランスしてるつもりだよ!!」


「おかわわ...可愛いなぁ」


駄目だ! こいつもう駄目だ!!


「さぁ、言えよ。 私が何を勘違いしていると?」


「フッ、いつから俺たちが人間だと錯覚していた?」


鷲尾君も鷲尾君で変なことを話し始めているし...。 時間稼ぎもそう長くは持たなそうだし...。


「どうする...どうすればいいんだ!?」


異世界に到着して約一時間弱、早々の大ピンチであった。













僕の幼女のイメージと童女のイメージは全部物語シリーズが基礎となっています。 と、すると、今回出てきた勇ちゃんは少女と表現した方が良かったかもしれませんね。

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