表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のクラスメイトが異世界に行ける装置を発明したようです。  作者: 大内 菖蒲
第1章 チュートリアル
16/21

第16話 バレてた。

なんか不定期に更新するのもあれだなと思ったので、これから毎週日曜日に更新しようと思います。 読んでくださる方がいるかは分かりませんが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

「勇ちゃんに負けない、か...」


「そう。 でも負けないだけだから勘違いしないでくれよ?」


(億単位の人間と戦える)勇ちゃんに負けない、と言われてもイマイチピンとこないな...。


何より、僕達は勇ちゃんのデタラメな強さを目の当たりにしている。 見ているからこそ、勇ちゃんに勝てるビジョンが浮かばない。


「勇さんに『勝つ』というのは現時点では不可能ですが、『負けないだけ』ならばいくらか難易度は下がります。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


攻撃に当たらなければ、ね。


それができれば苦労しないんだけど、勇ちゃんはマッハ20で動けるって話だからなぁ...。


「ま、癪に障るが、こいつにはそれができるって話だよ」


「えぇ...何そのチート...」


「簡単な話さ。 俺は幽霊なんだよ、実態がないんだ」


「「幽霊!?」」


...とは言っても、オカルトの溢れるこの世界では今更だ。 逆に何故オーソドックスな幽霊より早く、うさ耳だの覚妖怪だの鬼だのが出てきたのか不思議でさえある。


そんな僕の思考を見透かしたのか、こころちゃんが口を開く。


「意思の強い幽霊というものは相当珍しいものなんですよ」


「そうなのか?」


「はい。 浮遊霊や地縛霊など、幽霊自体はそれほど珍しいものでもないんですが、その殆どは自らの意思をもっていないんです」


なるほど...。 でもこの不敗って人、全然幽霊に見えないな...。


「そう、生前の姿を明確に保っていられるというのもとても珍しいことなんですよ」


「そうか、じゃあそれは死ぬ前の姿ってことだ」


「そう。 とは言っても本物じゃないからね。 あくまで姿だけ。 服を洗う必要もないんだ」


「だからと言って、一年中その黒づくめの姿で過ごすのもどうかと思うのだけれどね...」


因幡が苦笑しながら言う。


「それは別ににいいじゃん。 ...で? 今日ここに俺を呼んだ訳は? 守護者が全員揃って、なおかつ知らない面子が並ぶんだから相当やばい案件だろ?」


あ、そういえばまだ自己紹介してなかったな。


「僕は神木 光。 よろしく」


「中村だ。 柔道黒帯だから強いぜ」


「俺は『鷲尾(イグルテイル)』。 神だ」


「名波です。 音ゲーマーだよ」


「初めまして、どうぞ先生とお呼びください」


「あー...。 突っ込みどころ満載なんだが、取り敢えずよろしく」


僕らの自己紹介を聞いて、不敗さんは困ったように頭を掻く。


というか鷲尾君はまだその設定貫き通すのか...。 先生に至っては自分から先生って言っちゃってるし...。


「で、守護者を集めた訳は?」


不敗さんが改めて因幡に尋ねる。


「あら、聞いてるでしょう? 襲撃者と、ガジェットについて。 それについて襲撃者本人から聞き出そうと思っているのよ」


「ガジェット...。 それを使ってその男は勇ちゃんとある程度戦えていたらしいな」


「もちろん私は本気ではなかったがな」


「はいはいわかってるよ...。 じゃあ守護者も揃ったんだしさっさと始めようぜ」


「遅れた者がそれを言うんですか...」


「ごめんなさい」


こころちゃんに突っ込まれ、不敗さんは申し訳なさそうに謝る。 どうやら悪い人(幽霊)ではなさそうだ。


というか、襲撃者をここへと連れてきたのは尋問のためだったのか。 思考が読めるこころちゃんが来た時点で何かしらをするんだな、とは思っていたけど...。


「...さて、いい加減起きろ、襲撃者」


勇ちゃんがぐるぐる巻きにされた襲撃者を蹴った。


「...うーん...」


「ようやく起きたか」


「...何だ? 鬼のお嬢ちゃんじゃねぇか」


目を覚ました襲撃者は、起床早々勇ちゃんの顔が目の前にあって驚いているようだ。


世界最強のオカルトが目の前にいれば驚くのも当たり前だけどね...。


「貴方にいくつか聞きたいことがあるわ」


「ほぉ...。 俺に、ね。 別にいいぜ。 答えられる範囲なら答えるよ」


...なんかやけに素直だな。


他のみんなも僕と同じことを思ったようで、それぞれが訝しげな表情を浮かべていた。


「おいおい、そんな顔で見るなよ。 せっかく答えてやるって言ってるんだぜ?」


「...じゃあ聞くわね」


「おっとその前に、だ。 俺からもいくつか聞きたいことがある。 いいだろ?」


「...いいわよ。 答えられる範囲で答えてあげるわ」


因幡がそう答えると、襲撃者は目線をちらりとこちらへ向けた。


「なんで人間がオカルトに協力してんだよ?」


「「「!!」」」


あー...。 まずいぞこれは。 人間ってバレちゃってるよ。


「何故僕達が人間だと?」


「決まってるじゃねぇか。 俺のガジェットがそいつに効かなかったんだからな」


そう言って、襲撃者は中村を指差した。


言われてみれば、中村は彼に飛び蹴りしてたような気が...。


「おい中村何やってんだよ」


「うるさいな、非常事態だったんだからしゃーないだろ」


確かに、さっきのは因幡と勇ちゃんを手助けするためだから仕方ない。 ...仕方ないんだけど...。


「なぁ、人間だってバレたら僕達殺されるんじゃないか?」


「いや、でも襲撃者達も殺されてないんだから大丈夫じゃね?」


「殺されることはないにしても...奴隷...もしくは人質...」


「怖いこと言わないで鷲尾君」


小声で作戦会議をする僕達。 多分もう因幡達にもバレちゃってるだろうし、どうにかして穏便にこの場をやり過ごす方法を...!


「...クスクス」


「?」


その時、突然因幡が笑い出した。 見れば、他の守護者達も笑いを堪えている。


「な、なに? どうしたの?」


尋ねると、因幡は笑いながら、


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「え...!?」


「名波君と先生君に会った時から気付いていたわ。 だって明らかにオカルトの気配を感じないもの」


「えぇ...!?」


どういうことだ...? じゃあ因幡達は僕らが人間だと知りながらここまで連れてきたのか...?


「まぁ、それなりに知識のある奴だったら会った時点で君達が人間だって気付けると思うぜ。 現に俺も気付いてたしな」


「いや、そうじゃなくてもバレバレもバレバレだろ。 私達に効くガジェットとやらが中村に効いてないのも、貴様らが科学の産物を扱っているのも、全部が怪しすぎるんだよ」


「それに思わなかったんですか? 思考は全部私に筒抜けなんですよ?」


あっ、そうじゃん。 じゃあ僕が『人間だってバレたら殺されるかもしれない』って思ってたことも全部筒抜けだったのか。 アホすぎんだろ僕。


「だ、だけど、何で僕達が人間だって分かってたのに全く警戒してないの?」


「だって私達を助けてくれたじゃない」


「人間がオカルトを助けるなんて前代未聞だからな。 癪だが、貴様らは信用に値するというわけだ」


あー、そういうことか。 情けは人の為ならずってやつだね。


「...で、何であんたらはオカルトに協力してるんだよ?」


痺れを切らしたかのように襲撃者が言った。 ...でも、正直なぜかと言われると困る。 実際、因幡達を助けたのはその場の流れみたいなものだし...。 まぁ、強いて言うならあれだね。


「因幡達が困ってたから、かな」


「まあそうだよな」


「俺としてもロリが困っているのを見るのはいい気分ではないしな」


...うん、マジでこれだよな。 他の理由なんてないし。


襲撃者はそんな僕達の言葉を聞いて、呆れたようにため息を吐いた。


「あんたら、どうやら相当なお人よしみたいだな」


「私達も驚くほどの、ね」


「いやぁ、照れるなぁ」


名波君が嬉しそうに頭を掻いたが、なんか微妙に褒められてない気がするのは僕だけだろうか。


「いいぜ、俺が聞きたかったのはそれだけだ」


襲撃者はそう言って、因幡へと目線を向ける。


「そう。 ...じゃあ、次は私から質問するわ」


因幡はそこで一旦間を置いて、襲撃者に鋭い目線を向ける。


そして、核心を突く質問を投げかけた。


「ガジェットについて、知っていることを話しなさい」





























次回はみなさん気になっているであろう(?)ガジェットについての説明があります....多分。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ