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僕のクラスメイトが異世界に行ける装置を発明したようです。  作者: 大内 菖蒲
第1章 チュートリアル
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第14話 ブレイクタイム

年末年始に熱を出したアホが僕です。

数分前ーー。


「それは...カグツチの炎が出る火炎放射器じゃねぇか」


鷲尾君が、僕が袋から取り出したものを見てそう言った。


僕は頷いて、


「そうそう、葉加瀬が学校で見せてくれたやつ。 僕、思ったんだよ。 これなら殺さずにいけるんじゃないかって」


「何を言ってるんだ、神木。 状況が状況だからわからんでもないが、錯乱してる場合じゃないぞ」


「僕信用ないなぁ!!」


別に錯乱してないし、それを言うなら僕より鷲尾君の方が錯乱してるまである。


そんなことを脳内で考えながら、僕は咳払いをして話を戻した。


「いやいや、僕は大真面目だよ。 確かにカグツチの炎は全てを焼き尽くすし危険だけど、本当に全てを焼き尽くすんだったらどうやって葉加瀬はあの炎を止めたんだと思う?」


「それは...」


「もしかして、停止スイッチみたいなものがあったりするんですか?」


「さすが先生! よく分かってるじゃないですか!!」


そう、まさに先生の言った通りだ。 さっき袋の中で

火炎放射器(これ)を見つけた時、そのすぐ側に説明書のようなものが落ちていることに気づいた。


「まぁ、そこで停止スイッチの存在を知ったって訳さ」


「と、いうことは...」


「反撃できるね、これで!!」


















そして、今に至る。


男が倒れ、動きが完全に停止したのを確認してから、僕はカグツチの停止スイッチを押した。 するとすぐに、男を焼いていた炎が消える。


「いやー、なんとかなるもんだね」


「おかげで助かったわ...。 ありがとう、神木君達」


「私一人でも別に何とかなったんだがな」


「素直じゃないわねぇ...」


守護者二人との会話を済ませた後、僕は中村のもとへと向かった。 あいつはムカつくけど、一応クラスメイトだし死なれては困る。


「大丈夫かい、中村」


「見りゃわかんだろ、全く問題ねぇよ」


相変わらずムカつく野郎だ...。 まぁ、無事なのはいいこt


「しかしなんだ、急に俺の心配をして。 気色悪いなお前」


「くたばれ!!」


「てめ、危な!! 今の蹴り殺意しか感じなかったんだが!? 俺のこと心配してたんじゃねぇのかよ!」


「はぁ? 寝言は寝て言えボケカスがぁ! 僕はお前が死んだらストレス発散する相手が居なくなるからそれを心配してただけだわ!」


マジでムカつくなこの三角コーナー! 殴らせろ! 一発殴らせろ!!


「素直じゃないのは向こうも同じ、ね...」


「素直じゃない男なんて2次元でも3次元でも需要ないな」


「「誰が素直じゃないって!?」」


「ほら、息ピッタリ」


誰がこいつなんかと...!! あー、ほんと何で僕は男子校に入っちゃったんだろうなぁ...。


「どうでもいいが、因幡の家に向かっているんじゃなかったのか?」


「そういえばそうだ、さっさと行こうぜ」


「そうね、そろそろ行きましょうか...と言いたいところなんだけど...」


突然、因幡が言葉を濁らせる。 もしかして、また何か緊急事態が起こったのか...?


「いえ、そうじゃなくて...」


「何だよ、もったいぶんなって」


「...ここ、もう私の家の敷地内なのよね」


うん? あー、そうなんだ。 もう因幡の家の敷地内なんだ。 だけど、肝心の家らしきものがどこにも見当たらないのはどういうことだろうか一体...。


「因幡の家は広いんだよ。 こいつ、金持ちだからな」


...金持ちか。 私立の高校に入れてもらえた僕も結構裕福な方だと思うんだけど、どうやら因幡は格が違うレベルの金持ちっぽいな。


「で、肝心の家はどこだ? 見当たらないが、地中にでも隠してあるのか?」


「そうよ」


「「「「そうなの!?」」」」


驚きのあまり思わず叫んでしまう。 鷲尾君も冗談のつもりで言っていたようで、僕と一緒に叫んでいた。


「当たり前でしょう。 人間にバレたら元も子もないじゃない」


「ちなみにどのようなテクノロジーを使って...」


「先生ももういいから...」


「それにしても、地中に埋めるなんて大胆な...」


「でもさっき普通にこの敷地内で敵と戦ってたけど大丈夫なの?」


「あ、敷地内だから人通りがなかったのか」


「なんだその取ってつけたような独り言」


ワーワーと騒ぐ一同だったが、因幡は気にせず、澄ました顔をして服のポケットからスイッチのようなものを取り出した。


「はーい静かに。 これが地中にある家を地上まで持ってくるスイッチよ」


「いや待て! 周りの人を巻き込まないようにあえてここまで敵を誘導したんじゃないか!?」


「そこ、深読みしない!」


「なんでもいいからさっさと家に入らないか?」


「ほら、勇ちゃんがイライラしちゃってるでしょ! もうボタン押すからね! 出てくる家に巻き込まれても知らないわよ!」


なんか因幡までキャラぶれ始めてない...? 気のせい...?


まぁ何はともあれ、因幡がスイッチを押した。 果たしてどんな家が出てくるのだろうか。 地中に隠すほどだから、さぞかし大きな豪邸が...。


「...あれ?」


地面がばーん、と大袈裟に割れて、割れ目から家のようなものが姿を現してきた。 ...きたんだけど...。


「なんか大袈裟に割れた割には...んん?」


出てきたのは、そこら辺に建ってるような大きさの、ごく普通の一軒家だった。


「僕でもこんくらいの家には住んでるぞ...?」


思わず唖然としていると、因幡が言った。


「一人暮らしなんだからこの程度で充分でしょう?」


「「「一人暮らし!?」」」


更なる衝撃発言が因幡から飛び出した。 この国のトップ的な人(兎?)がボディーガードも付けずに一人暮らしって大丈夫なの...?


「家はいつも地下にしまってあるし見つかる心配もないわ。 もし見つかっても私は負けないし大丈夫でしょう」


「そういう問題じゃない気がするんだが...」


「ちなみに勇ちゃんはどこに住んでるの?」


「私は山の上ら辺だぞ」


「鬼だ...!」


二人とも個性を変な風に発揮してるな...。 確かに、確かにそれっぽいんだけど何かが違う気がする...!


「積もる話は中でお願いしようかしら。 さ、早く入って入って」


因幡が家の扉を開けた。 中を覗いても、特に変わったところはない。 やっぱり普通の一軒家って感じだ。


「緊張する...」


「え、なんで緊張してるの鷲尾君」


「な、なんでもない!」


妙に真剣な面持ちの鷲尾君は、意を決したように家の中へと入っていった。 そのあまりの真剣さに首を傾げつつ、僕も彼の後に続いて中へと入った。


「あ、そういえばさっきの奴はどうするんだ?」


家の中に入った直後、中村が思い出したようにそう言った。 さっきの奴...というとつまり襲撃者のリーダーっぽい人のことだろうか。


「奴ならここだ」


勇ちゃんが言った。


見ると、彼女の傍にはぐるぐる巻きにされた例の男が横たわっている。 いつの間に...。


「ちゃんとオカルト未使用の縄で縛ってある。 これなら問題ないだろう」


「その人、怪我は大丈夫なの?」


名波君が心配そうに男を見つめる。


敵として襲ってきたとはいえ、彼も僕らと同じ人間だ。 名波君の気持ちは僕にもわかる。 しかも、彼を燃やしたのは正真正銘僕なので、罪悪感も若干ながら感じる。


「軽い火傷だ。 死にはしないよ」


「あの炎に包まれて軽い火傷って...」


「それもガジェットとやらの効果かもしれん」


「その点については、問題ないのですか? ガジェット...とやらはよくわかりませんが、彼が新たな能力を使ってその拘束を解いてしまうことも考えられるのでは?」


先生が勇ちゃんに向かって尋ねた。


しかし、これに答えたのは勇ちゃんではなく...。


「大丈夫よ先生君。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」


「先生君ってなんだよ」


鷲尾君が突っ込むが、因幡はそれを無視して続ける。


「細かいことは置いておいて、本題に入りましょう。 実は、私が貴方達をここに呼んだのは、あることをお願いするためなの」


























次の話で残りの守護者さんたちが登場します。 お楽しみに!

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