第10話 状況説明
更新遅くてごめんなさい。
「人間、がですか...?」
「えぇ、そうだけど」
因幡は首を縦に振って、
「だから、貴方達にはこの国を人間から守って欲しいのよ。 私達守護者だけだと圧倒的に戦力が足りないの。 見れば分かるでしょう?」
いや、見れば分かると言われても...。
「人間って因幡とかの守護者より強いの?」
僕がそう聞くと、彼女はうさ耳をピンと伸ばして得意げな顔をした。
「そんな訳ないじゃない。 大抵の人間は私達どころか、この国の殆どのオカルトに敵わないわ」
じゃあ、なんでこの国を守る必要があるんだろう? 人間がオカルトより弱いんだったら、この国に危機が訪れることも無いんじゃないかな?
そんな僕の浅はかな考えを読み取ったのか、因幡は呆れたようにうさ耳を振って、
「少しは頭を使いなさい。 量より質とは言うけれど、それにも限りがあるでしょう?」
「ん? と言うと?」
「灰色の脳細胞を少しは働かせろよ、神木。 つまり、オカルトに敵対する人間がとてつもなく多いってことだろ?」
いつのまにか勇ちゃんから逃れていた中村が言った。
いや、分かってたよ? そんな簡単なことはもちろん分かってましたけど、いや、あえて黙っておこうかなー、とかそんな感じ?
「コホン。...えぇと、まぁ大体中村君が言った感じで良いんだけど...」
「大体? それはどういうことだ? あと何故俺の名前を知っている?」
「あー、それはねー、そこのなんだっけ、神木君?がさっき呼んでたなぁって」
...中村の名前はすぐ出てきたのに、なんで僕の名前を思い出すのに時間がかかっているんだ...。 そんなに薄いか、僕の存在感...。
「は、話を戻すわね。 ...まず先に結論を述べると、この国は孤立しているの」
「孤立?」
「あぁ神木、孤立の意味はな...」
「僕を馬鹿にするな孤立の意味くらい分かっているぞ」
「え?」
「心底驚いたような顔をするんじゃない!! あほ! このばか!」
「そのボキャブラリーからして、本当に孤立の意味を知っているのかは疑問だけど......えぇと、孤立は孤立よ。 そのままの意味。 もう少し分かりやすく言えば、この国以外に、オカルトは存在しないと言ったところかしら」
「はぁ?」
えぇと、この国にしかオカルトが存在しないってことは、つまり...?
「...全員敵ってこと?」
「えぇ、そうね。 この国の外に一歩でも踏み出せばどうなるかは分からないわ」
「おいおい、それって絶体絶命って奴じゃないか?」
...鷲尾君の言う通りだ。 いくらオカルトが人間より強いと言っても、全世界を敵に回すとなると、また話は変わってくる。
(確か葉加瀬の話だと、俺たちの世界とこの世界は表裏一体であるとのことだったか。 となると、どちらの世界も大きさは同じであるはずだから...。 なるほど、この国の大きさがどれほどのものなのかは分からないが、かなり分の悪い戦いだな...)
「...? 中村、なんか言った?」
「いや、何も」
と、ここで名波君を処刑し終えた鬼ケ原 勇こと勇ちゃんが、得意げな顔をしながらこちらへやって来た。
名波君、うつ伏せで倒れててピクリともしないけど死んでないよね?
「まぁそう悲観的になるなよ。 何せこちら側には私という最大戦力がいるからなぁ!」
「んー、そうね、貴方は確かに強いけれど、既に貴方が勝つことの出来ない存在が1つ、いや、2つほどあるんじゃないかしら?」
「そ、それを言うなよ。 大体、2人ともこちら側だし、片方はここにはもういないだろう?」
「えーと...。 さっきから気になってたんだけど勇ちゃんってそんなに強いの?」
「だから勇ちゃんと呼ぶなと...はぁ、もういい疲れた。 それより貴様、私が強そうに見えないと、そう言いたいのか?」
「そ、それは...」
「だって見た目小六ロリじゃん」
平然と言い放つ鷲尾君だった。
「いいじゃねぇかロリで。 ロリで強い設定のキャラ、よくあるぜ?」
「確かにそれもそうか...。 いやでも、それは弱体化してロリになるパターンじゃないか? ほら、鉄血にして熱血にして冷血の...」
多分この2人は、勇ちゃんのこめかみに段々と青筋が浮かんできていることに気づいていない。
「中村、鷲尾君、そろそろ勇ちゃんがどれだけ強いのか聞こうよ」
「お、そうだな」
「確かにそれは俺も気になるぜ」
良かった、何とか丸く収まっt
「確かに小学生みたいな体型ですねぇ」
「先生!! お願いだから空気読んで!!」
あぁもう! せっかく僕が助け舟をあげたのに! というか先生はさっきまで黙ってたのに何でこうも絶妙なタイミングで話に割って入って来るんだ!?
「私は分からないことはすぐに質問するタイプなので」
「クソかよ!!」
「コホン。 そろそろ話を戻しましょう。 ほら、勇ちゃん、説明してあげなさいな」
因幡はうさ耳を揺らしながらそう言った。 もしかしたら、彼女は勇ちゃんに怒るタイミングを与えないようにさっさと話を進めたのかもしれないが、あの呆れた表情を見るにただ面倒臭かっただけのようなので感謝の念は浮かんでこなかった。
一方、その怒りを削がれた勇ちゃんは微妙に不機嫌な顔をしたまま、
「私がどれほど強いのかというのは、私もよく分からないが...。 そうだな、私一人で億単位の人間を相手取れる程度には強いのかもしれないな」
「「「億!?」」」
「まぁ、上位の存在である鬼の中でも最強クラスと言われるのが私だからな。 このくらいやってのけないとお話にもならないさ」
じ、次元が違う...。 その気になれば僕たちなんて一瞬で殺されてたということか...。 鷲尾君も散々煽ってたけど、ホント殺されてないのが奇跡だな。
驚愕する僕らを無視して、勇ちゃんは続ける。
「鬼で最強と言えば酒呑童子だが、私の力はそれと互角、あるいはそれ以上だ。 まぁ、酒呑童子なんて大昔の存在私は会ったことも無いし、実際に戦ってみないと分からないがな」
「...で、そんなアンタでも勝てない相手がいるんだよな? そいつらはどんなバケモンなんだよ...?」
「一方はそれほどでもない。 私がアイツに勝てないのと同様に、アイツも私には勝てないからな」
勇ちゃんは不機嫌な顔のまま言う。
「だが、もう一方は本物の化け物だ。 この私でさえそう認めざるを得ないほどにな。 ただ、先程も言ったように奴は既にここには居ない。 どうして消えたのかは謎だ。 どこか人気のないところで過ごしているのか、あるいは人間に退治されたのか...」
「そんなバケモンが人間に退治できるもんなのか...?」
「因幡も言っていたが...質がどんなに高くても、一定以上の数には勝てないだろう?」
いや、確かにそうなんだけど...。 勇ちゃんが億相当なのだとすれば、その化け物は一体どのくらいの数の人間がいれば倒せるんだ?
「なるほど、勇ちゃんが強いことは分かった。 だが、何故その姿なんだ? 鬼ならもう少し鬼らしい姿をするべきじゃないか?」
「鷲尾君、さっきからどストレートに質問してるけどなんかあったの? キャラ確実に変わってるよね?」
勇ちゃんは不敵に笑って答えた。
「なら神、貴様は何故神なのに人間の姿をしているんだ?」
「そ、それはだな...」
もともと人間だから人間の姿してるしかないもんね。
(それにしてもこの設定、絶対面倒臭いことになるよなぁ...)
(イグルテイルを名乗った以上、アイツは自分でなんとかするだろ)
「まぁ、貴様のことなど興味もないから別に答えてもらわなくて良いのだが」
「酷い」
「しかし、やはり不思議だな。 貴様ら、何も知らないようだが、一体どこで生活していたんだ?」
「えぇと、それは...」
「まぁまぁ、もういいじゃない。 彼らは私達の敵ではないと言っているでしょう」
うさ耳因幡はそう言って勇ちゃんをなだめた。 ...助かるけど、一体どうして僕らをそこまで信用できるのだろう...?
そんな僕の疑問を見抜いたのか見抜いていないのか、彼女は僕らの方へと顔を向けて、
「じゃあそろそろ、私達オカルトの大半が人間の姿をしている理由について話しておきましょうか」
「人間の姿をしている.....理由?」
因幡は首を縦に振った。
「私達オカルトが人間の姿で生活することには、それ相応のメリットが存在するのよ?」
設定ガバガバやなぁ...。 なんかアドバイスとかここ直した方がいいとかあったら言ってください...。(ただし俺は豆腐メンタル)