表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

ロベルタと仲間になった!

「ふ……何が勇者よ……私ってほんと馬鹿……」

 夜の噴水の前で、女の子は虚ろな目で笑っている。


「だ、大丈夫?」

「大丈夫? 平気に見える? 私は道化よ……笑いたければ笑いなさい勇者様」

 半分死にそうな顔色だ。


「お爺ちゃんったら……散々勇者だって自慢してたのに、私が勇者になるって言ったら褒めてくれたのに、成れるって言ってくれたのに、嘘だったなんて……酷い」

 落ち込み方が半端ではない。


「今日はもう帰ったら?」

「どうやって帰れば良いのか分からない」


「え? どこから来たの?」

「商人の馬車に忍び込んでここまで来たの。魔王が出たから勇者の選定があるって聞いて」


「もしかして、迷子?」

 女の子は小さく頷く。


「そっか……」

 何だか可哀そうになってきた。この剣をあげて勇者の座を譲ったほうが良いかな?


「良し! 元気になった!」

 突然女の子はスクッと立ち上がる。


「話をしてくれてありがとう。落ち着いた」

 コキコキと勇ましく首の骨を鳴らす。


「ま! 勇者じゃないならしょうがないわ。適当に働いて、お金を貯めて、のんびり家に帰る」

 結構強い子だ! 気に入った!


「僕の仲間になってよ!」

「仲間? 勇者様の? 私なんて雇ってもダメよ。剣も杖も握ったこと無いのよ?」


「良いから仲間になって! 君はとってもかっこいいし可愛いから!」

「ぶ!」

 女の子がせき込む。


「な、何突然言っているの!」

「本当の事だよ! だから仲間になって!」


「ゆ、譲らない奴ね」

 キョロキョロして、目を瞑り、考える。


「私ってカッコいい?」

「カッコいい!」

「勇者の仲間に相応しい?」

「相応しい!」

「なら分かった! 仲間になる! これからよろしくね!」

 ニッコリ笑う。こうしてみるととても可愛らしい。

 金髪の巻き髪で、ちょっと背は僕と同じくらい。どことなく可愛らしい服だから、裕福な家庭なのかも。




「自己紹介がまだだったわね。私はロベルタ! あなたは?」


「僕はジル!」

「ジル! 魔王と同じ何て不吉な名前ね! 名付け親の顔が見たいわ!」


「僕が勝手に名付けたんだ。不味かったかな?」

「うーん。まあ、大丈夫じゃない? 名前を変える訳にもいかないし」


「そうか! じゃあよろしく!」

「よろしくね!」

 握手を交わし合う。


「ところで、お金持ってる? お腹空いちゃって」

「持ってない」

「……どうしよう?」

 ロベルタのお腹が鳴る。


「……冒険者ギルドに行こう! そうすれば上手く行く!」

 どうするべきか考えたところ、妙案が浮かぶ! 小説だと冒険者ギルドに行けば大概何とかなってた! ならそれを真似しよう!


「そうなの! ところで冒険者ギルドってどこにあるの!」

「分からないから探そう!」


「そもそも私たち、王都の地理とか全然分かってないわよね!」

「そうだね! ワクワクするね!」


「勇者なんだから王様にお金とかもらったら!」

「すぐに追い出されたからダメだと思う!」


「凄く嫌な予感がするわね!」

「ワクワクするね!」


「私やっぱり帰っていいかしら!」

「ダメだよ! さあ一緒に頑張ろう!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ