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妖精付きの迷宮探索  作者: 青雲あゆむ
第2章 魔大陸解放編
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49.魔大陸上陸

第2章の連載を開始します。

まだ書き溜めが十分でないので、隔日ペースでの投稿になります。

感想など頂けると嬉しいので、よろしくお願いします。

 港湾都市セイスを出港した船は5日程でテプカと言う島に着いた。

 ここで水や食料を補給し、改めて魔大陸に向かう。

 その後も航海は順調に進み、予定より2日ほど早く魔大陸に到着した。


 予定より早く着いたので船長のサベッジは”実に運がいい”などと言っていたが、これにはカラクリがある。

 船が進むのに都合がいい風が吹くよう、リューナが精霊さんにお願いした結果なのだ。

 おかげで退屈な船旅が短縮され、俺達も万々歳だった。


 到着した所は”トンガ”と言う港町で、魔大陸唯一の人族の集落だ。

 基本的にミッドランド大陸でも最強と言われるアッカド帝国の植民地なのだが、他の国も相乗りしている。

 他の国と言うと俺の居たリーランド王国に加え、西方のエメリッヒ王国とイサカ教国だ。

 この3国も魔大陸に植民地を築こうとしたのだが、度重なる魔物の侵攻で撤退したらしい。

 そんな中で最も大きな兵力を送り込み、かつ冒険者ギルドの協力を得られたトンガのみが生き残った。

 そして他の3国は自前の植民地を諦め、トンガに商業拠点を置かせてもらって交易をしている状況だ。


 トンガに到着した俺達は、サベッジに紹介してもらった商人に会いに行った。

 セイスから運んできた商品を置く倉庫を紹介してもらうと同時に、この魔大陸の情報を集めるためだ。

 紹介された”ランド商会”の会長はリーランド王国出身らしい。

 俺は適当な土産を持参して会長に挨拶をした。


「初めまして、ランドさん。私はデイルと申します。リーランド王国の王都出身です。これはセイスから運んできた物ですが、どうぞお納めください」

「おお、これはご丁寧にどうも。私も王都の出身ですよ」

「そうなんですか。ちなみにランドさんは魔大陸にはいつ来られたのですか?」


 ランドさんはこちらに来て既に10年にもなるそうだ。

 リーランド産の商品をこの町で売ったり、逆にこの大陸の素材をサベッジのような商人に卸したりもしている。


「ところで私がセイスから持って来た商品を置く倉庫を探しているのですが、どこかご紹介いただけませんかね?」

「商品の量はいかほどで?」

「荷馬車2台分ほどになります」

「そうですか、それなら私の倉庫を一時的にお貸し出来ると思います。ただし、私の商売と競合しない事が前提ですが」

「それは有り難い。もちろんランドさんのご商売のお邪魔は決して。私はもっぱら亜人の集落との交易を考えております」

「なるほど、それなら大丈夫そうですね」


 ランド商会はこの町の中で商売をするらしいので、バッティングはしないはずだ。


「それからこの町での拠点を探したいのですが、そちらはどうでしょうか?」

「拠点ですか? それはちょっと難しいかも知れませんね。この町は今、急速に発展しているために、土地や建物は常に不足気味なんですよ」


 ランドさん曰く、ここ数年で帝国以外の植民地が次々と放棄されたため、そこの住民や商人がこの町に流入したらしい。

 結果、土地や建物の供給が追い付かず、かなりの順番待ちとなっているそうだ。


「そう言う状況ですので、当面は宿屋暮らしになるかと思いますが、宿の方も相当混んでいると聞きますね」

「そうですか。ちなみにこの町以外ならいかがでしょう?」

「町以外と言うと、放棄された植民地ですか? 一応、トンガから北へ馬車で1刻ほどの所にリーランドの植民地がありましたが、今はもうただの廃墟ですよ」

「仮にそこに住もうとすると、何か問題がありますか?」

「問題って、魔物が出るから危険に決まってるじゃ無いですか?」

「ああ、私は冒険者でもあるので、腕っ節には自信があるんですよ。メンバーも20人ほど居ますし。勝手に住み着く分には問題無いですかね?」

「そりゃあ、放棄された町ですから誰も文句は言わないと思いますが、本当に大丈夫なんですか?」

「それは現地を見て判断しようと思います。お手数ですが、その場所を教えて下さい」


 その後、ランドさんに植民地跡の場所を教えてもらい、船から下ろした荷物を倉庫に運び込んだ。

 それだけで1日が終わってしまったので、その晩はまた船で寝かせてもらう。

 宿に泊まろうと思っていたのだが、聞きしに勝る混雑状況だったので、船長に頼み込んだのだ。



 翌日、ドラゴの馬車で北の植民地跡を見に行く。

 20人も乗ると狭いので、年長組には走ってもらった。

 目的地までの道がすたれているのを心配していたが、意外にまともな道だった。

 冒険者などがたまに使っているのだろう。


 そのため半刻ちょっとで目的地に着く。

 植民地跡は確かに廃墟だった。

 そしてトンガに比べるとだいぶ小さい。

 トンガは千人規模の町だが、ここは数十人が住んでいた程度だろう。


 集落の門らしき所に”カガチ”と書いてあるので、それがここの呼び名と思われる。

 何かの魔物に破壊された門扉を越えて中に入ると、ほとんどの建物が荒らされていた。

 なんか食い物とか探しまわったんだろうな。


 そんな中で、一つだけマシな建物があった。

 全体が石造りの2階建てで、大きな裏庭もあるみたいだ。

 入り口の鍵をこじ開けて中に入ると、1階は倉庫と部屋が2つ、2階にも5つの部屋がある。

 その頑丈な造りからして植民地の行政府のようなものに使われていたのでは無かろうか。

 俺達にとっては絶好の拠点候補である。


「この建物を俺達の拠点にしようと思うんだけど、どうかな?」

「建物自体は使えそうですが、魔物に襲われませんか?」

「ああ、今のままならその可能性が高い。でもあの門扉を直して、バルカンにマーキングしてもらえば大丈夫だろう」

「マーキングですか?」

「そう、門や周辺の木々に体を擦り付けたり、おしっこを掛けたりするやつだ。飛竜ワイバーンクラスのマーキングがあれば、まず他の魔物は寄り付かなくなるぞ」

「なるほど、ワイバーンなら少なくともこの周辺では敵無しでしょうからね」


 この魔大陸はミッドランド大陸より魔素が濃いとは言っても、海岸付近はそれ程でも無い。

 大陸の中央部に近付く程、魔素が濃くなり、強力な魔物も多くなるって話だが、一体どんな奴が居るのかね?


「そう。その上であの建物を直してボビンに結界を張ってもらえば、夜もゆっくり眠れるだろ?」

「任しときいな、デイルはん。儂とガル、ガムで家もばっちり直したるでー」


 そう、俺達には家付き妖精ブラウニーのボビンが付いて来ているのだ。

 本来、ガルドの住居に付いていたはずなのだが、俺達と寝食を共にしている内に離れ難くなったらしい。

 俺達が魔大陸に向けて旅立つと言ったら、あっさりと元の家を見限って出て来てしまった。

 一時的にでも家が無いと寂しいらしいので、道中は馬車を仮の家としていたが。


 そしてブラウニーは家に関しては全てプロフェッショナルなのだ。

 つまり大工仕事も超一流である。

 元々器用なドワーフのガル、ガムもボビンの教えを受けて、かなり成長している。


 さらにブラウニーが凄いのは、家に結界を張って守る事ができるのだ。

 侵入者の感知はもちろん、弱い存在なら追い返してしまう。

 このボビンの守りにバルカンのマーキング、そして俺達の戦力を合わせれば、十分ここでも暮らしていけると俺は踏んでいる。


 この建物を拠点化すると決まったので早速、行動を開始した。

 俺と数人が町に取って返して荷物を運ぶ間に、残りが拠点の掃除と修理を始める。

 早速、バルカンにはマーキングをお願いした。


 世話になったサベッジとランドさんに、カガチを使う事を話したら驚いていた。

 カガチには港もあるので、いずれ修復してサベッジなどと交易をしてもいいだろう。


 さすがにその日は一部の荷物を運びこんだだけで終わった。

 一応、門扉だけは応急修理を施してある。

 そして夜は2階の広い部屋に集まって食事を取った。


「それじゃあ、とりあえず魔大陸の新拠点に乾杯!」

「「カンパーイ!」」


 その後はてんでに飲み食いが始まる。


「これからしばらくは拠点の整備で忙しいですね、デイル様」

「ああ、それなりに住めるようにするにはしばらく掛かるな。でも、思ってたよりしっかりした建物が残ってて良かったよ」

「そうですね、これだったら内装を整えるだけで済むのでだいぶ楽です」

「それで拠点が整ったらどうするのじゃ? 我が君。妾は早く裏切り者をとっちめたいのじゃが」

「サンドラはそれしか頭に無いみたいだな。拠点が整ったら比較的近い集落から順に訪問すると言っただろ?」

「むう、それではいつになったら妾の復讐ができるか分からんでは無いか」


 自分を奴隷として売った同族の裏切り者に復讐がしたくて仕方が無いサンドラが不満を漏らす。


「まあ、焦るなって。そもそもお前ら、鬼人族の集落が何処にあるのか分かってるのか?」

「いや、それはよく分からんが、適当に聞いて回ればなんとかなるじゃろう」

「アホ。魔大陸は広いんだから、それじゃあ辿り着けないって。まずは手近な所から訪問して情報を集めるんだ」

「手近な集落はどこなんですか? ご主人様」

「ああ、ここから東に何日か歩いた所にドワーフの集落があるらしい。ガル、ガム、場所は分かるか?」


 俺はあまり期待せずにドワーフの兄弟に聞いてみた。


「すんません、デイルさん。おら達よく覚えてねえだ。たしかトンガの町まで3日くらい歩いたと思うだども」

「そうか、それじゃあトンガで確認すればいい。ドワーフは人族と交易してるらしいから大丈夫だろう。ちなみに自分の産まれた集落の場所が分かる奴は居るか?」


 しかしそれに答えられる者は居ない。

 小さい頃に親に連れて来られたか、奴隷狩りに捕まって連れて来られたかのどちらかしか居ないので仕方ない。


「ま、それはおいおい調べて行けばいいだろう。基本的に強い種族ほど森の奥に住んでるらしいから、サンドラの復讐はちょっと先になりそうだけどな」

「むう、なんとかならんか? 我が君」

「ならん、ならん」


 魔大陸ではドワーフ、猫人族、狐人族が海岸に近い所に住み、狼人族、虎人族、獅子人族がそれよりも内陸側、そしてエルフや鬼人族、竜人族はさらに奥深い所に住むらしい。

 内陸に行くほど強力な魔物が出るので、自然に住み分けがされているのだ。

 だからまずはドワーフの集落を起点にして、他の集落を辿って行くしかない。


 しかしまずは活動拠点の構築と情報収集が先だ。

 また明日から忙しくなるぞ。

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