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妖精付きの迷宮探索  作者: 青雲あゆむ
第1章 迷宮探索編
46/86

46.7層の苦難

 なんとかライノサウルスの攻略に目処を付けた俺達は6層深部の探索を進める。

 正味7日で宝石部屋へ辿り着くと、そこにはライノが2匹居た。

 非常に困難ではあったが俺達はこれをくだし、宝石をゲットした。

 鑑定すると金貨250枚相当となり、その一部を換金する。



 休息を1日取った俺達は再び6層に潜り、守護者に挑んだ。

 6層の守護者はライノ2匹とレッドヒートエイプ2匹だった。

 ライノとエイプのどちらかを倒そうとするともう一方が邪魔して来るので、非常にうざったい組み合わせだ。

 さすがに1回で倒す事は叶わず、3度めの正直で討伐に成功した。


 6層の水晶でもまた魔法武器を手に入れた。

 今度は水属性を持つ双剣である。

 反りのある40cm程の片刃の刀身は青みの掛かった白銀色に輝き、何者をも切り裂く力に溢れているようだ。

 当然、これはレミリアに与え、しばらく後に水精霊ウンディーネとも契約させた。



 この俺達の6層攻略に発奮した新人達が、とうとう2層を独力で攻略してみせた。

 新人達にはすでに魔鉄製の武器を与えてあったので、強大なオークリーダーすらも乗り越えたのだ。


 この時点で俺達の肉体レベルはこうなっている。


レベル10:俺、カイン、レミリア、サンドラ、

レベル9:リューナ、リュート

レベル6:ケレス

レベル5:アレス、ジード、アイラ

レベル4:シュウ、ケンツ、レーネ、ザムド、ナムド、ダリル、ガル、ガム

レベル3:セシル、ミント


 商売組のセシルとミントもレベルが上がっているのは、彼女達にも1層の攻略と2層の探索をさせたからだ。

 商売で行き来しているセイスとの間の街道には山賊が出るため、自分の身を守れるのに越した事はない。


 もっともセイスに行く時はケレス、セシル、ミントの商売組の他に、最低でも3人は護衛を付けているため、山賊程度に遅れを取る事は無い。

 3回ほど山賊を返り討ちにしてからは、パッタリと襲われなくなった。

 裏の世界では”フェアリー商会の馬車には近づくな”と言われてるらしく、信頼性の高さから小荷物の運搬も頼まれるようになった程だ。

 これまた商売繁盛でけっこうな事である。



 新人が2層を攻略した後、アレス、ジード、アイラを1軍候補として育成を始める。

 1軍に3人を組み込み、強引に3層以降の守護者戦を経験させたのだ。

 もちろん自分の力を過信しないよう、たっぷりしごいてやった。

 他の新人が比較的安全に3層を探索している頃、アレス達が死にそうな目に遭ったのは1度や2度では無い。

 しかし彼らはそのしごきに良く耐え、6層を攻略した頃にはレベル9に到達していた。

 ここに至ってケレスは晴れてお役御免となり、商売に専念している。


 そして俺達はレベル9以上のメンバーとキョロ、シルヴァ、バルカンの計12人の中から、必要に応じて10人を抽出して7層の攻略に当たった。

 これだと主力が2人あぶれるが、その場合は2軍の子守か馬車の護衛をお願いしている。


 ちなみにチャッピーだけは常に俺の専属。

 チャッピー無しでは魔法弾使えないからね、俺。

 一応、炎の短剣を使えば、そこそこの威力の火炎弾を撃てるようになってたりはする。

 でもチャッピーはパーティの知恵袋であり、幸運の象徴なのだから俺の側に居て欲しい。



 そして肝心の7層だが、ここでは巨人系の魔物が出てきた。

 最初に出たのがオーガと言う身長2.5mを超す大鬼で、2、3匹の群れで行動している。

 赤みを帯びた茶色の肌に真っ赤な髪、額に突き出た一本の角が特徴的な魔物である。

 体型はオークほどデブでは無いが、がっしりとしていて腕が長い。

 着衣は腰みのだけである。


 その長い腕で振り回すこん棒の威力は凄まじく、まともに受ければ一撃死を免れないほどだ。

 しかしそんなのろまは俺達のパーティーには居らず、ガンガンと攻撃している。

 特に魔剣を手に入れたレミリアが凄い。

 オークよりも確実に硬いはずのオーガをズバズバ斬っている。


 おかげで7層序盤は案外順調に進み、正味5日ほどで探索が終わる。

 ちなみにオーガの皮はオーク以上の高級素材として高く売れた。

 鎧の素材として優秀らしく、1匹当たり金貨3枚になる。


 これを機に1軍メンバーの防具を更新した。

 ゴトリー武具店で俺、リュート、アレス、ジード用にオーガ革の鎧を作ったのだ。

 さらにリューナには4層で狩ったケイブスパイダーの糸で織られた新作のローブを新調する。

 糸の特性を引き出すのに苦労したらしいが、高い物理防御と魔法防御を実現しているそうだ。



 続いて中盤で出てきたのはミノタウロスである。

 身長が3mにもなる牛頭人身の怪物で、やはり2、3匹でつるんでいる。

 その青銅色の体は本当に金属かと思うぐらい硬く、非常に厄介だった。

 さらに両刃の斧を装備しており、攻撃力が今までの魔物よりも段違いに高い。

 武器を振る動作も洗練されている上に、連携がうまいのでかなり苦労した。

 初見ではケガ人が出たのでひとまず撤退した程だ。


 その後、何回か挑戦していると、ある程度以上の威力の魔法が有効だと分かる。

 ある程度以上ってのは、キョロ渾身の雷撃とか、俺やリューナが撃てる最高クラスの魔法弾である。

 そのため撃てる場面も限られるのだが、少なくともこれで1,2匹潰せば残りは力づくで倒せる事も分かった。



 こうしてなんとかミノタウロスが倒せるようになり、中盤の探索を進めていたある日、4匹のオーガに出会った。

 最初はちょっと多いなぐらいにしか思わなかったのだが、よく見ると見た目が違うのが居る。

 1匹だけ少し体が小さく、しかも手には宝石の付いたロッドを持っているのだ。

 俺達は部屋の外からそれを確認し、皆で相談した。


「なあ、チャッピー、あれってオーガの魔術師かな?」

「うむ、そう見て間違い無いじゃろう。儂も魔物が魔法を使うのは見たことは無いんじゃが」

「そうなんだ? 問題はどんな魔法を使ってくるかだよな。前衛を崩してる間に魔法使われたら厄介そうだし」

「それなら俺があの魔術師に攻撃を掛けましょうか? この中では俺が一番足が早いと思うので、前衛をすり抜けられると思います」


 リュートが単独での突撃を提案して来る。


「いや、相手の力が分かる前に突っ込むのは止めよう。下手すると取り残されて命に関わる」

「それもそうですが……」

「この魔盾は魔法も防げるから、まずはこの盾の範囲内で前衛に攻撃を仕掛けてあいつ、オーガメイジの様子を見よう。俺から3m以上は離れるなよ」


 それから俺を中心に陣形を組んで部屋に侵入した。

 オーガはすぐにこちらへ向かってきたが、オーガメイジはその場に留まって様子を見ている。

 やがて前衛同士が戦い始めると、オーガメイジがゴニョゴニョやり出した。

 とうとうメイジがロッドを振り上げたので、俺は前衛に下がるよう指示して魔法障壁を張り巡らす。


ババババババッ


 どう言う仕組みになっていうのか分からんが、メイジのロッドから無数の火球が発生してこちらに降り注いだ。

 幸い全て障壁で防げたが、これは厄介だ。

 もちろんオーガにも当たっているが、奴らは皮が厚いせいかそれほど効いているようには見えない。

 しかしこちらは火球をくらってたら、相当やばかったと思う。

 とりあえず火球はすぐに降りやみ、連発できる雰囲気でも無さそうなのが救いだ。


「リュート、キョロを連れてメイジを攻撃しろ。キョロは援護な」

「分かりました」

「キュー」


 すぐにリュートとキョロがオーガを迂回してメイジに向かう。

 こちらの前衛はオーガの足を止めている。


 メイジがリュート達の接近に気が付き、魔法を準備し出したので、風弓射ウインドショットで牽制してやる。

 弓矢程度ではほとんどダメージは無いが、集中を途切らす事はできたようだ。

 そうする内にリュートがメイジに近付き、剣で攻撃し始めた。

 メイジはちょくちょくキョロの雷撃を食らい、ひるんだ所をリュートに斬られ、どんどんボロボロになって行く。


 こちらもカイン、サンドラ、レミリア、ジード、シルヴァがオーガを圧倒し始めた。

 俺、リューナ、バルカンも魔法で援護している。

 しばらくして全てのオーガの殲滅に成功した。

 早速オーガメイジのロッドを確認してみる。


 そのロッドは長さ80cmの木の棒の先端に赤い宝玉が付いた物で、人間が持つには少し太い。

 手に持つと、魔力を内包しているのが何となく分かる。

 メイジみたいに火球が出せないか試してみたが、やはり呪文か何かが必要らしく成功しなかった。

 リューナにも使えないので、これは魔術師ギルドに売りつける事にする。


 実際、魔術師ギルドにそれを持って行くと、魔術師共は強い興味を示した。

 なまじ彼らは魔力を感じられるため、そのロッドに高い価値を見出したようだ。

 結局、研究用として金貨5枚で引き取ってくれた。

 その後もたまにロッドを入手して持って行くと、やはり同じ値段で買ってくれる。

 俺にとっては嬉しい話だが、あいにくとそのロッドによる魔法行使に成功したと言う話は未だに聞かない。

 たぶん呪文体系とか根本的に違うんじゃ無いだろうか。


 ちなみにオーガメイジの魔石は銀貨40枚で、ミノタウロスと同等である。

 通常のオーガが銀貨30枚なので、やはり魔力が高いのだろう。



 このように7層中盤ではミノタウロスに苦戦しつつも、徐々に探索が進んだ。

 そして中盤に潜ってから3ヶ月ほど後、ようやく深部への進出が叶う。


 深部で出てきた魔物はサイクロプスである。

 身長が4mにもなる一つ目の巨人だが、こいつがべらぼうに強かった。

 トゲトゲの付いたこん棒を振り回す動きは凄まじく、かすっただけで大ケガをしかねない。

 おまけに肉体はミノタウロス以上に硬く、魔法防御も高いと来た。


 1匹しか出て来ない事だけが救いだったが、奴にダメージを与える手段が見つからずにしばらく攻略が行き詰まる。

 仕方なくいろいろ試行錯誤していると、火であぶると防御力が落ちる事が分かって来た。

 そこで俺とバルカンで片足を火魔法で集中攻撃して真っ赤になった所を総攻撃したら、ようやくダメージが通った。

 この手順を繰り返して奴の片足を奪い、動きの鈍った所で他の部位にも攻撃を加える。

 そんな攻撃を延々と繰り返した末、とうとうサンドラの魔剣が首に致命傷を与え、奴が息絶えた。

 実に5回目の挑戦による勝利だった。


 こうしてなんとかサイクロプスも倒せるようになった俺達はさらに深部の探索を進める。

 しばしばオーガメイジやミノタウロスも出現する中で探索は困難を極めたが、とうとう7層の宝石部屋にたどり着いた。


 宝石部屋の主はサイクロプスとミノタウロスが1匹ずつ。

 さすがに初回では無理だったが、奴らの倒し方に慣れつつあった俺達は2回目の挑戦で見事、討伐に成功する。

 そしてここでは金貨300枚相当の宝石類を入手した。


 いよいよ7層で残すは守護者のみ。

 それは新人達を加入させてから、実に1年後の事だった。

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