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妖精付きの迷宮探索  作者: 青雲あゆむ
第1章 迷宮探索編
16/86

16.ビキニアーマー

 みんなで魔法剣の使い方を習った翌日、朝からギルドに来ていた。

 カインとサンドラに盾の使い方を学んでもらうためだ。

 ついでに俺とレミリアの剣術もアーロックさんに見てもらう。

 俺の方は大して進歩してないが、レミリアの双剣はどんどん様になって来ている。


 まあ、俺は後衛職だからな、ハハハハハ、ハアッ。


 午前中をギルドでの訓練に当て、昼飯を食ってから迷宮に潜った。

 シャドーウルフを狩るため、入り口の水晶から2層の水晶へ跳ぶ。

 さらにそこから守護者部屋を通って1層深部へ入り、シャドーウルフを探した。

 シルヴァに多めの群れを探してもらうと、すぐに4匹の狼が見つかる。

 奴らには覚えたての魔法剣の実験台になってもらおう。


「カインは正面を押さえておいてくれ。他は目についたやつを魔法剣で各個撃破ね」


 俺は念の為に弓を準備しながら皆の攻撃を観察する。

 まず身軽なレミリアがシャドーウルフに迫り……


スパンッ


 あっという間に狼の首が飛んだ。

 その横ではサンドラが盾で牽制しつつ……


ブシュッ


 狼が正面から串刺しにされる。

 さらにシルヴァが1匹を噛み殺し、最後もカインがあっさりと撲殺してしまった。

 どうやら俺達は思った以上に強くなっているようだ。

 レミリア達が嬉しそうに寄って来る。


「この間とはケタ違いの切れ味でした、ご主人様」

「妾の攻撃力も上がっておるぞ、我が君」

「私のメイスも見違える威力でした」


 とりあえず皆、魔力剣の威力を実感できたようだ。


「そうか。みんな良かったな。1層では実力差が大き過ぎるみたいだから、やっぱり2層へ行こうか?」

「はい、今だったらオークにも通用するかも知れませんね」


 ちょっと自信を持ち過ぎな気もするが、この状況では仕方ない。

 俺達は魔石と素材を回収し、そのまま2層へ侵入した。


 それからは今までと段違いのスピードで探索を進める。

 カインとサンドラの加入で戦闘力が飛躍的に高まっているので、シルヴァの探知能力を頼りに、どんどん魔物を狩った。

 今までなら、ゴブリンの集団が付近に2個以上居れば戦闘を避けていたものだ。

 しかし今なら10匹やそこらのゴブリンなど敵ではない。


 カインとサンドラが盾で支えつつ、ザックザックと魔物を狩る。

 その横ではレミリアとシルヴァがサクサクと息の根を止めている。

 俺とチャッピーが散弾を使う必要も無いくらいだ。

 一応、チャッピーの強化のために、多少は合成魔法で魔物を仕留めているが。


 あいにくとその日はオークに出会う前に夕刻を迎えたので、ゴブリンやコボルドを30匹ほど狩って終わった。

 シャドーウルフも合わせると銀貨150枚ほどになった。

 半日の稼ぎにしては美味しすぎる。


 けっこうな収入もあったので、俺達は武具屋へ寄った。


「おっちゃん。俺の弓をもっと強いのに替えたいんだけど」

「おう、初心者用の弓じゃあ、物足りなくなって来たか?」

「そうそう。この間、2層でオークに遭ったんだけど硬くてね」

「何だと? お前その歳で、もう2層に潜っとるのか? 大したもんだ。それなら、ちと値は張るがこの合成弓でどうだ?」


 おっちゃんはそう言って複雑に加工された弓を勧めて来た。


「へえー、けっこう小さいのに威力は高そうだね」

「ああ、それは良質な木材に魔物の腱や角などを組み合わせて、形状を工夫したもんだ。初心者用の単弓より飛躍的に威力が高められとる。少々、弓を引く力はいるが強力だぞ」


 俺は念のため店の裏で試し撃ちさせてもらい、この弓を買う事にした。

 値段は金貨3枚と今までの6倍もするが、この威力は買いだ。


「他にも何か、面白いもんは無いかな?」

「うむ、実はそこの鬼人族の嬢ちゃんにピッタリのものがある」


 そう言って武具屋のおっちゃんが赤い何かを出してきた。


「へえ、鬼人族向けなんて珍しいね……って、おっちゃん、これビキニアーマーじゃん!」

「そうだ。何年か前に引退した女冒険者から買い取ったんだよ」

「こんな恥ずかしいもの、サンドラに着せられないよ!」


 一体、何考えてんだこのエロジジイ。


「待て待て、早まるな。この鎧は魔法が掛かっているから、身体能力が強化される上に、全身に革鎧並みの防御力が付くんだ。しかも汚れてもすぐに綺麗になるし、温度調節機能もついて快適なんだぞ」


 なんと驚きの高機能鎧だ。


「マジで? 確かに鬼人族は肉体が頑丈で鎧を付けないから、そのアーマーでさらに肉体が強化されるのは嬉しいかな? でもそれにしても露出度高すぎじゃない?」

「何言うとる。その嬢ちゃんはパンツと胸当てだけだから、そんなに変わらんだろうが」


 カインやサンドラが、なぜパンツや胸当てしか付けないかと言うと、鬼人族は魔力で肉体を金属鎧並みに強化できるからだ。

 素の防御力が高いなら、動きやすさを優先するのは当然だろう。


 俺は一応、サンドラにこれが欲しいか聞いてみた。


「サンドラ、こんな鎧欲しいか?」

「我が君、妾はこの鎧が欲しいのじゃ。これを着れば今よりもっと役に立てるし、何よりも我が君の前でいつも綺麗で居られる」


 サンドラがそう言いながら、頬を染める。

 そっちか?

 確かに洗浄機能は女の夢かも知れんが、防御力を犠牲にするってか。

 いや、サンドラの場合、今より防御力上がるんだから、いい事尽くめか?


 それでも俺が悩んでいると、今度はレミリアが絡んできた。


「ご主人様、私もこれ欲しいです。店主殿、もう1着ありませんか?」


 はあ? 何言ってんだレミリア。

 お前にこんな恥ずかしいカッコさせる訳ねーだろ。


「嬢ちゃん、お目が高いね。実は色違いでもう1着あるんだ。ほれ」


 そう言って青いビキニアーマーを出してきた。

 この親父、最初から狙ってたな?


「ちょっと待て。サンドラはまだしも、レミリアには無いぞ。レミリア! 皮鎧並みの防御力と言っても今より落ちるんだぞ。これからもっと強い魔物が出て来るのに危ないじゃないか」

「いいえ、ご主人様。魔物の攻撃なんて避ければいいんです。身体能力が上がるなら今より早く動けます」

「その通りだ、嬢ちゃん。気に入った。2着目は半額にしてやる」


 このじじいー、何言ってくれてんだ。

 レミリアの玉の肌を他のやつに見せるなんて絶対に許さん!


「ダメだ! こんなにエロい鎧姿を他のやつに見せるなんて許さん!」


 そう言ったら、おっちゃんが妥協案を提示して来た。

 何々、胸の谷間や股間を隠す飾り布をオマケに付ける?

 それから人前ではマントを羽織らせればいいって?


 確かにそれなら多少はマシになるかも知れんな。

 俺はなおも迷っていたが、まずは試着させてみようという事になった。

 奥の部屋でサンドラとレミリアが着替える。

 やがて出て来た2人を見て、俺は言葉を失った。


 2人ともすごく綺麗だ。

 サンドラは赤色のビキニとブーツ、銀色の籠手に灰色のマント。

 レミリアは青色のビキニとブーツ、銀色の籠手に薄茶色のマント。


 それぞれのパーツは銀灰色の装飾が付いていて、なかなかオシャレだ。

 そして胸元と腰の前後には飾り布が付いていてエロさが緩和されている。

 何より2人とも凄くスタイルがいいからとても似合う。

 ちなみにサイズ調整の魔法が掛かってるので大きさもピッタリだ。


「う、うん、2人ともよく似あってる。凄く綺麗だよ」


 そう褒めると嬉しそうに頬を染める2人。

 しかし、そうなるとこのビキニアーマーを買わざるを得ない。


「……まあ、能力的にも嬉しいから買う事にしよう。でも俺以外にはあまり見せないようにな」

「はい、ご主人様」

「もちろんじゃ、我が君」


 そして代金を聞くと、なんと2着で金貨6枚。

 たっけー。

 おっちゃん曰く、今までずっと買い手が付かなかったので、これでも安くなっていて、ほとんど儲けは無いそうだ。

 俺はきっと戦力増強に役立つと信じ、黙って代金を払った。



 思わぬ高い買い物を済ませて帰宅した俺達は夕食とシャワーを済ませ、リビングに集まった。

 今日の反省と今後の相談をするためだ。


「とりあえず魔力を纏わせた武器の強力さは、しっかり確認できたな。たぶんオークにも効くと思うけど、実際に戦うまでは油断するなよ」


 今日の狩りがあまりにも楽勝ムードだったため、俺は釘を刺した。


「カインは盾とメイスの使い心地はどうだった?」

「はい、まだ使い慣れませんが、私に向いていると感じました」

「それは俺も見ていて思った。今後は盾で敵の攻撃をはじいたり、相手にダメージを与える技術を磨くと、幅が広がっていいんじゃないかな」

「分かりました。練習してみます」


 カインの方はこれでいいだろう。


「それからサンドラとレミリア。新たな鎧の使い心地はどうだ?」

「はい、なんだか体全体が何かに包まれているような不思議な感覚です。しかも暑さや寒さの変化が少なくて凄く快適なんです。ちょっと念じるだけで体もきれいにできるし、もう癖になりそうです」

「まったくじゃ。これでいつも我が君の前で美しくいられるのう。今夜、どうじゃ? ほれ」


 武具屋の言っていた機能はしっかり働いているようだ。

 そしてなぜかサンドラが胸を強調して見せる。

 うん、見事な眺めだよ、サンドラ。

 しかしこの場ではスルーしておく。


「そうか、そんなに快適なのは羨ましいな。防御力については明日、訓練場で試してみよう。それなりに使えるようなら、レミリアはよりスピードと回避を重視したスタイルに変更だな。サンドラは……今まで通りでいいか。でも2人とも鎧の力を過信して無茶しないようにな」

「はい、ご主人様」

「ちっ、了解じゃ、我が君」


 その後はまたカインとサンドラに魔力を注ぐ。

 2人とも日に日に体が逞しくなって来ている。

 初めて見た時もそれなりに屈強だったが、肉付きはかなり悪かった。

 今は筋肉が付いて来て、肌に張りがある。

 1週間ほど治療を続ければ、ほぼ元に戻るだろう。


 一通りの治療を終えて、俺達は寝室に上がった。


 さーて、今日もレミリアとムフフと考えていたら、彼女が何か言いたそうにしている。

 俺が問いかけようとした矢先、寝室のドアがノックされた。

 返事をするとサンドラが入って来た。

 一体、どうしたのかと思っていると、レミリアとサンドラが俺の前に立つ。


「ご主人様、今日はサンドラにお情けをいただけませんか?」


 意外な事を言い出すレミリアの横でサンドラが真っ赤になって俯いている。


「え、レミリア。お前はそれでいいのか?」

「はい、奴隷の身でご主人様の夜伽に口出しなど、身の程知らずとは思いますが、ご主人様のためにはこうするのが一番だと考えました」


 彼女は真っ直ぐに俺の目を見ながらそう言った。

 レミリアなりに考え抜いての事なのだろう。


 俺もそれなりに気がついていた。

 サンドラは俺に心酔していて、俺と一緒に寝室に入るレミリアを羨ましそうに見ていた事を。

 彼女は大柄だけど、凄い美人でスタイルも抜群だ。

 そのうち手を出したいとは思いつつも、レミリアを傷付けてしまいそうで、決心が付いていなかった。


 レミリアはそんな俺の迷いと、サンドラの想いを見抜き、こうする事を決断したのだろう。

 俺がサンドラに乗り換える可能性だって理解しているだろうに。

 俺は2人を抱き寄せ、こう言った。


「ありがとう、レミィ。自分の事よりもパーティの事を考えてくれたんだな。君がそう言ってくれるなら、俺は2人とも同じように愛するよ」


 そう言って俺はレミリアの唇を奪い、しばらく楽しんだ後、サンドラにも同じようにしてやった。

 2人とも足に力が入らないようなのでベッドに寝かせてやる。


 よ~し、二人とも可愛がってやるか、と思っていたら、また押し倒されました。

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