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鳥取島根戦争と特技の首狩り

 男女どちらともがろくろ首に目をやった。ろくろ首が控室から出ていく。パーティ会場に伝えるためだろう。すぐに戻ってくる。


「よかった。鍛えられた勇者強いらしいんだよね。あ、ねえ、ステータス出せる?」

「ステータスですか?」

「勇者は出せるらしいんだ。もうでかい不安は解消されたでしょう?それなら今すぐ不戦条約なんて交わさず、お互いに情報交換をしてから詰めて行こう。この大陸の地図すら知らない相手とじゃさすがにいい取引はできないよ」


 女がろくろ首に手を出し、地図を出させてテーブルに広げさせる。

 横に長い地図で、大陸には二つの国しかない。


「こっちが僕たちの国。あっちは君を呼び出した国」


 地図を見ていると何か思い出せそうな気がして記憶をあさる。そして思い出した。これ鳥取島根の地図だ。ここの国が鳥取であっちが島根。


「僕たちの本拠地がここ」

 鳥取城だ。

「相手のがここの辺りらしい」

 出雲大社だ。

 心に動揺が走る。急にコメディめいてきた。


「僕たちの城の周りには砂漠があって移動すら大変なんだよ」

 鳥取砂丘だ。

「ここが最前線の一つ。そこの横にろくろ首の種族が治めている町があるよ」

 水木しげるロードだ。


 急に世界が狭く感じられてきた。鳥取島根戦争かよ。東は海だけどそっちからの外敵に負けそうだな。


「主戦場はこことここ、あそこも」


 女が指をさす。そこ無人駅だよ。そこまで必死に守るものじゃないだろ。


「今いるのがここ。まああっちに行かなかったら当座はいいよ」


 そこは、何もないな。鳥取観光資源ほとんどないからな。極秘裏にやってたんだろう。


「それでステータスだよ。ステータスカードって唱えたら出るらしい」

「ステータスカード」


 とりあえず唱えてみると目の前にカードが落ちてきた。

 HP,MP,力、防御、すばやさ、賢さ、魔力、運、特技の表示がある。それは前の代表二人にも読めるようで、とりあえずテーブルに置いたままにする。


「ほんと出た。すごい」

「しかし数字もあるが、何を基準にしているのかわからないな。特技欄には、首狩り武者か。なんだこれは」

「説明ないね。使いづらい」


 青い男女が話を進める中、自分でも見る。首狩り武者って特技なのか。


「よろしいですか」


 ろくろ首が口を挟んだ。見ると汗が噴き出ている。首が長い妖怪に首狩りはやばいのか。やばそうだな。範囲でかいもんな。


「何か心当たりでもあるのか」

「はい。教会国のほうに昔、首狩り武者族という集団が存在しておりました。もしやその一族の技術かもしれません」

「滅びているのか?」

「はい。教会国にまつろわぬ民として滅ぼされております」

「首を狩りすぎたからじゃないの?」


 女のほうははっきりと言うな。


「実際はそうでしょうね」


 ろくろ首が普通に肯定した。

 男が納得したようにうなずく。


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