~誕生会~
日曜日、私は祐美の家に遊びに行った。「いらっしゃい。侑乃ちゃん」
祐美の母親らしき20代後半と思われる女性が迎えてくれた。
にこやかでほんわかした女性だった。希空さんに少し似ている。
「こんにちは」私は2階に案内された。入った部屋はとてもさわやかだった。
壁は白。カーテンは薄い青。机はオレンジだった。
祐美らしい部屋だと思った。すごくうらやましかった。
希空さんは自由に買っていいといわれているが、居候の手前、
ベットと机、本棚と必要最低限のものしか置いていない。
「侑乃ちゃん??」祐美が心配そうに見つめた。「あ、ごめんごめん」
「そこに座っていいよ」「うん」しばらくすると祐美のお母さんが
ケーキを持ってきてくれた。「どうぞ~」「あ、ありがとうございます」
すごくおいしそうに焼きあがっていた。アイツなんかみそ汁もろくに作れない。
いつも私が準備してたな。誕生日なんか祝ってもらえなかった。
いいな。祐美はきっと毎年祝ってもらえるんだろうな。
両親にすごく愛されてるんだろうんな。そして私はひがんでいる自分に気付き
心の中で苦笑した。何バカなこと考えてるんだろう。どうしようもないじゃん。
そのあと、祐美がピアノを弾きながら歌を歌ってくれた。
祐美の声はとてもきれいで、澄んでいて、私はすごく胸が痛くなった。
ああ、この友達さえも私の醜い血を知ったら離れてしまうんだと思って。