正義ト悪~wicked~
出会うはずじゃなかった。
好きになりたくなんかなかった。
それでも、出会ってしまった。
それでも、好きになってしまった。
『さだめ』
彼らとであったのは、桜舞う暖かな日。
哀しげに光る瞳が印象的だった。
彼らがまさか正義側の人間とも知らず、
私は自らの未来を壊した。
こんなことできる立場じゃないってわかってたけど、
せめてもう少し笑っていたかったから
闇の中 哀しげな瞳はけれども光を失わず、
その光がひどく眩しくて。
ずっとこんな日が続けばいいと思った。
私の体が闇に沈むまで・・・
『戦』
違和感に気づいたのは、戦が始まってすぐ。
彼らの様子がおかしくなった。
私は恐ろしい想像を思い立ち、
目の前が暗くなるのがわかった。
平穏が長くは続かないってわかってたけど、
離れることなんてできなかった。
闇の中 私の瞳は光に焼かれてゆくけれど、
それをのぞむ自分が居て。
彼らと戦うことなど出来ないと思った。
私が闇に沈まぬ限り・・・
ある日人を殺した。彼らの仲間だった。
彼らが居て、私が居る。そんな日常さえ、
守るすべをあの時の私は持たなかった。
私はひとつの決断をする。
ずぶ濡れで訪ねてきた彼を迎え入れて、
胸が張り裂けそうな自分が居た。
雨の中 彼は肩を震わせて泣いていた。
その肩を抱くことしかできなくて
「大丈夫だから。」
と私は言った。
私は闇には沈まない。
『戦の終わり』
終わりを告げる雪が降り、始まりの鮮血が散る。
ついに私の目の前に彼らが現れた。
彼らはまさか正体が私だとも知らず、
私に仮面をはずせと命じた。
それをすれば彼らが傷つくってわかってたけど
もうそうする他に道はなかったから・・・。
闇の中 彼らが息を呑む音だけが虚しく響いて・・・。
無表情を保っていても
「どうして出会ってしまったの?」
その問いかけだけが、悲しく哀しく心に木霊した。
私は躊躇いを見せず、彼らに襲いかかる。
彼らがひどく動揺しているのがわかった。
彼らにそれをさせているのは自分なのに
それを見ていると辛くなった。
私は彼らと戦うのをやめ、前を見据える。
彼らに微笑み、それから
「じゃあね。」
と言って・・・・・・
嘘の中 それでも真実があったと信じてほしい。
そう望むのは傲慢だろうか?
もしも来世出会えたならば、ずっと一緒に・・・。
私の思考はそこまでだった。
出会うはずじゃなかった。
好きになりたくなんかなかった。
それでも、出会ってしまった。
それでも、好きになってしまった。
それでも、出会ってよかったと思う。
私は彼らに救われたから--------------。
少し前に書いた短編の別視点です!
前の短編(正義ト悪~justice~)で言う「君」視点ですね!
わかりにくいかもしれませぬ・・・・・・。
文章力なくてすんませんwww
感想などいただけるとうれしいです!
上のリンクから「彼ら」視点の短編へとべます。