第八話 もっと笑って
数日後。
選抜メンバーに選ばれた十二人が、笑顔で新聞に載っていた。
私はその新聞を、しばらく黙って見つめていた。
私も、この子達と一緒に練習をしていたのに。
だけど、笑顔のその写真を見ても、私は笑えなかった。
悔しかった。
そして私は、またいつもの部活へ戻った。
久しぶりのみんなとの練習。
体育館に入ると、みんなが笑顔で声を掛けてくれる。
「おかえり!」
私は少しホッとして、大きな声で返した。
「ただいま!」
やっぱり、このメンバーは安心する。
私はこのチームのみんなと、一緒に強くなりたい。
そう思った。
すると先生が、私に声を掛けた。
「このチームのエースは、ゆきだから。頑張ってくれよ」
嬉しかった。
同時に、もっと頑張らなきゃとも思った。
私がみんなを引っ張っていきたい。
そう強く思った。
試合では、沢山点数を決めた。
もっと私にトスをあげて。
絶対決めるから。
そんな自信があった。
ある試合の休憩中。
先生が私に言った。
「点数を決めるのも大事だけど、もっと笑ってみな」
私は黙って先生の顔を見る。
すると先生は続けた。
「ゆきが点数を決めて、もっと喜べば、チームはもっとまとまる」
その言葉に、私はハッとした。
私、楽しめてる?
自分がやらなきゃ。
自分が決めなきゃ。
そんな気持ちが強すぎて、この一点をちゃんと喜べていなかったのかもしれない。
プレーも大事。
だけど私は、周りのことを。
チームのみんなのことを、ちゃんと見れていただろうか。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
この頃の私は、「自分が決めなきゃ」「自分が引っ張らなきゃ」という気持ちがとても強かったです。
もちろんそれも大事なことだけど、先生の言葉で「チームスポーツってそれだけじゃないんだな」と気付かされました。
先輩達がいた頃のチームの雰囲気や、笑顔の意味を少しずつ理解し始めた時期だったのかもしれません。
続きも読んでいただけたら嬉しいです。




