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プリミティブ・プライメイツ ~暴君転生~  作者: 翠碧緑
2章:思春・王都動乱編

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79話 欠陥品たち


 ルクス・フォノスの宣言を聞いた者たちの反応は様々だった。


 その噂を広めたのがカレゼバール一派なので確実性のない情報ではある。

 しかし、遊興楽団も否定はしていないので、混乱が大きかった。



「…………」


 サフィレーヌは動じなかった。

 状況を飲み込むことができるからだ。


 しかし、彼女は腕輪を必死に握りしめていた。



「え? どういうこと?」


 ミゼリアはただ混乱していた。

 どうしてヴィクトリアが愛されるのかわからないからだ。


 机に並べられたカードを見つめながら、静観を決め込むしか無かった。



「……どういうおつもりかしら?」


 そして、ヴィクトリアはルクスのもとを直接訪れていた。


 不干渉どころか迂闊な発言と、闘技大会でヴィクトリアを倒すという挑発すら受け取ったからである。


「どうもこうも、この通りです」


 劇場の準備が進む闘技場の練習場。

 前にヤンバトールとリエーニが遊んだあの場所で、ヴィクトリアとルクスが会っていた。


 そして、ルクスは無様に仰向けとなって倒れていた。


「……茶番がすぎる」


 そう呟くのはルクスの専属使用人フィフだ。

 遠くにはフィフがいて、打ち合った末に彼は倒れているのだ。


 その稽古未満の行いを見て、ヴィクトリアは怒りの感情を隠していない。


「発言を撤回なさい!!」


「……全てですか?」


「はあっ!?」


 埃を払いながら、立ち上がったルクスがそう質問する。


 愛しているという発言と、倒してやるという発言のどちらも撤回しろという意味なのかを彼は問うていた。


「当たり前です! カレゼバールの挑発に乗るのはやめなさい! みっともない!」


 そう言われたルクスの態度は飄々としたものだった。


「──()()()()()()


「な──」


 ヴィクトリアは絶句した。

 まともに接するのは初めてだったが、こんなにも意固地だとは思っていなかったのだ。


「それに元から闘技大会には参加するつもりでしたので。“約束”しましたから」


 剣を拾いながらルクスはそう話す。

 なんのことかわからずヴィクトリアはさらに混乱する。


「知りません! 貴方は自身が敗北した時どれだけの影響を及ぼすか考えていないのですか?

 ミゼリア様とサフィレーヌ。この二人の風評を汚すことになります」


()()()──汚れないのですか?」


「なんですって……?」


 ルクスの返しは強烈だった。

 ヴィクトリアすら怯むほどだ。


「ヴィクトリア様こそ自覚が足りていませんね。婚約者として行動した私を責めるのですか?」


「ッ!! 貴方とは、ただの……ッ!!」


 近付いてくるルクスに動揺するヴィクトリア。男相手に珍しい姿だった。


「──そんな態度がいつまで通用すると思っているのですか?」


 冷たい青色の瞳がヴィクトリアを見つめる。

 彼は不機嫌だ。理由はわからないが、そう感じるだけの威圧感があった。


「──ッ!?」


 何故か言葉に詰まる自分にヴィクトリアは混乱した。

 目を逸らした。


「いい加減──ぐぇッ!?」


「邪魔」


 何かを言おうとしたルクスをいつの間にか近くにいたフィフが払い飛ばした。


 主相手にも容赦しないフィフの態度は今のヴィクトリアには清涼剤となった。


 吹き飛ばされ無様に転がるルクスを見て、溜め息をこぼす。


「フィフ……あの弱さじゃ、恥をかくだけでしょう? 貴方からも言いなさいよ」


「…………成長したのは体だけ?」


「え? ……フィフ?」


 ヴィクトリアを見るフィフの表情には失望すらあった。


「これ以上下らない茶番を続けるようなら、──私が貴方を斬り殺す」


「────」


 息すら凍りそうな冷たい空気をフィフは放った。

 ヴィクトリアの全身の筋肉が硬直し、捕食される小動物のように足が震えた。


 リエーニと同じ漆黒の瞳がヴィクトリアを狙っている。


 これは“ただの殺意”だ。


「私から言えるのはそれだけ。『あの子』の苦しみに気付いたのなら、私のところに来て」


 そう言い放つとフィフは背を向けルクスの方へ歩いていった。


「……っ! ……っ!」


 その氷の世界から解放されてヴィクトリアは膝から崩れ落ちた。


「……フィフまでも彼を? いえ、なに……? なんなの……?」


 なにかが引っかかりそうでかからない、気持ちの悪い感覚を覚えながらヴィクトリアはその場を後にした。





 言い表せぬ淀みが胸の中にあるようで、ミゼリアは眠ることができなかった。


 どうでもいいと思うべき噂を処理できていなかったのだ。


 自室のベッドで一人思考に耽る。

 胸の中身を取り出して、掻きむしりたい衝動に駆られる。


 ミゼリアは自覚していた。


 これは嫉妬なのだ──と。

 これまでのじゃれ合いとは違う、重く、汚いものだった。


 独占欲ではなく、不安から来るものだ。


 “自分は捨てられるのではないか?”


 そんな子供のような寂しさに囚われていた。


 ルクスの婚約者の中で、自分の立場が一番弱いのだとミゼリアは気付いていた。


 これまでのルクスの遊興による英才教育の結果、ミゼリアは王室の危うさを理解したのだ。


 支配に必要な、財力と暴力と権力。


 その権力のカテゴリーでしかミゼリアは戦えないのに、サフィレーヌがそこにいる。


 『勝てない』。


 派閥での闘争を繰り返して、学園内では優勢だとしても、いつしかそんな敗北感を親友に対して抱いていた。


「はあ……バカね……」


 目を閉じてもイヤな夢を見てしまいそうで、ミゼリアは眠るのを躊躇(ためら)った。


 彼から教わった音の聞き方を変えて、遠くの自然の音を聞いて安らぎたい。


 そう思い耳をすませたと同時に、ミゼリアの耳に音が飛び込んできた。


『ミゼリアちゃーん! 窓あーけーてー! あーそびーましょ!』


 頭の悪い男の声。

 でも、来てくれたというだけで、ミゼリアは許してしまうのだった。


 

「すみませんでした!」


 ミゼリアのいる寮の最上階の部屋。その窓から入ってきたルクスは、入室と同時に土下座していた。


「……なにをしてるの?」


 勿論土下座文化のないこの世界では伝わらない。


「精一杯の謝罪です」


「そ、そう……」


 顔を上げず伏したままのルクスを見て、どうしたものかとミゼリアは迷った。


 最近ルクスとミゼリアは夜にこうして会っている。

 夜に男女が二人きりだが、そんな色気はお互い出さずにゲームに没頭していた。


「今回の詳しい経緯をお話します」


 そうしてルクスは何があったのかを簡潔に説明した。

 カレゼパールの行動を、同じ王族としてミゼリアは恥じた。


「そうだったの……。お騒がせね」


「その通りです。申し訳ありません」


「アンタじゃないわよ。……ねえ、ヴィクトリアのこと……って、どうなの?」


 歯切れ悪くミゼリアは質問した。

 彼の愛はどこにあるのかを。


 ルクスは顔を上げ、ミゼリアを見た。

 その瞳に揺らぎはなかった。


「誤魔化しません。偽りのない本心です」


「……っ!!」


 なんとか感情の暴走をミゼリアは抑えた。

 下を俯き、彼を見ないようにした。


「そして、節操のない男でお恥ずかしいのですが、別の相手が現れ貴方を奪うような事があっても僕は同じことを言います」


「……え?」


 ミゼリアが伏せていた顔を上げると、近くには自分を見つめるルクスの顔があった。


「非常に幼稚な発言で申し訳ありませんが、()()()()を誰にも渡すつもりはありません」


「ルクス……」


 初めて彼から感じる執着心だった。

 力強く抱き締められるミゼリアは、それに安心感を覚えてしまうのだった。


 ミゼリアは自分の単純さに呆れてしまう。


「愛してるよ、ミゼリア」


 そんな言葉と落とされる口付けに自らの卑しさをミゼリアは感じてしまう。


 縋り付くようにミゼリアも抱き返した。

 これならよく眠れそうだとほっとするのだった。





 くだらぬ噂話が学園には広まっていた。


 『ルクス・フォノスとヴィクトリア・ブレイブハートは愛し合っていて、王女と公爵令嬢はただの政略結婚である』と。


 その実態を知るサフィレーヌは沈黙を貫いていた。

 否定できないからだ。


 派閥争いをする彼女たちにとって、実はルクスという存在は重要だった。


 全員が同じ相手を持つ。

 つまり、その相手の男が誰に(なび)くかがパワーバランスに影響してしまうのだ。


 カリスマ性でも頭の良さでも力の強さでもなく、女としての争いだった。


 だからこそ今までルクスは関係のないところにいた。

 極力人目につかない場所での接触を続けていたのだ。


 しかし、今回の一件でヴィクトリアが()()()()()()()を得た。


 ヴィクトリア本人が望んでいることではないのが、サフィレーヌをまた苛つかせた。


 ルクスのくれた腕輪のお陰で多少は平気になったはずなのに、【オブリヴァリス】を使い記憶処理をサフィレーヌは行う。

 全てを覚えていても、精神衛生上良くないと思っているからだ。


 寮の談話室にサフィレーヌはいた。


 この時間帯はほぼ全ての生徒が授業を受けていて、そもそもこの上位貴族用の寮の利用者は多くないため、談話室には彼女以外いなかった。


 今は人前に出ても不愉快な思いをするだけだと考え、サフィレーヌは学園を休んでいる。


 ミゼリアは逆に姿を見せることで、影響が無いアピールをするのだろうが、サフィレーヌは自己保身を優先している。

 まごうことなきカルクルールの血の影響である。


「…………?」


 なんとか心を落ち着けようと瞑想をしていたサフィレーヌは、生徒が一人、扉を開けやってきたことに気付いた。


 早退でもしたのだろうかとその生徒に挨拶をしようと顔を向けた。


 無害そうな顔で入ってきた女生徒はサフィを見つけて引き攣った笑みを浮かべた。


「どうもー。調子はどうですかねー? サフィ様ー?」


 その見たことのない女生徒からはルクスの魔力が感じられた。


 まさかの本人だった。

 板についた女装だ。ちゃんと左腕に青色の印をつけている始末である。


「平気。そっちは?」


「またまたー。ヤバイに決まってるじゃーん」


 冷や汗をかきながら、気まずそうににじり寄ってくるルクス。


 まるで粗相をした夫が妻に許しを乞うような図だった。


「講義は?」


「ゴーレムが出てる」


「……ずるしてる」


「はっはっは。さすがに本体が来ないとねー」


 ソファーの真ん中に座り、動こうとしないサフィレーヌを無理矢理押し退け、ルクスは隣に座った。


「ここは女の子しか入れない寮!」


「知ってるよー? だからサフィはここに引きこもって『ルクス』を避けてるんだもんねー?」


「…………」


 “お見通しだよ”、と言われてサフィレーヌはそっぽを向いた。


 サフィレーヌの子供のような態度は笑って流されてしまう。

 それがまた悔しいのだ。


「ほらこっち向いて。ルクスの言い分も聞いて欲しいなー?」


「……分かってる。だから別にいい」


「あら?」


 サフィレーヌはとっくに何があったのかを把握している。

 その上で面倒なアピールをしていただけだ。


「……キス」


「あのー……覚えておいてね? いきなり許されるのが一番怖いんだよ?」


 困惑しながら、ルクスはサフィレーヌにキスをした。


 この場面を誰かに見られたら本当に拗れるので、最大級の隠蔽魔法をかけながら。


「……嬉しい」


「それでいいのか公爵令嬢」


 緩んだ笑みを浮かべ、一切演技をしないサフィレーヌにルクスは呆れた。


「本当に闘技大会に出るの?」


 とは言っても彼女はカルクルール家次期当主である。

 押さえるところは押さえるのだ。


「もちろんさ」


「……ヴィクトリアお姉様に勝つの?」


 サフィレーヌが言っているのは、“どうやって勝つのか”ではなく、“勝ってどうするのか”、である。


 サフィレーヌはその感覚でルクスとヴィクトリアが同格であると感づいているのだ。


「あー……。そもそもが勝負しようってリエーニのときに約束してるんだよね」


「……それにこだわるの?」


「うん。バーザクってやつもちょっと戦ってみたくてさ」


「…………」


 “商人気質で芸術家の男”がまるで戦士のようなことを言っている。


 その歪さがサフィレーヌには引っかかった。


「それに、結局はどこかで俺自身もアピールしないといけないからさ。他のグループから嫌がらせを受けてるメンバーが出てきちゃってるんだよ」


 結局は他人のために動く。その部分は残っているようだった。


「だから、しばらくは許してね、サフィ。あ、演劇は特等席を用意するから」


「──ルクス」


「ん?」


 去ろうとするその背中をサフィレーヌは呼び止めた。


 なにか危機感を覚えたからだ。


 原因などわからない。

 しかし、ルクスの秘密に一番近いサフィレーヌだからこそ動かなければならないと直感したのだ。


「特等席についてお願いがある」


「はいよー。あとは?」


 腕輪を最大稼働させて、サフィレーヌは思考し言葉を発した。

 それが白痴に捕らわれる今の彼女の限界だ。


「ルクスの方から動いたのですから、わたしも他の二人に本格的に干渉させていただきます」


「…………ひぇ」


 海色の瞳に見つめられ、悲鳴をこぼすルクス。


 しかし、それもどこか馬鹿にしたようなものにサフィレーヌは感じた。


 おそらくは無自覚だ。

 今の彼は無自覚に他者を見下している。


 彼の持つものを考えれば当然なのかもしれない。

 だが、それはサフィレーヌの知るルクスだからこそ、あり得ないのだ。


 “()()()()()()()()()()()()()()()()()()”。


 そんな不安がサフィレーヌの聡明な頭脳によぎった。





「……なんなの、まったく」


「ずっとこの調子ですね」

「忙しい方ですわね」


 そして、『ヴァリアント・ローズ』の研究室にてヴィクトリアは苛立ちながら、剣の素振りを繰り返していた。


 彼女が剣を振るう度にかなりの風圧が起こり、他の令嬢たちの髪の毛が舞い上がった。


「しかし、お姉様も隅に置けませんわね。結局、ルクス様を射止めてしまうなんて」


「私が、いつ、アレを射止めたというのですか!?」


 メンバーの一言でさらにヴィクトリアは燃え上がった。


「でもぉ、ねえ?」

「ねぇー?」


「なんなのかしら? 貴方達……」


 剣を仕舞い、ヴィクトリアはティーセットの用意された席に腰掛けた。

 周囲の令嬢たちもそれに倣うように集まってきた。


「だって、珍しいんですもの。お姉様がそこまで男性に敵意を抱くのが」


 ある令嬢のその一言に周りの令嬢も頷く。


「理由は知っているでしょう?」


「はい。しかし、ルクス様と実際に会ってからのほうが酷いではありませんか」


「そ、そうだったかしら?」


 思う以上にヴィクトリアはルクスを話題にしていたらしい。


「この派閥で一番結婚できなさそうだったお姉様がついに婚約とは……。感慨深いものですわ」


「女好きとは言っても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ものね」


 彼女たちの言葉にヴィクトリアは固まり、うまく返すことはできなかった。


 それは幼少からヴィクトリアが抱える欠陥だったからだ。


「……私の理想の相手は決まっています」


「もう何回も聞きましたよー」

「リエーニ様ですわよね? 使用人の娘。そんなによいのですか?」

「ちょ、おバカ!」


 一人の令嬢の余計な言葉に他の令嬢たちは頭を抱える。

 ヴィクトリアにそれを語らせるととても長いからだ。


「リエーニはね! 真面目で、勤勉で、優しくて、可愛くて、女神で──」


 始まった。

 笑顔でヴィクトリアは呪文を唱え続ける。


「けっこう力持ちで、剣ができて、歌がうまくて、声が良くて、頭が良くて、上品……で、フィフっていう姉がいて……」


 しかし、今日はなにか違った。

 呪文を唱えている途中でヴィクトリアの顔つきが変わったのだ。


「お姉様?」


「……いえ。とりあえずあの子はすごいのよ」


 いつもの顔に無理矢理戻しつつも、ヴィクトリアは自分になにかが引っかかった感覚の正体を探っていた。


(フィフ……。そうよ。フィフがリエーニと別行動を取っている? あそこまで溺愛していたフィフが……)


 だが、それが何につながるのかヴィクトリアは紐解くことはできない。


 あのパーティホールでルクスの隣にいたフィフ。

 それがリエーニが出てきた後は、リエーニの隣にいた。


 リエーニとデートする日はルクスは一人寂しく図書室か、寮にいることが確認されている。


 そして、アンリーネの提案だ。


(駄目。わからない……。なに? なんですの? この心を焦らせる何かは……)


「まあ何はともあれ、学園卒業後はお姉様は一旦育児に入られるのですか?」


「────いいえ?」


 冷たい声をなんとか抑えてヴィクトリアは答えた。


「あら、そうなんですのね。お姉様の子ですからきっと愛らしいのでしょうね」

「暴れん坊な気がしますわ」

「お姉様、お子様が生まれたら是非抱かせてくださいまし」


 その話題は未だにヴィクトリアは苛む命題だった。


 殺すことを良しとし、生むことを嫌ったヴィクトリアはリエーニを好いているという事実を使って自分を定義しているのだ。


 笑い合う『女』たちを見て、ヴィクトリアの手が剣に伸びていく。


「────っ!」


 それをなんとか止めて、ヴィクトリアはティーカップに手を伸ばすことで誤魔化した。


 弱者を見ていると、どうしてもあの日の血の感触を思い出してしまう。

 無様な男だった。


 抵抗を無抵抗に変えていく感覚は未だに得られない甘美な記憶だ。


「私に子供は無理だと思うわよ?」


「ええ?」

「別にルクス様が相手ならいいのでは?」


 ヴィクトリアは常にあることを思っている。

 

 それは憧れた英雄から意図して持ち込まれた狂気だった。

 英雄は仲間を増やすためにヴィクトリアに呪いを仕込んだのだ。


 “異常な自分が正常な恋をするはずがない”。


 それは一種のバイアスとなり、ヴィクトリアの思考を固定した。


 生物として異常な自分は生物として異常な行動を取る。


 だから、──()()()()()()()()()()()()()()()


 

 そんな彼女にある演劇の特等席の招待状が送られてくるのはすぐの出来事だった。


 『特等席用意するから来いよ』


 そう“リエーニ”は言っていた。だから、その差出人の名前を無視してヴィクトリアは招待を受けるのだった。


 そして、それはこれから始まる悲劇への招待状でもあった。


 揃った役者を喜ぶのは一体誰か。

 それは作家に他ならない。


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― 新着の感想 ―
ヴィクトリアが正常に戻るだけなら特に問題なさそうだけど(殺人癖は知らん ルクスの所ではフラグはなぁ…タイトル回収する暴君になるのかな?
更新ありがとうございます!! 異常者は一部が異常だから異常者なのだ… 全部異常なら破綻者だしね…
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