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第四十三話

「だめか」

そう言って、合わせた手を放すネイラにネーファは首を横に振った。負けず嫌いのネーファは子供のように顔を真っ赤にしながらネイラの言葉を否定する。

「でも」

これ以上はと言いかけたネイラに、つないだままの手を強く握り返して意思表示するネーファ。その顔は今にも泣きだしそうであった。

「わかったよ、僕たちはいつまでも一緒だ」

そう言ってネイラは魔方陣を出現させる。

「時間は僕が稼ぐ」

この言葉のあと、最後の言葉を残してネイラは口を閉ざした。ネーファはその言葉に強く頷いて、魔力を収束させることに集中しだした。


 二人の姿は見るに堪えないものとなっていた。先程放たれた光の砲撃によって激しく損傷していたのだ。大きく白い四つの羽は焼け焦げ、本来の白さを失って羽の先を散り散りにしていた。ネーファは言葉を発する事が出来ず、ネイラは視力を失っていた。合わせた手の傷が二人の痛手を一番物語っている。お互いの合わせた手は赤く焼けただれて、それは元の白い肌から大きく差を生み出していた。

放った光の魔法はそれだけの反動を二人に与えたのだ。しかし、それでも尚、その力を行使するため二人は力を収束させる。


 二人の羽付きを中心に取り巻く光が大きな渦となって輝く。

≪ドゥールオーラ≫

上空からその光景を見ていたファシルはレイリアを上空に残し、更地となった地上に降りた。二人を遮るように配置された怪物は一際大きく、二人を守るための壁となって立ちはだかる。ファシルはお互い猶予があまりない事を感じ取っていた。お互い共に魔力に全くの余裕がなくなっていたのだ。

≪セス≫

ファシル大きな槍を出現させる。それはファシルの背丈を優に超える。穂先が大きな円錐型で、それは段々となって四分割されている。分割された場所ごとに回転し、それらは別々の速度であり回転方向も先から右、左、右、左と回転している。その槍のありようはまるで、岩盤などを砕き掘削する道具のようであり、馬鹿正直に正面突破するための形であった。


 目前の敵が両手で、やっとの事で構えた槍を見て両腕の形を変える怪物。ただでさえ分厚い怪物の胴体の前に分厚い変化させた両の腕が重なる。その様は、壁であり大きな岩盤と言えた。そして敵は怪物の後ろの二人に向けて一直線に突撃してくる。それは小細工なしの真っ向勝負であった。敵にはそれしか手が残されていなかった。


 ファシルは地面を、抉る程に力いっぱいに蹴って突撃した。両手で持った大きな槍の穂先は轟音を伴いつつ回転する。それら四つの回転はファシルの加速に応じて回転数を上げていく。回転は風を起こし、さらに大きな円錐を成す。そして、壁に激突する。その衝撃は周りの大きな岩を吹き飛ばして辺りを揺らし、その揺れは上空から確認できるほどであった。そして穂先からは回転とは違った、鼓膜をつんざくような音を巻き起こし、接触面から火花を散らす。それらは力が拮抗してお互いをその場に止める。両者は押し合いの力で怒号を放ち、それら、ファシルの叫びと怪物の咆哮は重なりこだまする。


 ネイラとネーファは魔力の収束に全力を注ぐ。その集中力は計り知れない。目の前の召喚した怪物が大きな音を立てつつ火花を散らしていようとも目もくれない。さらに、その火花すらも光に変えて力とする。二人の焦げて散り散りになった羽根も光とし力となす。二人の魔力が再び膨れ上がっていく。その魔力の解放はまもなくであり、それは目の前の壁の突破で起こるとみられた。


 火花を散らしていた力の均衡が崩れ始める。それはつんざくような大きな音から徐々に変わっていき、硬い物を砕く音へと変わりそして肉を抉る音へと変わっていく。時間の経過によってその都度、変化していく音。そしてその音はさらに変化していく。怪物を抉る音が一段と大きくなってしばらくするとその音は止み、終わりを告げる。そして回転音を再度轟かして本来の目的である二人の羽付きへと差し迫った。しかし、隔てるものが何もないはずなのだが、二人に穂先は触れることが出来ない。それは二人の収束させて出来た光の魔力の渦が見えない壁となって漏れ出ているのだ。それは二人の魔力収束が充分であることを現していた。二人は、ファシルが壁を突破する前に充分な量の魔力を集め終えて、さらに過剰に魔力を集めていたのだ。


 そしてその全力を超えて過剰供給された魔力が一際眩しく光を放ち始める。先程よりも強く放たれるであろう光の砲撃は今、間も無く解放されようとしていた。


その光を一番近く、至近距離で目視しているファシルは避ける事は不可能であり、貫き通すしかなかった。

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