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第二十五話

 ファシル達は食事を終えてくつろいでいると豪商が今年行われる祭りについて話し始めた。

「今年の祭りは」

とても盛大に行われるのですよと教えてくれた。

今年は、五年おきに行うネーベンの建国祭と毎年行う武術大会が重なる年なので、いつも以上の規模で執り行われるという。それに伴い豪商も自身の雇った戦士を武術大会に参加させるつもりであったらしい。しかし、何者かの妨害により参加を辞退せざるを得なくなっていた。ファシルはかわいそうに、と他人事に話を聞いていると

「武術大会に」

ファシル様は参加されるのですかと訊かれた。ファシルは意気揚々と返事した。

「はい」

もちろん参加しますよと返し、今回が初めてだという事を伝えた。ワクワクしている様が見て取れるようであった。その様子を見ていた豪商は気を落としながら

「羨ましいですね」

ファシル様の雇い主はと言った。ファシルはその言葉に戸惑ってしまった。

「それはいったい」

どういうことですかとファシルは恐る恐る訊き返した。豪商は武術大会の規則など、いろいろ教えてくれた。


 ネーベンで毎年行われる武術大会は有名で、腕に自信のある者はこの大会に参加するためだけにわざわざ遠い国から赴く程であった。

本来は手続きをするだけで武術大会に参加できるのだが、今回はネーベンの建国祭も兼ねているため参加するには資格が必要であった。参加資格として、雇い主の存在の提示あるいは参加に値するという推薦状が必要とされていた。建国祭には来賓が列席するとあって、一定以上の質を求められていた。


 ファシルは困り果ててしまった。参加できると楽しみにしていた武術大会に出場できないかもしれない。ファシルの顔色は悪くなっていった。

そんな様子を見ていた豪商が助け船を出してくれた。

「私の家来として」

出場しませんかと豪商が言った。ファシルは豪商の言っていることが理解できずにいると豪商はさらに続けた。

「ネーベン領の森を歩いていたのは訳アリでしょう」

「私の家来としてなら疑われることもなくなります」

どうですかとまくし立てるように提案してきた。


 豪商は以前、酒の席で商売仲間との他愛無い話から、大きく見栄をきってしまい武術大会に参加すことになっていた。しかし自身が用意した戦士は参加できなくなり頭を悩ませていたところファシルと出会ったのだ。面子のかかったこの大会を参加しないわけにいかなかった豪商はなりふり構わず提案した。自身の事を詮索されたくなかったファシルは、大会に参加できて尚且つその心配のない豪商の提案に乗ることにした。

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