もう一人の転生者?
「団長、女たちは女神教会に匿われていますぜ。もう3日も出てきません」
「ほう、食料は断って3日か。出てきたとき鶏ガラだと抱く気も起きない。男どもを連れてこい」
男達が女神教会の前に連れて来られた。如何に無法者とは言え教会を襲うのは憚られる感覚があった。
「お、父ちゃん」「あんた!」建物に籠もっていた女達は思わず声を発する。
拷問を受けたであろう男達が、村長を筆頭に、傷だらけで女神教会の前に引き釣りだされた。
「おーい、聞こえるか?女ども出てこい!でないと、男達がどうなっても知らないぞ!」
「おやめ下さい!」女神教の神父がリグルーの前に、出てくる。
「私を村人の代わりに殺して下さい!団長よ。それでもう無法はやめるのだ」
「おい、神父様を、小屋に押し込んでおけ!」
「「ヘイ」」
神父はなおも叫ぶ
「私の言うことを聞かないと、大変なことになる。村人は誰も殺させない!女神様の鉄槌が下るぞ!」
「何だと、だったら、信心深い俺のお袋は、何故殺された!」
リグルーは珍しく感情を高ぶらせた。
その時、教会のドアが開いた。一人のシスターが意を決し、出てきたのだ。
教会と俗世の境まで、あと、もう少し。教会の敷地を出たら、無法者に好きなようにされるであろう。
「お、シスターは分っているな。若いな。いくつだ」
シスターはブルブル震えて、
「私が皆の身代わりになります。団長さん。だから他の女性には手を出さないで」
「「「へへへへへへへへ」」」
下品な笑い声が響き、シスターを下から覗く者までいる。
「待った、シスターには手を出すな!シスター、自分を犠牲にするな。時間稼ぎはもういい。やめだ。団長よ。全て話す!私の言うことを聞けば、貴方方は死ななくて済むかもしれない」
(何を言っている。こいつ)
圧倒的に有利なのは傭兵団だ。まるで、何かを待っているような意味深な言い回し。
「おい、領軍を待っていても無駄だぞ。こいつのお兄上様と俺はツーカーの仲だ。この村は俺たちの自由にしていい。お嬢様は切り取り自由とお墨付きを頂いている。領軍は、来ないぜ!」
「ヒィ」ルイーザは軽く悲鳴を挙げた。
「違う、領軍ではない。冒険者を雇った。伝書鳩で、女神教のネットワークで冒険者ギルドに依頼した。5羽飛ばして、昨日、1羽かえって来た・・内容は承諾だ。今、全ての村人を開放し、武器を放棄すれば、私が説得して、討伐を取りやめる。君たちはその冒険者に殺される前に、逃げられる。どうだ。いい話だろう」
憤慨な神父の物言いだが、リグルーは冷静に聞いた。
「へえ、冒険者を何人雇った。そのパーティの名は」
リグルーは冒険者を知らない。魔物と戦うのに特化したグループぐらいにしか思わない。興味は湧かないが、脅威になるかもと聞いてみる。
「一人だ。名は[鏖のアリサ]殿だ」
「「「ギャハハッハハハハ」」」
「お伽噺かよ!団長、この神父、俺らを笑い殺そうって算段ですぜ!」
「もう、いい。シスター、こっちきな」と手を引っ張ろうとリグルーが手を出そうとしたとき。
部下から報告が来た。
「団長、また、草原に、転生者が来ました。シーフを先行させておきましたが、黒髪黒目の女ですぜ!」
「「「やったーー生きたまま捕らえろ!」」」
「よし、シスター達は後回しだ。転生者の女を味見してからだな。見張りは10名残しておけ!」
((間に合った))
このスキに神父は急いで、シスターの手を引き、教会に入る。
リグルーは何かおかしいと思いながら、戦場に向かった。
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