第4話
「お礼か……そうだな……じゃあ」
シエラの胸を指さして。
「その胸揉ませろ! なかなかいい胸だしな〜生でもいいんだぜ!」
カァーっとシエラは顔を真っ赤に染めて。
「死ねえええ!」と次の瞬間、シエラの拳が俺の頬に当たる。
「ぐはっ! な、何すんだよ! めちゃくちゃいてーじゃねーか!」
むっと頬をぷくりと膨らませて。
「い、いたいって、せ、セクハラよ!」
「いてーよ、だからって殴るか! つーか冗談に決まってるだろ」
少し本気で行けると思ってしまった自分が憎い。
さすがにそううまくいくはずがないようだ。
よし、今日は貯金を使ってサキュバスのところ?にでもいくとしよう。
「仕方ないでしょ! それで、ご飯を奢るでいいかしら?」
まあ、こんな美少女と一緒にご飯を食べられるだけでもいいとするか。
「わかった、ちょうど昼頃になるしなそれでいいとするよ」
「それでって……まあいいわよ。じゃあ、冒険者ギルドの食堂でいいわよね?」
「おう」
そうそう、他魔法で上書きをしておかなければ。
俺はシエラを強く見る。
「なっ、何よ!?」
「いや、なんでもない。気にしなくて大丈夫だぞ」
「き、気になるんですけど……」
The魔法使いなのだ、それなりの魔法を持っているであろう。
『魔法のコピーが完了しました』
よし、魔法のコピーができたようだ。
さてさて、どんな魔法だろうか。
俺は冒険者カードを見る。
アラン16歳 レベル19 職業冒険者
魔法 ファイヤーボール
スキル 魔法コピー
お、レベルが一つ上がってるな。
はあ……初級魔法のファイヤーボールか。
まあ、使ったことがないわけだし先程の魔法のような激しいやつじゃないしよしとしよう。
「オッケー、じゃあ行くとするか」
「変な人ね」
「うるせえ」
とりあえず、午後はファイヤーボールを使ってスライム……いやいや、それじゃあスライムが蒸発して『スライム液の採取』ができないし、何かしらの弱い魔物の討伐クエストでも受けるとしよう。
○
ということで、冒険者ギルド内の食堂へとやってきた。
「金の上限とかってあるのか?」
「う〜ん、まああのままだとやばかったし、命の恩人なわけだしなんでもいいわよ」
「そうか」
しゃああ、そうなるとだ、普段は一番安い『唐揚げランチメニュー』だがいつかは食べたいと思っていた『ドラゴンランチ』とするとしよう。
「じゃあ、これで」と俺はメニュー表に書かれた『ドラゴンランチ』を指さす。
「げっ、2000G!? なかなかするじゃない……まあ、いいわ。私はこの『サラダランチ』にするとするわ!」
料理を頼み、来るまでの間俺はシエラと話すことにした。
「そういえば、俺の名前がまだだったな」
「たしかにそうね」
さすがにシエラだけ名前を言ってこっちは言わないというのは嫌だし言うとするか。
「俺の名前はアランだ、冒険者をやってる者です」
Fランクということとスキルでしか魔法が使えないということは言わないでおこう。
「アランね、私はシエラよ!」
こいつは馬鹿なのだろうか……あんたの名前はあんたから聞いたんだよ。
「魔法使いをやってるわ!」
んなこと言わんでも知ってるわ。
うん、多分というかほぼ確定でこいつ馬鹿だ。