第1話
「うおお!」と俺はスライムを斬る。
よし、倒せたな。
「はあはあ……」と膝に手を置く。
俺は目の前に倒れているスライムをビンに詰める。
その時、スライムから一つの蒼色の水晶のような玉が地面に転がり、俺の足に当たるが否や。
ピカリと身を包むように光だす。
「ん……? なんなんだこれ!?」
次第に光は止んだ。
なんだったんだ今のは……。
身体に以上は……なさそうだ。
少し怖いし今日はこんなところでいいとしよう。
冒険者ギルドへ戻ると、俺はスライムが詰まった瓶を十つ受付嬢へと見せる。
「はい、これにてクエストは完了です。報酬です」
と、俺は受付嬢から報酬である1000Gを受け取る。
よし、これで今日もなんとか過ごせる!
俺ことアランは今日で半年間、Fランクの冒険者である。
冒険者ランクはFランクからSSSランクまで存在する。
とはいったものの、SSランク以上のランクの冒険者なんて滅多にいないわけだが。
本来、Fランクなんて一ヶ月もあればEランクへと昇格することができるわけだが……。
俺の場合そうはいかない。
なんせ、俺は魔法が使えないからだ。
別に魔法が使えないことなんて珍しいことではない。
ただ魔法が使えないやつが冒険者になることが珍しいだけだ。
……今日も疲れたしさっさと安宿でぐっすり寝るとしよう。
こうして毎日、同じように明日のために働く日々を過ごしている。
理由は簡単だ、毎日コツコツとクエストをこなしてレベルを上げることでいつかきっと魔法が覚えられると信じているからだ。
俺は自分のステータスの書かれた冒険者カードを見る。
アラン16歳 レベル18 職業冒険者
魔法 なし
スキル 魔法コピー
……なんだこのスキル?
魔法コピーと書かれた場所を触ると、そのスキルの内容が表示される。
スキル コピー
魔法が使える者を強く見ることで、ランダムで一つ魔法をコピーすることができる。
コピーした魔法は魔力を消費しないで発動することができる。
コピーできるのは一つまでであり、再度同じ行動をすると前回の魔法の上書きという形でコピーされる。
「待て、なんで俺にスキルなんて!? 昨日までなかったはずだ! ……いや、待て。心当たりが……あるのだが」
もしかして、あのスライムから落ちてきた水晶みたいなのが原因か!?
「……そういうことっぽいな。それしか思い浮かばないのだが……」
どうやらこの日、俺はとんでもないスキルを手にしてしまったようだ。