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第十五話

「西村、オリジナル作っているんだって?」


 朝からテンションの高い狭山は、待ち切れない少年の様に声をかけてくる。


「美波ちゃんから聞いたの?」

「お前らいつの間に名前で呼び合う仲になっているんだよ?」

「いや、昨日からだけど……」

「よきかな、よきかな。バンドメンバーが仲良くなるのはいい事だな。それより、曲は出来そうなのか?」


 そう言われ、止まる。

 練習はした、だけど音楽をほとんど聴いてこなかった僕にはやはり共作でもハードルが高かった。


「そっか……まぁ、そんなに直ぐ作れたら世の中天才だらけだわな!」

「ごめん」

「あやまんなって、少しずつやっていこうぜ?」


 狭山はそう言って肩を組んできた。


「俺も色々知り合いに聞いてみたんだけどさ、今楽譜はネットで取れるらしいんだよ、スコアも本屋に売ってるらしいんだけどさ」

「そうなの?」


「コピーして、カバーしてオリジナル。基本的にはこの流れだな!」

「なるほど……」

「そこでだ。美波にも声をかけとくからさ、やりたい曲を持ちよってみようぜ?」


 狭山は上機嫌にそう言って美波ちゃんの所に駆けて行った。彼の後ろ姿をみて僕のやりたい曲はなんだろうかと思った。


「あいつ中々面白いっすね」

「居たんですか……」

「行動力もあるし、引っ張っていく華もある。後は歌が上手ければ理想的なボーカルだな。人気が有るのもわかる気がするよ」


 思い返せば、ヒロさんは初めて会った時から狭山の事を評価していた様に思う。僕自身、今は彼に悪いイメージは持っていない。


「西村氏〜」


 少しこもった様に話しかけて来る声がする。振り向くとエロゲの太田だった。


「えっ……と。何?」


 僕は警戒しながら返事をする。


「西村氏はパソコン持ってますよね?」

「あるけど……」


 そう言うと、彼は小さな紙を渡す。中にはいんさされたアドレスが書いてある。


「これ……エロゲを作ったんだけど、やってみて貰えないかな?」

「なんで僕?」

「いや、西村氏が音楽やってるって聞こえてきたから、俺が作ったのを聞いてみて欲しいんだよね」


 ただのエロゲ好きだと思っていた太田は意外にも作る事にも手をだしていた。


「あ、ああ……わかったよ」


 その場を軽く流し、小さな紙を受け取りポケットの中に押し込んだ。エロゲが好きだと思った……いや、音楽をしているからと言っているからBGMを聴いて欲しいのだろうか。



 その日の昼休み、狭山から集合がかかった。多分、曲を持ち寄る話なのだと思っていると狭山は大人しそうな女の子を連れてきた。


「よし、揃ったな!」


 彼がそう言うと、僕と美波ちゃんはポカンとする。連れて来られた女の子も動揺しているのか目線が定まらない様子だ。


「それじゃ、奏(かなで)ちゃん自己紹介よろ!」

「あ、高田奏(たかたかなで)です。吹奏楽部の一年ですっ」


 小さくて垢抜けない中学生の様な彼女は声を震わせながら言った。


「彼女がうちのドラムをする事になった」


 なるほど……ドラムって……えーっ!

 いきなりの新メンバーに驚きが隠せない。


 オトオドしながらも僕のほうをジッとみている。


「えっと、よろしくお願いします」

「中学の時も吹奏楽部でドラムをしてたというからかなりの経験者だと思うぜ!」


「そ、そんな事はないですよぉ」


 狭山が言うには、吹奏楽部ではドラムは一人しか出来ないらしい。三年生の先輩ドラマーが居る以上、彼女はあくまでサブとの事だ。


 だけど、経験者とはいえこんなに小さな体でドラムがしっかり叩けるのだろうかと少し不安になる。だけど、合わせた経験すら無い僕が考えてもしかたの無いことなのだと思う。


「まぁ、とにかくこれでバンドの形になったな」


 いきなりの出来事だったのだけど、晴れて僕らはバンドとして、初めての顔合わせの日となった。


 その昼休みは、交流会的な意味もあったのだろう。狭山が仕切り、今後の活動の話を始める。


「まぁ、西村がオリジナルを作ってくれているから平行してコピーなんかもやって行きたいとおもうんだよ」


 彼の言葉に僕らは頷く。


「そこで、次回の打ち合わせまでにやりたい曲とか考えてみてくれよ。それでその中から何曲かやってみようぜ?」


 再び頷くと、人見知りの緊張の中高田さんが僕に話しかけてきた。


「西村くんが曲を作るんですかぁ?」

「ま、まぁ……ギターだからそうなるのかな」


 肩までの黒髪を柔らかそうに揺らしている。かわいいというよりは可愛らしい感じの雰囲気に僕は癒されている。


「ドラムの歴は長いの?」

「うーん、小学校の時習い始めてからだから4年位かなぁ」


 4年……高校生としてはかなり長い。しかも習っていたとなるとかなりの実力が有るのかも知れないと思う。


「でも、またどうしてウチに?」

「部活以外ではした事なかったんだけどぉ、狭山君が誘ってくれたんですぅ」


「あー、吹奏楽部のドラムしてる先輩に声かけたら紹介してくれたんだよ!」


 思い立ったら即行動というのは流石狭山という所だろうか。ヒロさんの言う彼の凄さが少しだけ分かる気がする。


「なるほど……初心者の集まりだから色々迷惑描けるかも知れないけどよろしくお願いします」

「あ、こちらこそお願いします」


 見た目通り、丁寧でいい子そうで安心する。少し気になるのは美波ちゃんとまだ話していないという所くらいか。


 僕はトイレに行くと言って席を立ち、廊下にでるなりヒロさんに話しかけた。


「バンド……完成したんですけど」

「ドラム、俺も探して吹部の人は目を付けてたんだけどあの子はノーマークだったなぁ」


「ヒロさん的にどうです?」

「うーん。いいとは思うけど……」

「けど?」

「実績的には実力に差があり過ぎる気もするんだよなぁ……吹部の人、かなり上手いんだよ」

「そんなになんですか?」

「習ってて4年とかバリバリバンドしていてもおかしくないとおもうぞ? まぁ、性格良さそうだし色々と影響受けたらいいんじゃないかな?」


 お墨付き、とまではいかないものの彼女が上手いのは間違いないだろう。最初に抱いた心配とは逆の心配が過ぎったものの話しやすい面も踏まえて彼女で良かったと思っていた。


 トイレから戻ると丁度彼女が教室を出る。自然と目が合い会釈すると、彼女は小さな声で言った。


「宜しくね」


 僕は何故かわからないけど少しだけ彼女の反応に違和感を感じていた。

お読みいただきありがとうございます。


バンドの完成!?アクセス数もレビューのおかげで伸びて来ています(゜Д゜)


ストーリーを進めながらそれぞれのキャラを書いて行きたいと思いますので宜しくお願いしますヽ(`Д´)ノ


♪♪♪


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