ー不安ー
物音で目を開けると
目の前には二人の男性がいる。
私は突然の状況に固まっていたが、
二人の男性は起きた私には気にも止めず
真剣に何かを話している様子。
私は無意識に口を開けて声をかけようとしたけれど
やはり口から漏れるのは空気だけ
仕方なく、何とか現状だけでも把握しようと
恐怖に駆られながらも
凝視をしないようにソッとその男達を見る。
1人は背が高く
白い髪の毛
老人かと一瞬思ったが、
横顔をみる限り若い男のようだった。
その男は20代後半から30代前半くらいの若者だと分かる。
目付きが鋭く
何だか怖そうな印象を受ける。
もう1人の男は
その男性より身長が低く
黒髪で
肩くらいまで髪があったのと顔立ちが幼いせいで
見ていて、もしや女の子かとも思ったけれど
声が低かったので
どうやら男の子で間違いないようだった。
---何で、私----ここにいるんだろぅ----?
どうも意識がハッキリしない
胸焼けしているような、変な違和感がある。
---ナニカ----ナニカワスレテイルヨウナ---
私が考えこんでいると
背の高い男が
私が起きている事に気がついて近づいて来る。
私は知らない男であること
知らない部屋である事に恐怖して少し後ずさる。
「おい、逃げるな、俺は----じゃない。」
------え---?
男は私の頭の上に手を差し出し
腫れ物を触るような手つきで
頭を触れるか触れないかで撫でてくる
-------今-----
----この人は(誰)じゃないといったんだろう-----?
目の前で話したはずのその男の言葉の中に、
確かにあった筈の名前の部分だけが
何故かスッポリと抜けてしまっている。
私が困惑していると、
もう1人の男の子がため息をつきながら私を睨み付けてくる。
「何でそんな口を取られた役立たずな人間を連れ帰ったんだよ。
そのまま向こうにやってしまえばよかったんだ。」
その男の子は
そう言うとこっちに来るなり手首を痛い位握りしめて
私を無理矢理立たせる。
「こんなヤツ僕が外に捨てて来る。」
そう言い放つと
男の子は私をズルズルと引っ張り始めた。
----ヤ、--ヤメテ---コワイ----コワイ!!----
突然の事態に何が何だか分からず
涙が溢れてきて恐怖する私を
男の子は構わず連れていこうとする。
すると、背の高い男の怒った声が部屋に響き渡った。
------イイカゲンニシロ---イオリ----
その声には
その男の子も私も
ビクッと体を震わせて立ちすくんだ。
怖くてその男を振り向けない。
部屋の空気がビリビリと張り詰めていて
怒っているのが声からも分かる。
私の手首を
痛いほど掴んでいた男の子の腕を
後ろにいる男が握って離したのが感覚で分かる。
混乱している頭で
何とか離された手首を庇うように手で覆うと
引き離された男の子と
私の間に入ってきた男が対峙しているのが目に入った。