ー恐怖ー
私は
知らない他人でもいい
他の(人)が居たことに、
これまでにない位の安心感を得て、
すぐにそちらに向かおうと足を出した。
でも
そこで足に・何かが・
くくりつけられているのに気がついた。
足に感じる違和感に下を向いて足を確認すると、
左足に、
白い
ロープのようなヒモが結んである。
(それ)は調度
その家を出ようとしたギリギリで
ピンッと張ってしまっている。
---なに、これ---?
言い様の無い吐き気が込み上げる。
早く、向こうに行きたいのに、
このヒモはナニ?
いつからあった?
・・・・階段を降りているときには無かった。
だって、
元からあったなら
あれだけの階層を降りたんだ
途中で引っ掛かっているはず。
冷静になろうとすればするほど、
そのロープが恐ろしくて
あの
蛇の目をした男の子の顔が頭をヨギル。
---ドウシヨウドウシヨウドウシヨウ--
---早くしないとあの子がキチャウ--
恐怖で握りしめた拳にチリッと痛みが走る
ビックリした私は、
今までパニックになっていて忘れていた
手の中にあるソレの存在に気がついた。
--コレ---あの時取った蛇の----?
そうだ、これでロープを切れるかもしれない!
ボロボロに錆びた刃にも
鋭利な部分が残っている事を確認すると、
私は焦りと恐怖に駆られながらも
そのロープを掴んで足を切らないようにその刃をあてがい、
早く、早くと思いながら擦っていく。
すると、建物のずっと上の方から、
かすかに、
ゴトンッ
と物音がしたのを私は聞き逃さなかった。
----!!!!
私はパニックになって乱暴に刃をロープに擦り付ける。
すると、ロープはブチブチと、
確実に切れていく。
でもそのロープの切れ端を見ると、
布っぽい繊維質な感じは無く
切れ目はツルツルとしている。
でも、
そんな事に構ってはいられなくて
すぐそばまで(ナニカ)の気配が近づいた瞬間
その切れたロープには目もくれずに走り出した。
---アァ、ヤット--
---怖い思いをしなくていいんだ---
そう思った。
声が出せないのに
涙は止めどなく溢れてきて
声にならない嗚咽をしながら
踏み切りに向かって走って行った。
でも
踏み切りを潜ろうとした時
ふいに真後ろから声が聞こえた
---ソッチニイクトカエレナクナルゾ--
そこで
私の視界は真っ黒になった