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転移研究者はあきらめない  作者: 雛川sai
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幼年期(5歳)イリア

「行ってきまーす。」

「気をつけてね~」

「何に~」

「男だ。男に気をつけろ!」

「お父さん大好き~」

「なら良し。今日は仕事休んで…」

「はいはい。アル。今日もイリアを宜しくね。」

「はい。イリア行くよ」

「うん。お父さん仕事頑張ってね~」

「イリア~。お父さん頑張るよ~」


毎日の騒がしいやり取りを終えて、アルくんと手をつないで教会へ向かう。

アルくんが7歳になってから、送り迎えは修道女からアルくんの仕事(?)になった。


「おじさん本当にイリアが大好きだね」

「うん。イリアもお父さん大好きだし両思いだよ」

「‥‥イリアはお父さんと結婚するの?」

「お父さんとは結婚出来ないってイリア知ってるし。イリアはアルくんと結婚するんだよ?」

「‥‥頑張る」

「何を?」

「‥‥色々」

「う~ん。よくわからないけど頑張ってね。」

「応援してね。」

「もちろん。」

(私、僕の記憶があるから本当はわかってるよ。

アルくん可愛い。アルくん大好き。私も頑張る~)


何て楽しい時間も、教会に着いて終わってしまう。

アルくんが7歳になり、5歳の私とは教育のカリキュラムが変わってしまった。

私を修道女が。アルくんを司祭が担当する。

アルくんと離ればなれである。寂しい。


とはいえ、私は僕の記憶を含めれば75歳児だ。読み書き計算など容易くこなせる。

なので最近は、この集落の情報や世界情勢。私の役割(守役?)について修道女に聞いたりしている。


以下概要

この世界は、一つの大陸に周りは海という構造になっている。

国という単位では、人族の国と魔族の国の二つしかない。(国に所属していない小さな集落は多数存在する)

人族と魔族の違いは、魔族は人族を食料としているという点で区別される。

魔族は人族を食料としている為、常に人族を襲っているが、時に大規模かつ組織的に侵攻する場合がある(人族の牧場を維持する為と言われている)

私が住むこの集落は、「龍の村」と呼ばれており、住民である「龍人族」は人族の切り札とされている。

人族の守護神である「龍神」から「龍」因子を与えられた一族であり、戦闘訓練や魔道具作成を行いながら力を維持し、人族が危機的状況に陥った場合に戦場に投入される。(一族の消耗を考慮し、よほどでなければ投入されない。)

食料や生活用品等は王都から支給される。一応魔道具を王国に送っているが、対価としてや、納税的な意味合いは無いとのこと。

集落で行っている農業も、何らかの理由で王都から補給が受けられなくなった場合の予備兵站としての意味が強いらしい。

「龍人族」の寿命は平均200歳。100歳程度で肉体的なピークを迎え、結婚と出産を100歳前後に行う。

「守役」や「継役」等の役割は、生まれた時に「龍神」から神託として「話役」伝えられる。

また、結婚相手についてもこの時伝えられるが、役割や結婚相手について、不具合(?)があったことは無い。

アルくんの「継役」は「龍人族」の中でも強く「龍」の因子を受け継ぐ「最強の戦士」を担う役割。(あくまで戦士であり、集落のまとめ役ではない)

私の「守役」は「継役」を守り、「継役」と結婚し、次代の「継役」を出産。次代の「継役」を守る役割。つまり「継役」のお嫁さんで、お母さんになる。

アルくんと私はこの神託を受けている為、集落内の共通認識として、将来的な結婚が確定している訳だ。(アルくんはすでにこれを知っているし、元々理解力が十分になったら、教会で教えることになっていたらしい。)


ちなみに後日アルくんに神託のことを聞いてみたところ、「最強の戦士」はともかく、1歳位の私を見て(アルくん3歳)「この娘と一緒にいたい」という強い衝動を覚えていたため、神託を聞いても、「言われなくてもイリアと結婚するよ」という感想だったらしい。

私から聞いておいてなんだが、嬉しすぎてアルくんに抱きついて「アルくん大好き」って言いながら、アルくんのほっぺにいっぱいチューをしていたら、お父さんに見つかって大変だった。

仕方なくお父さんのほっぺにチューをしていたら、お母さんに見つかって大変だった。






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