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転移研究者はあきらめない  作者: 雛川sai
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幼年期(3歳)アル

「おはよ~。イリア~。教会行くよ~」


母と二人の朝食を終えた頃、可愛らしいお誘いの声がかかった。

アルくんだ。


「は~い。ちょっと待って~」


急いで肩掛けバックをとり、玄関に走る。

外には教会の修道女と手をつないだ、黒髪で短髪の男の子が手を振っている。


彼はアルくん。私より2歳年上の5歳だ。


集落に学校は無く、教会が学校の役割を担っている。

私やアルくんが特別と言うわけではなく、僕の世界の義務教育のように、一定の知識、技能が身につくまで必ず教会で教育を受ける。

子供の人数が少なく、年齢も年齢なので、修道女の送り迎え付きだ。


教育と言っても、私達はまだ5歳と3歳。

絵本を読んでもらったり、歌を歌ったり、お絵かきしたり、外で遊んだりしている。


私は教会に行くのが大好きだ。

修道女も司祭も優しいし、アルくんと遊ぶのもとても楽しい。

アルくんは5歳だけどすごく紳士で、私が転んだりするといつも助けてくれるし、読んでもらう絵本も、いつも私が好きな本を優先してくれる。

私が作った少し歪な花かんむりも、「ありがとう」って言って笑顔で受け取ってくれた。


司祭と修道女が、私とアルくんのことを

「守役」と「継役」と言っていることがあるけど、小さな集落だ。家柄で生まれたときから役割が決まっているのだろうか。

お父さんとお母さんも、私とアルくんが結婚するのが決まっているような言い方をしているし、僕の世界のような「自由」はこの集落にはないかもしれない。


だとしても私は、この生活もアルくんも大好きだし、役割を決められることに不満はない。


私の中の僕が「転移の研究~」とか言ってるような気がするけど‥‥




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