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閑話・勇者アリィ君の前世の仲間。

 

 アノ邪龍に挑むのはまだ早いと皆分かっていた。

寝る間も惜しんでひたすら修行を続けては来たが勇者はまだ十四歳だ。

だがアノ邪龍の被害は拡大して行くばかりで……


王城の方々にもソレは分かっていた。

なのでせめて暫くでも行動不能にできれば上出来だという希望のもとにオレ達は

邪龍の元に向かった。


勇者はオレ達の予想以上に頑張ってくれた。

それでも倒すには力が足りなかった。

聖剣すら砕かれた。

オレ達は勇者の全力で邪龍のパワーフィールドから放り出された。


次回のためにと魔術師が設置した魔道具でオレ達は勇者の最後を見るハメになった。


育ててくれた孤児院の院長が餞別にくれたというナマクラなハズの剣で勇者は

邪龍の足をその場に縫い止めた。

どうやったのか邪龍の全力でも外れなかった。

オマケに邪龍のパワーを取り込んでその場に縫い止めるパワーにしていた。


仲間のオレ達に分散していた攻撃は一人残ったアイツに集中し最後はブレスで

骨の一片すら残さず消されてしまった。


まだガキだったんだ! 

成人すらしていなかった! 

勇者だと知れてから山のような教育と強化のために睡眠時間も削りながら

修行の日々を続けさせられていた。

文句も山のように言っては居たがサボりも手抜きもしなかった。


オレ達は仲間と言いつつアイツの為に集められたメンバーだ。

好き嫌いも何もあったもんじゃなぁ無い。

無理矢理こんなメンバーにされたと嘆いてるヤツもいる。

でも、それでもアイツは仲間を助けて自分は……


邪龍はあれからアノ場所から動けずに居る。

だがアレを討伐できるヤツはもう存在しない。


どうにもならないと思っていたある日邪龍が討伐されたと神殿から発表された。

仲間だった神官に確認すると神さまが異世界の勇者に依頼されて始末されたと! 

なんだよ! そんな手があるなら最初からやってくれれば良かったのに!!! 

アイツが死ぬハメにならずとも良かっただなんて……


やりきれない思いに悶々とした日々を過ごしていたらある日妙な男が訪ねてきた。

どこか間抜けな雰囲気の冒険者。


「アナタはアリィ君……いや勇者ギースの仲間だった方ですね? 

彼の遺品を受け取って頂きたいのですが」


遺品? アイツは邪龍のブレスで体ごと全て消されてしまったはずだが? 


「砕けた聖剣は神さまにお返しして新しいもっと強力なものを次代の勇者のために

準備していただくことになりました。

遺品は邪龍を縫い止めていたコレです。

彼にあげたという孤児院の院長さんにもお目に掛かったんですが孤児院には

ふさわしいものではないということでアナタ方の欲しい方にと言われました」


アンタ、まさかアノ邪龍を退治した異世界の勇者……なのか? 


「はあ、まあ一応そういうことです。

勇者ギースがコレで邪龍を縫い止めてくれてたので比較的楽な仕事でした。

ちょっと最後に手こずる場面もありましたけどね」


コイツ、そんなに強そうには見えないんだが。

ギースの残した剣を見る。

とても素手では触れることもできないくらいの魔力を感じてしまう。


「受け取って頂けるなら多少の調整はお引き受けします。

邪龍の魔力にさらされていたせいかかなり変質してますからね」


だがコレを受け取る資格は仲間のオレ達には無いと思う。

アイツが最後の命をかけて邪龍を縫い止めたんだ。

結局この異世界の勇者に渡すことにした。

仲間たちもみんな賛成してくれた。


ところでアリィ君って誰なんだ? 


「あ! 

う~ん……

すみません、内密にしていただきたいんですが」


なんだよ! 一体なんのコトなんだ? 


「勇者ギースは功績を認められて別の世界の子供として転生したんです。

アリィというのは彼のソノ世界での新しい名前なんです」


転生……生まれ変わったってコトか!? 


「そうです。全部ではありませんが多少の記憶も残ってるみたいですよ。

彼の新しい人生での目標は『ノンビリまったりノンキ人生!』だそうです。

楽しい人生になってほしいですよね」


そうか、ココでの人生は大変だったからな。

ノンビリまったりノンキ人生、か。


もしアイツの世界に行くことがあったらソノ剣を渡してやって欲しいと伝えた。

ソレがかなりアブナイ代物なのは分かったがそれでもソノ剣はアイツのココでの

人生の結果だから。

オレ達を助けてくれた感謝と役に立てなかった後悔も一緒に持って行って欲しい。


『アリィ』の新しい人生が楽しいものになりますように。

もう二度と会うことができなくてもオレ達は『仲間』だったんだ。

祈ることくらいはさせてもらってもイイよな。

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