66・チビ。
玉はフラフラとコロコロと動いていた。
何をしているのかよく分からなかった。
だが偵察の魔道具が全てを見ていた。
玉の動いた後には魔物が居なかった。
全てが、全部が玉に取り込まれて行く。
まさか……喰ってるのか?
ケンジの頭の上で破裂したとき後に残っていたのは魔石の山だった。
アレって、喰われた魔物の成れの果て、だったのか?
半数ほどに減らすのにオレ達はあんなに苦労したのに玉は軽々と
魔物を飲み込んでいく。
そうして徐々に大きくなって行った。
何ができるかって?
何にもできなかったよ。
茫然と見ているだけだった。
岩の荒野に残って居た魔物は全て玉が飲み込んでしまった。
大きくなった玉はコロコロと城壁に向かって転がってきた。
坂になってるはずなのに傾斜も無視して転がってきた。
挙げ句はフワリと浮き上がってオレ達の上で止まった。
玉はケンジを目指して来たのだと分かったのは前と同じようにケンジの頭上で
破裂したからだ。
でも今度はケンジもソレから……魔石の山から逃れた。
まあ、二度も埋まってやる義理はねぇよな。
「何すんだ! このチビ!」
コイツ、ほとんど怒鳴ったりなんかしないどっちかっていうと大人しいヤツだと
思ってたんだが……
ん!? チビ?
よく見ればなにかがケンジの前に浮かんでいた。
なんだこりゃ?!
小さい……確かにチビだな……だけどどう見てもドラゴンだよな。
何なんだ? これって。
ドラゴンはフン! という感じでソッポを向いた。
と思ったらいきなりキティに向かって飛んだ。
パタパタと羽音がしていた。
キティの周りを一周してチョンと肩にとまるとスリスリと頭を擦りつけた。
なんだか随分と慣れてるようなんだが……
「チビちゃん……よね? 相棒のあの子はどうして一緒じゃないのかな?」
「キティ、コイツのコト……知ってんのか?!」
「何言ってんの! アンタを伸してくれたあの子が連れてた相棒よ!
あ! そうか! あのときはトカゲの姿だったもんね。
一緒に召喚された闘士が魔道具で正体を見せてくれたのよ。
だから本人に聞いたらみんなが驚くから偽装してるんだって教えてくれたの」
「あー、そう言えば……トカゲが頭に乗っかってたな。コレだったのか!
名前ってチビでいいのか? アイツはどうしたんだ?
元の世界に帰ったんじゃなかったのか?」
チビドラゴンは空に向かって吼えた。
Quooooonn-!(ココーーーーッ!)
なんでオレってチビ野郎の吼え声の意味が分かるんだ?
チビが吼えた意味はすぐに分かった。
空から冒険者風な格好のケンジと同じくらいのヤツラが降ってきたからだ。
開口一番ソイツらの一人が言ったのは
「やっちまえ!!!」だった。




