閑話・一人になって思い出にひたる公爵。
彼女が私を愛していないのは分かっていた。
それでも一緒に居たかった。
ただそれだけだったんだ。
愛は無くとも友情は感じていると言ってくれてソレを嬉しいと感じてしまう
自分に驚いた。
だから……王が、彼女に暴力で関係を持ったのを聞かされたときは……
怒りと共に、王の気持ちも理解してしまったんだ。
自分も同じ事をしかねなかったと気付いてしまった。
だから王を責めることができなかった。
リリアは王を拒否した。
側妃にと王に望まれれば断る者など居ないだろうに。
王妃の立場を侵害したくなかったと言っていた。
彼女が愛していた者が居るとすれば多分王妃だったのではないだろうか?
自分の子供の将来よりも王妃のことを優先させていたのだ。
彼女に頼まれて夫になったが私を男として愛してくれていたとは今でも思えない。
それでも私はリリアを愛していた。
だから、リリアーナに会ったとき……
もう一度彼女を取り戻せると思ってしまった。
そう、舞い上がってしまったのだと思う。
リリアーナの気持ちにも気付かずましてやガリィと恋人関係にあっただなんて。
ガリィは私が実の父ではないと気付いていたのだろうか?
だから恋人が私の妻になっても何も言わなかったのかもしれない。
アリィの言うことだとどうも彼女が心変わりしたのだと思い込んでいたらしい。
愛しあっていた二人の間を引き裂いていたのが親の自分だったとは……
実子ではなくともリリアの残した大事な息子なのだ。
ずっと愛してきたのだ。
決して不幸にしたかったわけではない。
親のわがままで子供を不幸にはできない。
私は親なのだ……コレでも。
当初の予定通りガリィを勘当することにした。
リリアーナのことも内々で離婚して表向きは死んだことにした。
勘当はいずれ皆が今回のことを忘れた頃にでも解いてやろうと思う。
箝口令は敷いていても知っている者は居る。
そういう者達が忘れた頃、気にしなくなった頃にでも。
リリアーナはリリアに似ている。
母に似た妻を迎えるなんてよく有ることだろう。
前妻に似た後妻を迎えてしまった者がココにいることだしな。
リリアーナはガリィの側に居ればきっと幸せになれるだろう。
ガリィが勘当されたのが自分のせいだと思わないでくれるとイイんだが。
アリィはガリィの弟だが私の息子にはできなかった。
あの子はアレでもう大人なんだな。
私やガリィのことを気遣ってくれた。
残念にも思ったが嬉しいとも思えた。
ギリィが養子として引き取ってくれると言う。
ギリィの立場も似た様なものだからだろうか。
まあ、遠くに行くわけでもないからアリィのコトを見守ってやれるだろう。
リリアのことを私も王も忘れることなどできなかった。
亡くなったのはもう遙か昔なのに。
リリアに暴力を振るったと分かってもリリアーナをさらわれてもなぜか
兄王のことをどうしても憎むことができなかった。
王がいまだにリリアを愛しているのだと理解してしまったからだろうか?
私も王もリリアを愛していた。
確かなコトはそれだけだ。
王は……兄は亡くなってしまった。
私たちがリリアーナをめぐって騒動を引き起こしたのもきっといつか
思い出となるだろう。
今夜は月がきれいだな。
リリア……君のことを思い出しながら酒でも飲むとしようか。
兄王が死の向こうで彼女に会えることでも祈りながら。




